「泣くな、笑え」ルームロンダリング きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
泣くな、笑え
後半の《間延び感》を指摘するレビューもあるけれど、
でも映画を観ている僕は、僕自身の記憶の中のたくさんの死者と、その残された家族への想いがこんこんと湧いて溢れる-そんな満たされた後半でしたね。
この歳になれば
たくさんの人とのいろんな別れがあったわけで、
思い出はどれも哀しいわけで。
だから
つまりはあんまり隙間なく完成されてしまう映画は、こちらの感情が分け入る隙間もないわけで、想いが乗ってくる後半にストーリーを緩くしてくれるこういう映画は僕の好みなんです。
何度か飛行機を見つめるシーン。あれは「ペタル ダンス」での祈りのオマージュだろうな。
エンドロール⇒良かった!!
御子(みこ)が描いたスケッチブックが温かくてねー、しばらくはティッシュで目を抑えていました。
あのスケッチブックのアイデアは、この映画制作に参加した出演者とスタッフみんなの
(御子のように口に出来ずにうつむいて心に抑えてきた)いくつもの別離を、一つ一つ優しく汲み取ってくれるだろう秀逸なアイデアだったと思います。
かつては孤独死の遺体ばかり描いていたこのスケッチブックですよ。それがエンドロールでは死を悼んで今を生きるスタッフの一体感の体現になってます。
御子は美大に行かせてもらったようだし、
好きな男の子も出来たし、めでたしめでたし。
僕も死んだ友人たちを心に覚えつつ、元気に生きて行きたいと思うよ。
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グレシャムの法則さんのコメント
2019年2月3日
きりんさん、コメントありがとうございます。身近に叔父叔母的な人がいれば、野田市の児童虐待なども最悪の事態は避けられたかも、といまの社会では無い物ねだりに近い無念さを感じました。