「家族の色」かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発 やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
家族の色
まず何より、『かぞくいろ』ってタイトルが素敵だなと思いました。
チームカラーって言葉は、よく使いますよね。チームの特色ですね。街の色って言葉、偶に耳にしませんか? 色調そのものに使う事もあれば、雰囲気を表現したり。
そして、家族の色っていうのも有るんじゃないかなと。
それでですね、チームカラーや街の色が時間を掛けて決まっていくように、家族の色も様々な家族の形があって、その上で時とともに様々な色が付いてくるのかなと。
映画は、修平、晶、駿也の家族に色が付き始めた様に感じるシーンから始まります。
しかし、早々に家族の形が変わってしまい・・・。
祖父の節夫、口数が少な目。なので、必然的に間が多くなるのですが、流石に國村さん、間で静かに感情を表現してくれます。
そして、それに応える様に、有村さんと子役の歸山くんが良かったです。
有村さん演じる晶は明るくて、駿也の前では弱味を見せない強い母なんだけど、それは弱さを隠す強さと言う感じで。
それを、有村さんが滲み出さして見せてくれる。
歸山くん演じる駿也は、晶と仲良くて楽しそう。それでも、やっぱり抱え込んでる物があって・・・。その辺りの感情表現が上手かったと思います。
そしてある日、抱えきれなくなった感情が爆発して、晶にぶつけてしまう。
張り詰めた糸が切れる様に、進むべき先が見えなくなってしまった晶、思い出の場所へ。
そしてかかってきた一本の電話。すぐに母親の口調に戻る晶、電話から聞こえる絞り出した様な「ごめんなさい」
晶が進むべき道を、いや線路を確信できた瞬間です。
このシーン、前後も含めてとても好きです。
家族の絆って、必要としたり、必要とされたりする結びつきなんじゃないでしょうか。
一緒にいる時間が長い分、忘れてしまいがちだけど。
最後、五年生になった駿也の作文。
この家族の色が出始めた事を感じさせる物でした。
私、最初の方から最後まで涙ぐんでの鑑賞になってしまいました。
良い映画だと思います。