ゲティ家の身代金のレビュー・感想・評価
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オーソドックスかつ重厚なクライムサスペンス
リドリー・スコットとしては珍しいジャンルの作品。アメリカの大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫の誘拐事件を映画化した。 大好きなミシェル・ウィリアムズが母親を演じる。彼女のファンにはありがたい作品だ。交渉人役のマーク・ウォールバーグも好感度の高い個性を生かしている。 ゲティ役はケビン・スペイシーのセクハラ・スキャンダルによりクリストファー・プラマーに交代したということだが、これが実にはまっていた。オスカーは逃したものの紛れもない名演! スコットもプラマーも老いて益々盛ん。オーソドックスかつ重厚な傑作となつた。
We are look like you, but we are not look like you. ハズレの方のリドリー・スコット
リドリー・スコットが名監督なのは間違いないにせよ、アタリハズレの多い監督なイメージ。で、本作はハズレの方でした。
実話をベースにしているからかもしれないですが、何ともテンポが悪い。結構退屈な割りに133分と少々長め。うーん、久々に観ててしんどかったです。
マーク・ウォールバーグがいかにも優秀そうな感じで出てたのですが、結局何もしてないのでは!?
ケビン・スペイシーからクリストファー・プラマーへの代役が話題になった本作ですが、肝心の映画自体があまり話題にならなかった事に妙に納得でした。
孫の誘拐期間中にも高額な美術品を買い漁っていたことや、来客用の公衆...
孫の誘拐期間中にも高額な美術品を買い漁っていたことや、来客用の公衆電話の存在など、ゲティ氏のケチぶりが伝わるような生前エピソードの描写にかなりの時間が割かれていたので、その点を「展開がスロー」と感じた人もいるのかもしれない。実話に基づいた作品は、アベンジャーズに代表されるようなハリウッドのアクション映画とは性質が異なる。
ただ、私的には最後に何がゲティ老人の心を動かしたのか今ひとつ説得力に欠けた。これほどドケチとして筋が一本通っている人物が、「全額支払い」に意思が転じた動機の描写は今ひとつだった。
でも総じて良い作品
守銭奴の極み
徹底的に金にこだわり、全ての物の価値を金額で計ろうとするゲティの姿勢には、人間味のかけらも感じませんでした。しかし、自分の生き方をここまでブレずに貫かれると、いっそ清々しいです。口には出さずとも、誰しも似たような部分を少しぐらいは心に持っていると思うからです。 そんなゲティをクリストファー・プラマーが、代役とは思えぬ貫禄の演技で見せてくれます。守銭奴としか思えないゲティですが、その陰にある別の側面も、うまく描き出していたと思います。 ただ、映画として見ると、展開や映像に派手さはなく、ラストも少々物足りなさを感じたのは否めません。事実をもとにしているのはわかりますが、もう少しドキドキワクワクするようなものが欲しかったです。
家族のつながり
離婚の際に見せたゲイルの交渉力から、これからどんな風にゲティと闘うのだろうと期待が高まったのでちょっと肩透かし。そんなに交渉しなかった。
お金に取り憑かれた悪魔の話ではなく、家族の話なんだと思う。
ゲティは子や孫たちを家族(血族)として大事に思っているが、この映画で家族のつながりを成し得るのは血の繋がっていない人々だ。
チンクアンタはポールを家族のように思い、守ってしまう(彼のその後を思うと胸が痛む)。チェイスは彼らを守ることで家族になる。ついでにイタリアマフィアは女性が身の回りの世話を焼く擬似家族だ。
聖母子のような純粋な家族愛を求めたゲティ。彼がお金で買えなかった家族のつながり。
ゲティは実際、孫を守ろうとしているし、その判断は的確だ。イタリアの警察が全く頼りにならず信用もできない中、優秀な交渉人がいたのは大きい。
「母の愛」や「母は強し」のような母性愛礼賛でなかったのは意外だったが、良かった。部屋に飾ったイーストウッドのポスターは彼が監督したチェンジリングへのアンサー?
パパラッチの描写がしつこく描かれて、観客の視点がゲイルと同化し、画面に向かってフラッシュが焚かれるショットはほんとに不快。監督も恨みがあるんだろうなと思った、なくてもいいショット笑
マークウォールバーグがすっかり歳を取っていて驚いたが、この映画のウォールバーグは魅力的で、ブギーナイツのころを懐かしく思う。そしてチンクアンタはロマンデュリス!!そういえば彼のこと好きだったことを思い出した。
wikiでみるとゲティ家はみんな幸福というわけでもなく、お金で買えるものは限度があるのかなとは思う。ポールのその後の人生も「幸福な」と形容されるものではなかったようだ。
ネタバレです
二重の誘拐ストーリー
ゲティにとっては、孫のポールは二重に「誘拐」されている。
一義的にはもちろん誘拐犯に。
そして息子の別れた妻のゲイルに。
従って、この誘拐事件は、ややこしい二重構造となる。この重層性が、本作の見所。
よくある誘拐モノにある犯人との交渉に加え、この映画では、ゲイルとゲティの交渉を描くことにも比重が置かれることになる。
だから、物語の前半で、ゲイルはいかにして子供たちをゲティから「奪ったか」をていねいに描く。
本来は離婚に伴う慰謝料など、ごっそり請求できるところ、ゲイルはすべてを放棄して、我が子の監護権を手に入れる。
「値段がつかないものは、この世にはない」という信条を持つゲティにとっては、到底太刀打ちできない交渉条件であり、ゲティは孫を奪われてしまう(と同時に、ここではゲイルがネゴシエーターとして大胆かつなかなか手強いことが描かれる)。
死を意識しつつあるゲティにとって最も重要なことは、自分が築いた財産を出来るだけ散逸させずに相続すること。
ゲティは、「二重に誘拐されている」孫のポールをどう奪い返すか、という難題に直面する。
単純に身代金を出せば、孫は生還するだろう。しかし、それではポールを遺産相続人にはできないのだ。
結局、ゲティは身代金を払う。
しかし、それを決心させたのは「耳の記事」が載った新聞でも、元CIAの彼の部下チェイスの説得でもない、と解釈した。
そうでなければ、「監護権の譲渡が行なわれなければ身代金は払わない」、という条件設定をする意味がない。この条件こそが、ポールを「二重に」奪い返す妙手だった。
本作は、この二重構造を、ゲイルを起点としたことで、単純には見せず、結果、物語に奥行きをもたらしている。
こうした構成を実現しつつ、テンポよくストーリーを運ぶ演出は、さすがはリドリー・スコット。
美術品に溢れた世界一の大富豪の家も見応えがあり、映画館の大画面で観る楽しさがある。
原題All the Money in the Worldがしめす通り、最後は結局カネなのか。表面的には、そう描きながらも、ゲティが希求したのは親族への遺産相続だったことから、本作は家族を描いた映画だった、と言える(ゲティの死後、ゲイルは「ミセス・ゲイル」と呼ばれていたことに注意、彼女とチェイスとの家族に関する会話も効いている)。
金持ちの思考回路はわからん
孫が何人もいて、一人に対して身代金を支払ったら…という理屈は解るけど、一番大事な孫なら払ったら?と思うけど…。 よくわかりません。 まあ、実話ということで、これ以上話を膨らませることはできなかったんだろう。 可もなく不可もなく? もう一度観ることはないかな。
金が仇の世の中なれど…
クリストファー・プラマーのはまり演技が凄すぎで、とても代役とは思えません。山積みの新聞が風に煽られ乱舞するのをスローで追いかけるシーンは、シェイクスピアの舞台を見ているような鬼気迫るものがありました。
ゲティ老だけでなく、息子の命、人質の命、切り落とされた耳のスクープ権、全てを使えもしない金で換算する世の中の不気味さと滑稽さが切ない作品でした。
リドリー・スコットが描く70年代!
実際にあった誘拐事件、実際にあった大富豪の身代金拒否...という、実録物という事で、プロット的にはこうなるだろうなーの域を脱していなかったので、若干の肩すかし。でも傑作だった!ケヴィン・スペイシーがスキャンダルを起こして降板、急遽代役で撮り直し...という、色んな苦労話と逸話が絶えない作品なれど、そこばっか強調されたら、この映画の素晴らしさを見逃してしまう!リドリー・スコット爺といえば、やはり「ブレードランナー」「エイリアン」諸作の退廃した近未来~未来か、「コロンブス」「デュエリスト」「グラディエイター」などの古代を舞台にした作品が多いが、今作は1970年代。その描き方がエグイ位に素晴らしい!完璧主義者(だと思っている)のスコット監督が描く70年代は、細かい描写や大物小物、人の仕草に至るまで、完璧としか言いようが無いと思った。そしてその監督のオーダーを完璧に演じたミシェル・ウィリアムズがやはり素晴らしいのでした。プラマーの天然演技もいいし、こんなちょい役(でもいい奴。しかもイタリア人!)でフランスの国民的俳優=ロマン・デュリスを使うのも凄い。素晴らしき演技者が入り乱れるが、その根っこには、傑作になりそうもない題材を傑作にしてしまう、リドリー・スコットありきの映画だと分かる。結局のところは傑作です!
誰が為に、銭はある
巨匠、リドスコおじさんの、出汁ほとばしる快作にて、怪作。ゲティ坊やの世話をする小悪党に、いちばん人間味を感じるくらい、善悪の尺度が狂っているのが、天晴れ。燃え盛る闘魂で、石油を堀り抜く銭ゲバ野郎の一代記「ゼア ウィル ビィ ブラッド」と、ヤバいイタリア観光案内「ゴモラ」を、同時に観た気分です。 ゲティ爺さんの、不気味さ、得体の知れなさは、ほぼ地球外生物ですね。つまり、エイリアン。どうも、銭ゲバエイリアンは、初めからヒトの心に棲息。今にも、内面を突き破って出てくるようです。宇宙船も、クローン技術も要りません。 舞台は、レプリカントの1人や2人、いそうなくらい怪しい街。(ご丁寧に、グラデュエーターの養成所まで、あります。)ここで、ビジネスとしての人さらいと、節税としての身代金が、せめぎ合う姿は、プレデターvs エイリアンかと、思いました。 そんな銭ゲバエイリアンから、家族を守り抜く女性こそ、リドスコおじさんの理想なのかな。ミズ・ゲティの力強さが、リプリー宇宙飛行士に、受け継がれてゆくようです。 それはともかく、誰が為に、銭はある?。
ある意味怖い
計れる富は本当の富豪ではない。 トップになるには特出していないといけないのであろう。 一般人には中々理解し難い。 実話は知らず、 孫の誘拐ということで勝手にもう少し小さな子どもを想像していた。 結構良い年だった。 そしてミシェルウィリアムズの表情に毎回驚く。 ヒステリックな役が多い印象。
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