「残念」未来のミライ しろくまさんの映画レビュー(感想・評価)
残念
細田監督は一貫して家族の物語を描いてきた。本作もその流れに位置する。
主人公の男の子に妹が生まれ、未来と名付けられ、まだ赤ちゃんのはずの未来ちゃんが、未来から表れて、というストーリーだと思っていた。
しかし、登場するエピソードは「未来の未来ちゃん」だけでなく、両親やその祖父母まで及び、まるでオムニバス映画のようだ。
つまり、この映画は「未来の未来ちゃん」(だけ)に関する映画ではない。
まず、この「未来のミライ」というタイトルに大きな違和感を覚える。
そして、この映画の構成上の問題。
個々のエピソードはいい話もあるし、いいシーンもある。
しかし、90分なり120分という映画というフォーマットに収めることを考えたとき、これは映画の体(てい)を為していないと思う。
個々のエピソードをつなぐ1本の物語としての構成が極めて弱い。
繰り返すが、個々のエピソードやシーンには素晴らしいところがあり、そこは否定しない。
しかし、この程度の感動をくれる映像ならば、それこそ60秒のCMでもいくらでもある。
残念ながら脚本が突き詰められていないのだ。
本作の評価を厳しくした理由はここにある。
ばんちぃままさん
コメントありがとうございます!
プラスに評価している方は個々の場面がよかった、楽しかった、という方が多いような。でも、それだと「映画」じゃないんですよね。
映画の体をなしていない。
まさにその通り。
映画にしろ、小説にしろ、
そこには主題があり、それを受けとる側に納得させるストーリーがなくてはならない。
主題にしたかったことはなんとなくわかったが、今さら映画に教えられるほどのことでもなかった。
その主題にせまるようなストーリーにも人物設定にも状況設定にもまるでなっていない。
この映画に感動できる人は主題らしきものを人生のなかで考えて来なかった人、ストーリーを勝手に自己補完しちゃう読解力に欠ける人なのではないだろうか。