「冒険と言えるのか?」未来のミライ ねぎぬきさんの映画レビュー(感想・評価)
冒険と言えるのか?
【脚本・演出】
宣伝では「4歳児くんちゃんと未来から来た妹ミライが繰り広げる大冒険」と謳っているが、全然そんなことはない。ミライは「案内役」だ。くんちゃんを「誘導」し、隣で「説明」をするだけ。
他にも「説明」をする人が何人もいる。前作でも思ったが、セリフで説明し過ぎているように思う。「それは嫉妬」とか「共同作業した者同士は仲良くなる」とか「あの時ヒイジイジが…しなければ」とか、わざわざ言わなくても解かる。既にそれだけの表現をしているのだから。
また、妹が「未来から来た」という設定にあまり意味が感じられなかった。普通に考えて、現在のくんちゃんの行動によって未来のミライの身に重大な事件が起こりそうになる、とか何かイベントがありそうなものだが、何もない。(まさか「雛人形」の件がそうではないだろう。)
【映像】
京浜東北線沿線の横浜市民としては、根岸森林公園(競馬場跡)や昔の磯子駅が登場するのは嬉しかった。
近未来(?)の東京駅の無国籍感もとても良かった。
もう、「日常の隣の異世界」ではなく、細部まで徹底的に作り込んだ「本物の異世界」を舞台にした方が上手くいくのではないかと思た。
【声優】
上白石萌歌さんは、演技力はあると思うが、4歳の男の子を演じるには無理があったのではないか。終始、「若い女性」の声にしか聞こえないので違和感があった。
【総合】
子供(と親)が成長する過程とか、血の繋がりの不思議さとか、「作り手が言いたいこと」は確実に伝わってくるのに、感動はしない。この作品に限らず、どうも最近そういう作品が増えたように感じる。
一方、「上手く説明はできないが、兎に角感動する」ような作品もある。求めているのはそういう作品である。