フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のレビュー・感想・評価
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すぐ側にはディズニー・ワールド
色が豊かでPOPなカラフルさが鮮やかにムーニー率いる子供ギャングが楽しそうで自分の幼少の頃を思い出す近いような遊びはしていたなぁと。
子供ギャングに翻弄される大人が特に管理人ボビーは毎日が大変でオマケにムーニーの母親ヘイリーにも頭を悩ませて最強親子。
良い意味でも悪い意味でも親が親なら子も子って感じの二人でムーニーもヘイリーも予測の付かない行動ばかりでとにかく周りを困らせる破天荒極まりない場面に笑わせられる。
そんな毎日が楽しそうだが根深い問題は山積みで本来なら暗く重い物語の方向性になりそうなのに陽気な天候のフロリダにクレイジーな色使いの建物の数々にヤッパりこの親子の姿に明るく愉快に観れてしまう!?
監督の前作「タンジェリン」の雰囲気も感じられ個人的には「神様なんかくそくらえ」の主人公と母親ヘイリーが何となくカブるし「トリュフォーの思春期」を思い出す子供描写。
母親ヘイリーがジャンキーだったら目も当てられない最悪な結末が!?と勝手にホッとしている自分が!?
気のせいかな?メイコン・ブレアが!?
今年のベスト級。まさかの大穴大当たり
もしアメリカンニューリアリズム映画というカテゴリーがあったら、その傑作リストにリストアップされてほしい作品。
アメリカ映画のリアリズムというのはなかなか難しい。ありふれたつらい現実が霞むような過酷で強烈な現実が多すぎる。社会問題の最大公約数が1つや2つではなく、あまりに多すぎる。
戦争(中東や西アジア等)、国内テロ、銃のバイオレンス、麻薬、ラテンアメリカとの関係、そしてなんといっても肌の色の問題。映画がリアルで扱う題材に強烈なものが多すぎて、他の国では普遍的な大きな問題である貧困(失業・被扶養者の生活・借金等)のテーマがかすんでしまう。
しかし、映画という芸術の在り方として自由主義経済社会における限り、この貧困の問題に向き合うことは映画の作り手の逃げられない役割の一つであるはずだと思っている。
監督はケンローチなどのイギリスソーシャルリアリズムやイタリアン・ネオレアリズモに影響を受けたとのことだ。とはいえ、時代と国が違うので、欧州系リアリズムとはアプローチが異なる。異なって当然であろう。
焦点はモーテル住まいの母子家庭に当たっている。ただし当て方が子供からの大人に向かうアプローチだ。加えて、モーテルの貧困コミュニティーに視点をさらに広げ、そしてさらに、お隣の夢の国にまで視点を伸ばしていく。
そこで描かれるのは、実は母子家庭とノーマル家庭の差異ではない。同じコミュニティ内の母子家庭間の格差である。これはなかなかむごい現実である。みたところ同じ境遇なのに顕在化してしまう格差。
こういう「目立たちにくい格差」を繊細に丁寧に描いているというところが、すばらしいところだ。
音楽に頼らないという姿勢もなかなか見事だと思った。この手の映画、特に子供中心の映画は音楽に頼りがちなものだ。しかし、ほぼ音楽無しで通している。エンドロールも無音だ。そのかわり、人間同士の諍いやいろいろな雑音が絶えず聞こえてくる。そうなんだよね、生活音こそが実はリアルなんだよねという事実を実感する。
あり触れた貧困を普通に取り上げるこうしたアメリカ映画がもっと増えてほしい。増えるには商業ベースに乗せないといけないのだから、それならまずは自分が鑑賞にお金を出すことから始めることかもな、と思う封切り初日の夜なわけです。
前半ガッツリ寝てしまった…。子供が思ったよりメインで、笑ったりふざ...
前半ガッツリ寝てしまった…。子供が思ったよりメインで、笑ったりふざけたり怒ったりする感情が物凄く自然で、だから最後はぐっときた。
あんまりハマらなかったけど(ちょっとママが頭悪過ぎて…)ムーニー役の子の可愛さは最高でした。
夢の国は近くて遠い
夢の国の目と鼻の先で繰り広げられる 隠れホームレス と呼ばれるような貧しい人々の日々を描いたこの映画
まずは映画全体を通しての 目に優しい というか とにかく幻想的な色合いであったり構図の取り方にうっとりとしてしまう。 夢の国の近くということもありそもそも 映える ロケーションが多いのかもしれないが 何よりも作り手のセンスがとてつもなく良くて、景色の中に美しく溶け込む子供たちの姿が印象的だった。
貧しく苦しい彼らの日々が美しく見えなければそもそもこの映画は成立しないので、語ろうとする物語に対しても完璧と言ってもいいぐらいの映像美。
お話の語り口としてははほぼ徹頭徹尾子供たちが生きる世界を通して描かれているのだけど、またこの子供たちの姿素晴らしい愛らしさときたら!
何をどうしたらここまで子供たちをカメラの前でここまで ありのまま に切り取れるのか。演技のレッスンをキチンと受けさせた上での演出との事だけど、監督の手腕が光る驚異の 子供達の一夏の日々 映画だったと思う。
また、母親役の ブリアベネイト は監督がSNSで見つけてきた完全なる演技素人との事だけど、このキャスティングも驚異的なハマりっぷり。子供を大切に思うという気持ちは貧しさの中でも彼女はキチンと持っている強い女性だったけど、社会で生きていく上ではそれだけでは母親にはなれない。 そんな現実を元ママ友から突きつけられた彼女が部屋で自分の弱さとやるせなさを文字通り 吐き出すシーンがとても痛々しくて切なかった。きっとこの 強さ と 脆さ 両方を体現できる素質を見込んで監督は彼女を選んだんだと思う。
全てを見守るウィレムデフォーの演技の優しくて切ない感じも本当に良くて、この映画を見た人全員が彼のことを好きになると思う。
そんな、素晴らしい映像に素晴らしい役者陣に素晴らし演出が混ざり合ったこの映画はまさしく 魔法 のような儚さと美しさを持っている。
ラストの本場の夢の国へと飛躍するファンタジー展開は 彼女たちが夢の国に助けを求めに行った という風にも受け取れるけど、個人的にはその夢の国こそ我々が生きる現実世界そのものであるという風に感じた。
(ラストのみで展開される撮影方法のアプローチの仕方から見ても、劇中最も現実世界のような手触りで見えるように あの場所がとられていた)
今まで 社会の隅の なんなら別世界で起こっているように感じたこの映画の出来事も 我々が生きる同じ世界で起こった 全て現実なのだ でもそれが今は切り離されてしまっている という問題提起を、最後の最後で見る側にある種逆説的に訴えてくるこのラストシーン シャレにならん
是枝監督自身もラジオで言っていたが、語ってる内容とかがすごく 万引き家族 と通づるものがある
個人的には今年ナンバーワン映画候補筆頭!
本当に素晴らしかった
メイプル
フロリダのモーテルをアパート代わりに月1000ドルの部屋代で暮らす人達と管理人の話。
主に一組の母娘とその周辺の住人達と、管理人をみせて行く流れ。
もちろん裕福ではないけれど決して極貧ではないし、頑張る気がなく自業自得な母ちゃんとそれに準じる娘に、五月蠅いけれど何だかんだと優しい管理人。
悪くはないけれど、同じ様なシーンの繰り返しだったり、投げっぱなしだったり、30分以内のショートで良いんじゃないかという感じ。
夢の国の傍らで逞しく生きる母娘を見守る管理人の視線が優しい
フロリダのディズニーワールドの近くにある格安モーテル、マジックキャッスルに母ヘイリーと暮らす6歳の少女ムーニーは、近所の仲間スクーティやジャンシーと毎日楽しく遊んでいた。しかしそこは観光客もドン引きする貧困社会。大人達は毎日厳しい現実に喘いでいるが、6歳の子供達にとってはどこまでも広がるアドベンチャーワールド。ヘイリーはそんな現実に翻弄されながらもムーニーには溢れんばかりの愛情を注ぎ、時折素っ頓狂なトラブルを起こす彼らを厳しくも温かく見守る管理人ボビーにもどうしようもない暗雲が極彩色の世界を覆いはじめる。
頻繁に飛来するディズニーワールド行きのチャーターヘリ以外は見渡す限り廃墟のような世界とそこでたくましく生きる人々を6歳の目線の高さにほぼ固定されたカメラが優しく見つめる作品。厳しい現実を容赦なく描きながらも時折放り込まれるギャグで場内大爆笑。それゆえ最後の展開に胸がつまります。子役達も助演陣の演技も見事ですが、デタラメな連中に振り回され疲弊しながらも決して人としての優しさを見失わないボビーを演じるウィレム・デフォーが実にかっこいいです。
心が重くなる映画
社会性のない子供の行動や責任感のない母親に神経を逆撫でされるが、素人と無名の役者をキャストしたことによる登場人物のリアリティはとても新鮮である。唯一ベテラン・有名なウィレム・デフォーは、劇中でも未熟で恵まれない主人公たちの父親代わりを好演している。主人公の母親が真っ当な生活をしようとしないところにかなりイライラしたが、「頑張ればなんとかなる」っていうこと自体がラッキーなことで、それさえ与えられてない人たちもいるのかなと思うと、心が重くなる映画であった。
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