「なりたい自分と現実の自分」志乃ちゃんは自分の名前が言えない sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
なりたい自分と現実の自分
人の仕組みとは、どうしてこんなに複雑なんだろう。
母の前では何事もなくスラスラと言葉が出る志乃が、ひとたび場面が変わるだけで発話障害を発症する。
自分にその障害の経験がない者からすれば、担任のように「落ち着けば大丈夫」「ゆっくり話してごらん」などと発話者自身の気持ちに寄り添ってリラックスさせてあげればいいのだろう思うかもしれないが、それがかえって当事者にとっては「ありのままの自分を否定される気持ちにつながる」ということへの想像は、通常なかなか持てない。
ましてや、ついこの前まで中学生だった子どもたちの、新たな人間関係づくりの場。
心ない言葉をぶつけてしまう容赦なさも生まれてしまう。
そんな中で出会った加代。
「書けばいいじゃん」の一言が、志乃にとってはどれだけ温かかったことか。
とはいえ、その加代に対しても、加代の音痴を思わず笑って傷つけてしまう志乃。
でも、それこそがリアルだし、2人の主人公をはじめ、登場人物に安易なレッテルはりをせず、日常の軋轢を丹念に積み重ねて、わかりやすい展開に落ち着けないよさが、作品の豊かさにつながっていた。
途中、志乃と加代2人で、少しずつ世界を広げていく時のあの無敵感がたまらなく眩しかった。
決してうまい訳ではないのに、聴くものの胸を打つ2人の演奏。
久しぶりに聴いたブルーハーツの「青空」に思わずホロリときた。
そして、クライマックスの加代のカッコよさ!
今日もいい映画を観た。
くるしいなかからのおたよりをありがとうございました
そういえばこのさいとも ちいさな めもちょうなのかもしれない
ほんしんの
かきつける かきつけるこのいのちづな
りかさん、コメントありがとうございます。吃音も含めて、広く発話障害と使いました。他の人から見れば障害かもしれませんが、その場でそういう状態になるのは、本人にとっては自然なことなのだと思います。誰もが、大なり小なり、その人特有の反応をする場面があると思います。「書けばいいじゃん」って言える友との出会いが救われます。
本作まとめにくくレビューしていません。発話障害とは、吃音のことでしょうか。
二人のデュエット良かったのに、
達成できないストーリー、リアルだし実話というからでしょうが。
なんか、考えさせられるラストで、難しかったです。