「青春時代の気持ち」志乃ちゃんは自分の名前が言えない るるさんの映画レビュー(感想・評価)
青春時代の気持ち
志乃ちゃんがメインのお話だったが、自分は学生時代、友達作りに必死だったため、菊池にすごい感情移入した。菊池はいじめられた過去があり、高校デビューする為に、クラスメイト達にたくさん話しかける。自己紹介で目立つ発言で人気になろうとするが、失敗した。そして志乃ちゃんの自己紹介の番になって、吃音で自分の名前が言えないしのちゃんのことを笑う元凶になった。クラスに溶け込むには陽キャになることが大事。菊池は学校での居場所を作るため、自分を守るためにしのちゃんを利用した。学校ではありがちなことだな、、、と思った。自分も、学校は1人になったら終わり。と思っていたので菊池には共感する部分は1番多かった。それでも菊池は空気が読めないうざいやつとしてみんなから煙たがられていた。
菊池は、1人は嫌で、友達がほしくて、ここなら自分の居場所になるかも、と、自分の利益になることだけを考えて、2人の間に割って入った。本当に都合が良すぎるなと思った。でも、1人になりたくない、友達作りに囚われている菊池の気持ちも理解できる。
学校祭当日、しのちゃんが歌うはずだったが、発表時間になってもしのちゃんは現れなかった。かよちゃんは、人には聞かせたくないコンプレックスである、音痴な歌声を全校生徒の前で披露する。その覚悟ある行動に、かよちゃんと菊池は胸を突き動かされる。2人の目にはかよちゃんがとてもかっこよく映ったと思う。
ありのままでいい、という意味の歌詞が、かよちゃんの行動でそれを体現していた。それぞれがバラバラに、ありのままで自分達の道を歩んで行ったという終わり方。みんなコンプレックスや悩みを受け入れて自分らしくそれぞれの道を歩んで行った。という良い意味でのバラバラで、それぞれの成長が垣間見れていい終わり方だった。南さらさんや蒔田さんの演技、素晴らしかった。特に1番好きだったシーンは、菊池演じる萩原利久くん。二面性のある役どころだからかなり難しかったように思うが、それを見事に演じ切っていた。駐輪場でしのちゃんに「お前、弱虫だよ、ゾウリムシだって戦うからな!」のシーンは本当に見ていて痛々しくてみていられないほどにリアルで自然で、素晴らしかった。しのちゃんに対する怒りと、公の場で無視されるという恥ずかしさと、いろんな感情がうまく調和された演技。踵を返して立ち去る姿まで青臭い高校生感が滲み出ていた。