「対象はすごく狭いけど…」未来のミライ flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
対象はすごく狭いけど…
人の親、それも兄弟(または姉妹など)の親でないと通じないネタが機関銃のように連射される映画。というか前編ほぼそれなので、通じない人にはくんちゃんは単にクソガキにしか見えないだろうな…と心配になるほど(笑)
そのクソガキ一人称の形式ではあるが、表現は親からの目線そのもの。なので子育て経験がある人にはツボにハマりまくるだろうが、対象外の人はひたすらイライラするばかりなんじゃなかろうか。
自分自身も含めて、全員が間違いなくここで描かれたクソガキそのものだったのだが(笑)
自分にはさすがにそんな記憶はないけど、例えば高校生くらいなら、まだ自分に弟や妹ができたときの焦りや苛立ちを憶えているものだろうか…?
そして子は親の知らないところで勝手に成長する。
さらに親も子によって少しずつ成長して「親」になっていく。
子供向けとしては、序盤にヒト化した飼い犬のゆっこがストレートに説明している部分がそうだろう。ここは子供向けの説明シーン。大人なら言わずもながなので、ここで言葉で説明する必要はあるまい。
飼い犬がくんちゃんとまったく同レベルで嫉妬心を燃やしていたのもリアルで面白い。よく見てるな、と思う。
親子連れで見に行ったら、観賞後にいろいろ子供と話してみたいことができそうだし、子供が手を離れてしまった「遠い昔の子育て経験者」の自分としても、感じるところが多くあった。
でも今現在のこの時点で、細田監督がここまでストレートに「分かる人にだけ伝われば良い」と言わんばかりの作家性の高い作品を創るとは思わなかったが。
あ、くんちゃん役のキャスティングには確かに違和感あった。終盤にはさして気にならなくなっていたが。
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