「ようやく作り上げた小さな世界の儚さ」志乃ちゃんは自分の名前が言えない だしまきたまごさんの映画レビュー(感想・評価)
ようやく作り上げた小さな世界の儚さ
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問題を抱えた人のサクセスストーリーかなと思って見たら、とても現実的なラストで衝撃を受けました。
吃音の描写も吃音協会に取材してるだけあってリアルで、映画のテンポは悪くなってますが志乃だけに感情移入しすぎず客観的に見れるようになってます。
あのまま菊池くんの加入を受け入れ、素直に3人でバンドの練習をして文化祭に参加するのが理想的なのかも知れません。
でも、これまで苦労して築き上げてきた小さな世界に得体の知れないものが入り込む恐怖って、生きづらい思いをしている人にとっては非常に耐え難いものなんですよね。
謝ってくれたとはいえ以前自分を傷つけた菊池くんの前で自分を出せないとか、佳代と菊池くんが音楽の話で盛り上がってて自分はこのまま蚊帳の外になってしまうのではないかっていう恐怖がひしひしと伝わってきました。
僕はこういう失敗を繰り返してしまい、今でも謝りたい人・謝って欲しい人・また仲良くしたい人が沢山いて時々夢に見ます。
志乃、佳代、菊池くんの3人はこれからどうなっていくんだろうと考えさせられるラストでした。
個人的には不器用ながら二人のことを思いやるようになり、最後には孤独を受け入れた菊池くんにホロリときました。
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