「私を恥ずかしいと思っているのは私。」志乃ちゃんは自分の名前が言えない くりさんの映画レビュー(感想・評価)
私を恥ずかしいと思っているのは私。
学生の頃、人との距離感が
わからなくて、
ノーガードでぶつかりあいながら
同じ思いをもっている友達を
見つける話。
同じ思いというのは、
自分をさらけ出しても、
理解してもらえる友人が
欲しいという思い。
ただ本作で、本人達には、
それぞれ一般的には、劣等感をいだく
個性がありました。
吃音と音痴と場を読めない個性。
この作品がとても好きになったのは、
彼等がそれらを含めた
自らのもつ全身全霊の人間性を
どうやって表現したかというところ。
その生身の言葉や行動に
笑ったり、ふるえたりしました。
ひとつめは、
勇気をだして、初めて加代に
声をかけての
筆談のやりとりのシーン。
てっきり、うんこかなと。
ふたつめは、
志乃が加代に、自分が頼んだ
ギター演奏に笑ってしまったことを
詫びたシーン。
みっつめは、
初めての野外演奏で、ひびった
志乃に、加代がかけた言葉。
最後は、志乃が
文化祭で、「魔法」を唄う志乃や
みんなに向かって、叫んだシーン。
本当に、頭がじーんとしました。
鼻水垂らしながらの
本気泣きを久々にみました。
私の親父も、少しつっかえながら
話します。
でも、
それが、恥ずかしいことだと
思ったことは、ありません。
それは、話しにくいのを
あえて話す言葉に重みを感じてた
からで、
食事の時など機嫌のいいときでも
つっかえてました。
キャラとしてとらえてました。
まぁ、
子供のころから母親に
この人は、しゃべる時は
こんなだけど、
やるときはやるだの
考え方が正しいだのといろいろ
洗脳されてたからかもしれません。
まぁ、理解者なんですね。
だから、
文化祭で
志乃が今までいえなかった
自分の気持ちを
自分の言葉で語った後、
ステージから加代が微笑んだことや、
いままで話したことがない
クラスの子から、ジュースをもらって
話しかけられてたシーンは
好きです。
自分のありったけの願いをこめた
思いは、
どこかで必ず受け止めてくれる
人がいるよ
というメッセージに思えて。
おすすめです。