「誰でもマスクをかぶれる。」スパイダーマン スパイダーバース 財団DXさんの映画レビュー(感想・評価)
誰でもマスクをかぶれる。
この春休みの映画において、いや2019年の映画において、いや全アメコミ映画においてベスト級の作品が来てしまった!!スパイダーマンを扱った他のどの作品よりも、本作はぶっちぎりのNo.1ということを断言しておく。
まずは何と言っても映像面における“革命”だろう。冒頭のSONYのロゴから映像の乱れによって観客がアメコミの一コマに入り込んだかのような演出を取れ入れている。お馴染みのピーター・パーカーが颯爽と活躍し、その後にマイルス・モラレスの日常が進んでいく。このOPシークエンスだけで最高の映像体験だ!!こればかりは観て体験してもらうしかないのだが、IMAX3Dで鑑賞した筆者はどこを切り取っても一枚絵として成立する圧巻の映像にかじりつくようにして見入っていた。
さらに物語とそれを彩るキャラクターも見事だ。主人公のマイルスは黒人の血を引くと同時にハーフで思春期のティーンエイジャー。別次元のピーターはくたびれた中年でグウェンはクールビューティの女性ドラマー。終始白黒のノワールやジャパニメーションバリバリのペニー、動物のハムに史上最強との声も多いメイおばさん。皆とてもフレッシュな人物像で、手垢のついたスパイダーマンユニバースにおいてとても活き活きとしている。そんな彼らが元の世界で感じていた孤独を互いに理解し、力を合わせて世界を救う。言うなればスパイダーマンだけのアベンジャーズ!!そして、陳腐になりがちなパラレルワールド設定も、息もつかせない物語と『誰でもマスクをかぶり、ヒーローになれる』という多様性を訴える強いメッセージで上手くカバーされている。
何より主人公マイルスの成長譚が素晴らしい。憧れの叔父の正体を知り、失い、無力感に苛まれる。そんな彼を支えるスパイディーチームと両親の絆には涙が止まらなかった。もちろん、ヒーロー映画としての“アガる”演出もおさえている。師匠の教えをとてつもないスピードで吸収し、強くなるマイルス!光学迷彩に電撃パンチ!!各スパイダーマンもユニークな能力でヴィランズを蹴散らし、クライマックスも盛り上がる!!!
アクション、アニメーション、ユーモア、涙。全てが詰まった究極のスパイダーマン映画に喝采を送る!!