「文化包丁と出刃包丁」ルームロンダリング bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
文化包丁と出刃包丁
異能のこじらせ女子が職業を通じてこじらせを酷くして行き、最後にはねじ切れて普通女子になってしまうまでを記録した、極薄味映画。
展開・画面・セリフ・役者の表情・音楽の全てがシンクロし、「ここ泣くところです!」と切迫してくるヤツが苦手だ。原作者・カメラさん・脚本家・役者・作曲者・監督が、面前30cmに雁首並べ、こちらの顔をのぞき込み、涙を流すのを待ってるんですよ。
どんなストーカーだよ!
そういう点では、この映画はダイジョブでした。むしろ、そうなることを避ける余り逆相まで吹っ飛んでしまった感あり。そもそも登場するユーレイの役割は「客を笑かすこと」だもの。包丁ジョーズとか、本気で噴いちまいました。一番ユーレイらしく登場した光宗薫だったのに速攻でギャグキャラ化。
1回だけ切なくなってホロリとしてしまう映画で、そこがツボだったりします。
現世現実の人間と、成仏し損ねた元人間の接触交流は、巷に溢れ返っているネタで新鮮味も何も無いけれど、いかなるドーピングにも頼らず軽妙に話を進め、少しの事件と少しの種明かしで話を締めた後、ルームロンダリングなる職業を執行する新トリオを作っちゃってお終い。これ、2への布石でしょ。完璧じゃないですか。
女性陣の配役には、ちょっと苦言を呈したいけど、池田エライザは丁度いい感じで緩くはまっていたと思います。もっと頑張って欲しいけど。あ、渡辺エリさんには文句ありません。
とにかく、重苦しくなく・暑苦しくなく・怖くないシックスセンス。ただ、ちょっと軽くなりすぎたかな。
なお、文化包丁も出刃庖丁も、それ程までの殺傷力は無いと思う、経験無いけど。
きりんさんへ
私も良い映画だったと思いますよ。死者のわだかまり、というか、「成仏していないものは皆、この世に何らかの思い残しがある」、と言う事を理解し、寄り添う気持ちがあったのは、御子よりもむしろ悟朗だった訳で。その上で、あえて御子をロンダリングに送り込んだ意図は、御子に死者の想いとの向き合い方を知って欲しかったからだと。この部分は、結構深くて良かったと思います。
全編を通して、リアルさを排除しコミカルなタッチが溢れており、監督は「主題のゴリ押し感」をあえて排除していると理解しています。「極薄味」を言う表現は、それを指したつもりです。
コメント、ありがとうございました!半年以上前に見た映画でしたが、あの独特のホンワカ感を思い出しました。
〉経験ないけど
〉超薄味映画
そうですか(笑)
僕は殺された友人の遺体に対面したこともあるし、飛び降りや溢死の知人もいるので濃厚な映画でした。
たくさんのわだかまりに寄り添ってくれるいい映画だったと思いますよ。