劇場公開日 2018年5月12日

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「夢の国の傍らで逞しく生きる母娘を見守る管理人の視線が優しい」フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0夢の国の傍らで逞しく生きる母娘を見守る管理人の視線が優しい

2018年3月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

フロリダのディズニーワールドの近くにある格安モーテル、マジックキャッスルに母ヘイリーと暮らす6歳の少女ムーニーは、近所の仲間スクーティやジャンシーと毎日楽しく遊んでいた。しかしそこは観光客もドン引きする貧困社会。大人達は毎日厳しい現実に喘いでいるが、6歳の子供達にとってはどこまでも広がるアドベンチャーワールド。ヘイリーはそんな現実に翻弄されながらもムーニーには溢れんばかりの愛情を注ぎ、時折素っ頓狂なトラブルを起こす彼らを厳しくも温かく見守る管理人ボビーにもどうしようもない暗雲が極彩色の世界を覆いはじめる。

頻繁に飛来するディズニーワールド行きのチャーターヘリ以外は見渡す限り廃墟のような世界とそこでたくましく生きる人々を6歳の目線の高さにほぼ固定されたカメラが優しく見つめる作品。厳しい現実を容赦なく描きながらも時折放り込まれるギャグで場内大爆笑。それゆえ最後の展開に胸がつまります。子役達も助演陣の演技も見事ですが、デタラメな連中に振り回され疲弊しながらも決して人としての優しさを見失わないボビーを演じるウィレム・デフォーが実にかっこいいです。

よね