ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男のレビュー・感想・評価
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肝心なのは続ける勇気
かなり耳の痛い格言だが、真理なのであろう。
ウィンストン・チャーチル英首相のダンケルクでのダイナモ作戦進行中のナチスドイツとの戦いの決断を描いた作品である。正直、ヨーロッパ側での第二次世界大戦の話なので、アジア側である自分たちには伺い知れぬ話なのだが、それを抜きにしての、局面に於ける『決断』という行為を一つの例として構成された内容である。戦時中なので、戦意高揚は致し方ないのだろうか。。。日本でも同じ決断があったという事実があり、タラレバを考え出したらキリがないのはわかりきったことである。歴史は所詮過去であり、色々なレイヤーが重なっての帰着となるのであって、もしこうしていたらなんてのは愚の骨頂であろう。過去から学ぶなんてのは、絵空事だ。人間は神ではないのだから、未来を予測など出来ない。あくまでも今作品は教訓めいた面持ちで観るべきではない。これは歴史であり、それ以上でもそれ以下でもない。それはあの時代に同時期に起こった数々の局面を照らし合わせてみても共通性は見いだせないことに由来する。
第二、第三のヒットラー的人物が今後現われないとは限らない。候補は幾らでもいる。そしてまた人類は同じ過ちを繰り返す羽目になる。そうして歴史は又ページを増やしてゆく。世界はそういうものなのだ・・・ ほんとに虚しい。只、虚しい・・・
追記:やはり他のコメントにあったライトウィングな内容に、危惧していたのが現実になって、失望感に打ち拉がれた。。。そいつは一体今作品の何を観ていたのか?歴史に『タラレバ』はない。結果だけがそこに記されてるのみだ。表層的なドラマに酔いしれるのは脳内だけにして、コメントするなと叫びたい。
結果、勝ち戦だった
原題は「DARKEST HOUR」、暗黒のとき。
ヒトラー率いるナチスドイツの勢いがすさまじく、本土侵略されるかどうかといった英国を描いた作品。
第二次世界大戦初期の1940年5月。
ナチスドイツの勢力はすさまじく、フランスも陥落寸前。
英国も本土上陸されるやいなやの瀬戸際で議会は紛糾に次ぐ紛糾。
戦時緊急内閣の首相として任命されたのはチャーチル。
与党の中でも嫌われ者(つまり野党側からは信を置かれている)だった彼の役割は、そもそも挙党一致体制をつくるだけつくって、あとは与党でも信任の厚い議員に任そうという思惑だった・・・
といったところから始まる物語で、就任早々、英国陸軍の大部分は仏国ダンケルクの海岸でドイツ軍に包囲され、絶対絶命のピンチに陥っている。
そして、内閣の中でも、ドイツとの間で平和条約を締結してソフトランディングの(つまり独軍の軍門に下る)決着をつけようとする者もいて、さて、どうすべきか・・・と展開する。
非人道的なナチスドイツの軍門に下るわけにはいかないが、徹底抗戦するのもどうか。
結果的にはダンケルクからの脱出戦が功を奏して、その後、連合国軍が第二次世界大戦では勝利するわけだが、それは結果論のようにも思える。
チャーチルの強烈な弁舌を真に受け、無謀な策を支持して、英国国民総火だるま状態になっていてもおかしくなかったわけで・・・と考えると、かなり背筋が寒くなる。
ま、非人道的なナチスドイツの軍門に下ってしまうよりはいいのかもしれないが。
それにしても、いま時分、こういう題材の映画が撮られるということは、かなりきな臭い世の中になったとしかいいようがない。
なお、チャーチルを演じるゲイリー・オールドマンは熱演、名演。
議場を大俯瞰から撮るオープニングから、監督ジョー・ライトの演出も熱が入っているが、入りすぎて、のべつ幕無しの音楽など、少々過剰な感じがしないでもない。
曲者
重厚な作品…のはずなんだが、見事と言っていいほどゲイリー・オールドマンから目が離せない。
戦時下のイギリスで徹底抗戦を打ち出す首相という役所。シリアスな話しのはずなんだが…笑ってしまう箇所がいくつもある。
偏に彼の曲者っぷりと、それを採用した監督の器量なのだと思う。
彼が首相になり、初めて国王に謁見した時、退出の間際の逡巡などにもよく表れていて一目で「面倒な男だな」と思えた。
秘書に裏返しのピースサインの説明をうけ心底面白そうに大笑いする人間的な豊かさや、奥様との愛嬌のある掛け合いも面白い。
またこの奥様が数シーンしか出てないのに、全然埋もれておらず、素晴らしかった。
明らかにNGシーンだろうと思えるカットを使っていたりもする。
緩急とでもいうのだろうか?
戦時下の緊迫感にありながらも、チャーチルのあの風体やフガフガ言う口調がとても良くて…暗く重くなりがちな題材を軽快に見せきってくれた。
ご老体の割には歩く速度が早く、足腰がしっかりしてんなあとも思ったが、そこにも戦時下の緊張感故にと考えれば得心もいく。
特殊メイクといい、オールドマンの芝居といい、時折挟まれる演劇的なアングルといい、色々堪能させてもらえた。
知らなかったことばかり
チャーチルについて、ヤルタ会談時に首相であったこと以外に何も知らなかった、と思い知った。それゆえ、この映画も終戦までは当然描かれるものと考えていたので、幕切れに驚いた。最低限、ヒトラーが死ぬところまでは。
本作品とは全く関係ないが、未だに字幕が画面内に表示されるのは、映画業界の怠慢だと思えてならない。日本で歌劇などの上演に字幕が着くようになって久しいが、その字幕は舞台を隠さないように設置される。
それに比べて、映画の字幕は画面を隠して表示される。字幕が発明された時代なら、そのように実現するしか現実的方法がなかったのは、よくわかる。しかし、なぜ今の時代までその古い様式を踏襲せねばならないのだ? 字幕を必要とするのは非英語圏だけ、という時代ではない。投射スクリーンの外に字幕表示器を常設し、本編と同期して文字列を表示すればよいだけのことではないか。投資は必要だが、遙かによく本編が見えるようになる。
一斉に始めることはできないだろうが、両方式に対応した作品を作れば、新方式は広まると思う。
見応えあり!
ゲィリーオールドマンのメイクや受賞で話題の作品
和平か闘うかの決断
チャーチルは強引であるが意思を通した。
歴史を見れば正しいのではあるが。
大半は、和平を望むのであるが!
言葉を武器に彼は暗黒を乗り越えたのだ!
寝てしまった
おじいちゃんがあっちに行って話して、こっちに行って話してというだけの映画だなと思って眠くなってかなりうとうとしてしまった。車を降りてから地下鉄に乗り込んで、人々と語らう場面から急に面白くなって目が覚めた。その後の演説も激アツだった。そこに行くまでが退屈でつらかった。
『ダンケルク』『人生はシネマティック』そして本作とダンケルクが出てくる映画が近年多い。
勝って良かった
特殊メイクはすごいしゲイリー・オールドマンの演技に引き込まれます。
ナチスに屈しない英断をした人を知れて良かった。もし戦争に負けていれば賞賛されることは無かったでしょうし、勝てば官軍ですね。
英国王のスピーチやダンケルクを観ていたほうがより楽しめるのでおすすめ
重厚な
見るまではヒトラーに勝利するところまでを描く映画かと思ってたけど。
危機の時に英国首相になって戦い抜くことを選択する首相の話なんだね。
確かに言葉の魔術師。
これを見て言葉の力を痛感する。
チャーチルのゲイリーオールドマンもその妻役も。
王様も皆んな良くって泣ける。
戦争は、独裁者は、あってはいけないと再認識。
秘書の何人助かるんですか?は重い。
戦争を政治を動かす人は数える単位が違う。
思い考えさせられる映画。
最後は良かった。
戦争に負けていたらどうなっていたのだろうか。
洋題"Darkest Hour"
明らかに洋題の方がよく内容を表している。
ウィンストンチャーチルが首相に就任してから、ダンケルクの戦い(ダイナモ作戦)を経て、"We shall never surrender"で知られる乗員演説において徹底抗戦を訴えるまでの短い期間を描く。
作品の内容としては、首相就任後に破竹の勢いで進軍を続けるドイツ軍に、孤立する大陸遠征軍、閣内においては講和を求める主流派に糾弾され、指揮官としてはガリポリの戦いでの失策の記憶に苛まれつつも、少数の兵士を犠牲として多くを助けるという冷酷な命令を下さなくてはならなくなったチャーチルの苦悩を描いている。
作品の雰囲気は常に薄暗く、タイピストを通して観る戦争指導者の狼狽といったものを描いている点で、どこか「ヒトラー最期の12日間」を思い起こさせた。
その他の観る点としては、やはり当時を再現した街並みや、家具、庶民の服装、喫煙シーン、そしてチャーチルの食べる朝食や酒といった世界観であろう。現代からするとインモラル(女人禁制の司令室など )なシーンも多いが、そのようなことが当時は一般的であるということを示唆する点で教育的である。また、日本と同じ立憲君主制ではあるものの、より積極的に首相にアプローチを行う国王の姿が興味深く思えた。
(ここまでも)私見であるものの、クライマックスにおける、徹底抗戦を訴える国民の意見を地下鉄で直接耳にし、講和を覆す演説を行うというシーンは、多少出来すぎあシナリオのように思われる。加えて、さも徹底抗戦を決定した決断が素晴らしいことであるかのようなラストであったが、日本の本土防衛計画が無謀と批判されるように、ホームガードパイク(鉄パイプを利用した槍)を用いてまで本土防衛を行おうとした英国の姿勢は、結果によっては否定されうるものではないかと感じ、素直に喜ぶことができなかった。
ただし、仮に自分が当時のイギリス国民であるならば、恐らく徹底抗戦を求めたであろうし、そうした決断をしたチャーチルに対しては誇らしく思ったとは思う。
W.チャーチル、最初の4週間
若い頃、シド・ヴィシャスを演じたゲイリー・オールドマンが、ロックと対照的な立場にいる英国の人物をもう一人演じて成功をおさめたことをこの映画をみて確認する。そのことがひとつの奇跡だ。
原題の、「最も暗い時間」とは、朝がくる前の数時間だろう。冬ならば、気温は一日のうちで最も低く、そして草木も眠る丑三つ刻。
この映画は、とても暗い。しかし、欧州最大のピンチに、希望を捨てなかったのがこの太った老政治家だ。
彼は、酒を好み、葉巻を吸い、家をあまり省りみない仕事人間。一見、悪の親玉の様な風貌。自分の党からさえ嫌われており、国王からも恐れられていた。
しかし、彼の長年付き添ってきた妻と子供たちは、その首相就任を心から祝った。チャーミングな部分もあることを家族だけは知っている。
ひとりの新人タイピストが、就任から最初の4週間、一国の首相と行動を共にする。
ドイツやイタリアとの戦争が始まっている。すぐ隣のフランスやベルギーが危機に陥っている。イギリスの首相として最初にして最大の任務は、この戦争を終わらせること。憎むべきヒトラーが指揮するナチスドイツ。友人アメリカはこの時点では助けてくれない。ルーズベルトとの電話会談は、どこまで創作なのかわからないが、友に見捨てられた気分だったろう。一国で戦うべきか、不利な条件でも講和に持って行くか。党はドイツとの講和に傾いている。しかし、国民や国王はどんな気持ちなのだろう。
この作品は、特殊メイクアップが最大限にフィーチャーされているけれども、勿論それは、すごいけれども、着目すべきは、この時代のイギリスや欧州の様子を的確に描いているところのような気がする。戦後72年。戦前のイギリスの様子。
チャーチルが就任した背景として、欧州を威嚇するヒトラーの存在と老人・病人たちが牛耳る議会運営の難しさがあるように描かれている。かなりデフォルメされてはいるけれどもこれに近い状態の組織というのはあり得る。
国王がチャーチル家を訪ねるところや地下鉄のエピソードは出来過ぎのような気もするが、脚本としては面白い。
ただ言えるのは、この映画だけを見ても、ナチスや、ダンケルクの戦いのことは、当時の大多数の人々の如く観客の我々もほとんどなにも知ることはできない。そういうつくりになっている。タイピストが狭くて暗い本部内を案内されるように、我々もこの映画で、歴史のほんの一部だけをうかがい知ることができる。ほんの一部だけだ。
それでも、その一部だけから当時の英国人気質をうかがい知ることはできる。CG全盛期の現在、特殊メイクでW.チャーチルとその時代の忠実な再現に挑んだゲイリーオールドマンと製作陣からとても勇気をもらいました。
♪だれかのルールはいらない~、だれかのモラルはいらない~、学校も塾もいらない~、真実を握りしめたい~♪
♪だれかのルールはいらない~、だれかのモラルはいらない~、学校も塾もいらない~、真実を握りしめたい~♪
ペンタゴン・ペーパーズが民主主義や自由主義の良い面を描いた作品とするならば、
本作は民主主義の暗黒面、ダークサイドも同時に描いています。
未来は僕らの手の中?
ヒトラーから世界を救った男?
原題は『DARKEST HOUR』
もはやゲイリー・オールドマンの独壇場
奇しくも同年公開の「ダンケルク」と表裏をなすようなストーリーが描かれたこの映画。イギリスの歴史の中でもかなり危機的状況にある中で首相に指名されてしまったウィンストン・チャーチル。ナチス・ドイツが勢力を増す中、イギリスという国家の立場としてヒトラーに屈してしまうのか、決断を迫られていくという筋書き。追い詰められ葛藤し、イギリスの歴史ひいてはヨーロッパの歴史が変わる!という高揚感・・・よりも目立つのはやっぱりウィンストン・チャーチルという人の個性とそれを演じたゲイリー・オールドマンになってしまうというのは、物語としてはやや頼りないような気も。
ゲイリー・オールドマンがどんな顔でどんな声だったか、思い出せないくらいの演技とメイクアップには絶賛を禁じ得ないし、オールドマンが放つセリフ回しと存在感。それがチャーチル本人とどんどん重なっていく面白さそして迫力には大満足である。そしてそこに描かれるチャーチルという人間の愉快さ痛快さそしてその葛藤から生まれる狂気のようなものも含め、「人間」を楽しむには十分な映画だと思った一方で、「歴史」を実感する意味では力が弱かったような印象が残った。
にしてももはやこの映画はゲイリー・オールドマン・ショー!全シーンにおいてチャーチルが乗り移ったかのようにオールドマンのパフォーマンスが冴えわたる。奇人変人泣き笑いユーモアとチャーミングさ・・・すべてをチャーチルの肉体と特殊メイクを飛び越えて表現させる演技に一切の不服はなかった。
見ごたえありました。
高校生の娘とチャーチル見てきました。
チャーチルの私生活での人間性と
首相としての葛藤を一か月という期間の中で
良く描くことが出来ていると思います。
陸軍の兵を助けるために犠牲にしなければならなかったもの。迫り来るナチス軍に対して戦うのかまたは
不本意でも和平交渉をするのかの難しい決断。
一緒に見た娘も飽きることなく夢中で見てしまった様です。
娘の感想は日本人はイギリスの市民みたいに戦かうという選択が出来るかな?国のリーダーとはなど見終わった後いろいろ感じたり考えさせられることが多かったと話していました。
若い方達にも国のリーダーや独裁者など今の世界にも共通する話だと思いますので前後の歴史を思い出しながら見て欲しい作品です。
チャーチルの難しい性格をゲイリー・オールドマンが
見事に演じきっています。
メイクは違和感も全くなく本当に素晴らしい。
すごい技術だと思います。
救国の名宰相
ゲイリーオールドマン演じるチャーチルは、本当に我々が写真で見るチャーチルにそっくりだった。勿論彼の演技がチャーチル本人を彷彿とさせる素晴らしいものだったのもあるが、メイクを担当した辻一弘氏の匠と言うべき技術がチャーチル本人に見紛うほどの完成度の高さを実現させたのは言うまでもない。物語はチャーチルが首相に任命されてから、議会でチャーチルがヒトラー率いるナチスドイツに徹底抗戦を宣言する間までの間の彼の葛藤や、周りの人間の動き、そして迫り来るナチスドイツの恐怖を緊迫感を感じさせながらも、時折ユーモアも交えながら描いていた。物語には映画英国王のスピーチで主人公にもなったジョージ6世も登場し、最初はチャーチルを支持していなかった彼も次第にチャーチルに対する見方を変えていき、遂には臣下と国王の間柄を超えて、真の友人となる過程も描かれていた。また、彼を終始支えた妻の、夫への愛情も感動的であった。一方で、チャーチルの対独強硬政策を最後まで心よく思わないグループもいた。しかし、その後の歴史を考えると、もしチャーチルの政策が途中で挫折していたら今の形での英国ひいてはヨーロッパは存在していなかっただろうと考えると彼の対独強硬政策は正しかったのだと思う。残念ながら当時の日本は米英と対立する関係にあったが、チャーチルは間違いなく英国を存亡の危機から救った名宰相だと思う。欠点だらけで、人間として最上の人物ではなかったのかもしれないが、だからこそヒトラー率いるナチスドイツという巨大な敵に立ち向かえたのだと思う。無論、彼を支えた家族や側近、味方の大軍を逃す為に全滅覚悟で最後まで囮として戦った部隊の将兵たちの勇気も凄まじいものだったと思う。まさにウィンストン・チャーチルは、英国が存亡の危機に立った時に国を救う為、ジョンブルが人間の姿をして現れたような人物であったと思う。久しぶりに感動する映画を観ることが出来た!製作陣と俳優陣に感謝!そして祖国を守る為に立ち上がった当時のチャーチルや英国人に、改めて賛辞を送りたい!
良かったです。
まず、政治的な内容、この映画が語るメッセージについて
正直な感想を言うと、この映画の内容に全面的に賛成とは言えません。
大前提として、歴史はあくまで結果でしかありません。
英国は講話を選ばすドイツと戦い、最終的に勝利した。この映画は、この結果をあまりに有利に、そして都合良く語り過ぎていると思います。
確かに、宥和を選ばなかった事は結果的に成功でした。ファシストを欧州から駆逐し、欧州に平和と自分達の信じるイデオロギーを取り戻したのだから。
あそこで怯んだら今頃ヨーロッパのど真ん中に、非常に強大な北朝鮮が出来ていたとしても、間違っているとは言い切れないでしょう。
しかし、仮定の話はいくらでも出来るわけです。重要なのは、あの決断を、現代の視点から一方的に賛美するのは危険だと言う事です。
あの当時の、情報と状況をもっと公平に伝えるべきだったのではと、少しばかり「結果」サイドに寄り過ぎた描き方だったのではないかと思います。
私ごとになりますが、この間ノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロ氏の「日の名残り」という小説を読みました。
このしょせ
映画のそういった点を除けば最高でした。
主演のゲイリーオールドマンさんは本当に素晴らしい演技でした。
映像も当時の雰囲気をそのまま伝えるかの様な光で、違和感なく映画に没入できました。
音楽も良かったです。決して邪魔をせず、かつ美しく効果的に存在していました。
葛藤
チャーチルに扮したゲイリーオールドマンの演技も(恐らく。本人の映像音声知らないので)素晴らしかったと思いますが、個人的には秘書でタイピストの女性に感情移入してしまいました。兄をダンケルクの戦いで亡くしたのに、それを言わずに(言えないですが)黙々と作戦の手紙・電報をタイプする。彼女の心の葛藤が溢れ出てしまったあのシーンが一番感動しました。
もっとガンガンリーダーシップを発揮して、巧みな戦術でヒトラーを破った話かと思っていましたが、最後まで悩んで国王や市民に背中を押されて決意したというのは意外でした。
イギリスしか救ってない
邦題に「世界をヒトラーから救った男」とあるが、映画を見る限りチャーチルが救ったのは自国だけではと感じる(原題は『Darkest Hour』)。また、劇中でチャーチルが演説で議会を「最後まで戦うぞ!」という空気にしていくところを観ると、ヒトラーとチャーチルの違いはなんぞや?という疑問が沸いてくる。他国の侵攻から国を守ってくれた人をイギリス人が美化して描くのはもっともだと思うが、第三者的に見ると、ヒトラーもチャーチルも負けず嫌いで選民意識が強い好戦的な白人にしか見えない。
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