君の名前で僕を呼んでのレビュー・感想・評価
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毒親育ちの人はきっと父の言葉に号泣する
映画の内容としてはすでに他の方がレビューされているので割愛します。
機能不全家庭育ちの身としては、主人公である美少年の両親の存在が羨ましくてたまらない。主人公と青年の一夏の恋に我々見る側が集中出来るのも、ひとえにこの主人公の両親が常に仲良く安定していて、彼らを監視することなく自分たちの人生に集中しながら穏やかな眼差しで彼らの経験を見守っているからだと思いました。
タバコをスパスパ吸いながらアプリコットジュースはいかが?とすすめる美しい母親の満ち足りた笑顔。
親が安定しているからこそ、子供は何の気遣いもなく自分の人生に意識を集中することが出来るんだと思います。
特に終盤の父親の言葉には号泣してしまいました。
自分も主人公ぐらいの年齢、まさに思春期の頃にこんな素晴らしい親がいて、こんな言葉をかけてもらえていたなら人生は今ともっと違っていたのかなと思いを馳せずにはいられませんでした。
以下、少しだけ響いた部分を抜粋です。
「人は早く立ち直ろうと自分の心を削り取り、30歳までにすり減ってしまう。新たな相手に与えるものが失われる。
だが何も感じないこと…感情を無視することはあまりに惜しい。
お前の人生はお前のもの。心もからだも一度しか手に出来ない。
今はまだ、ひたすら悲しく、苦しいだろう。
痛みを葬るな。
感じた喜びも忘れずに。」
その父の言葉通り、主人公は恋の終わりに暖炉の前で静かに涙ぐみます。悲しみも苦しみも、無理に抑え込まず、痛みをなかったことにはせずに静かにその感情に向き合う。
悲しみにくれる主人公の背後では、家族たちが食事のしたくをしています。失恋の痛みに涙ぐむ主人公に「手伝いなさい」「いつまで泣いてるの」「男のくせに、たかが失恋ごときでめそめそと」「しかも同性愛!」なんて野暮なことを言う人は一人もいません。
優しく、暖かく、主人公の悲しみをいつもと変わらぬ何気ない日常という無言の愛で包み込む家族たち。
この家族と一緒なら、きっと主人公はこの一夏の恋をいつの日か穏やかな想いと共に優しく見つめられる日が来るでしょう。
まるで古い傷跡を優しく撫でるように。
タイトル負けする残念な映画
男性同士の美しくも切ない運命的な恋愛映画だと期待して、拝見しました。
物語の趣旨や設定、主役2人の演技と
北イタリアの美しい風景は素晴らしいのですが、
所々に意味不明なシーンやセリフがあるのが気になりました。
なぜ、エリオはあの女の子と一線を越えてしまったのでしょうか…
オリヴァーと会う、その当日の約束時間の前にも
彼女と行為に及んでいる様も疑問に思います。
運命の相手と一線を越えるかもしれない大切な日には、
正直それ以外考えられないのでは…? 笑
いずれにせよ、この映画を台無しにしてしまっているシーンには間違いないと思いますし、
もっと上手に女の子を使って欲しかったです。
というか普通に考えて、女の子の気持ちを知っていて一線を越えて、
その後は音信不通って最低な男ですよね。
女の子の方も、その後に「怒ってない」って物分かり良すぎですし。
10代であんなに物分かりの良い女の子なんていないと思いますよ 笑
都合の良い女過ぎじゃないですか。
もう一つは、ラストでオリヴァーから電話が掛かってくるシーンです。
何を言うのかと思ったら、「結婚するんだ」……
正直に言って、最低じゃないですか。
運命の相手への想いってその程度だったのかと感じざるを得ませんでしたし、
いくら時代が時代と言っても、人間としてどうなのと思ってしまいました。
何だか、登場人物のセリフと行動が支離滅裂な上、
セリフやストーリーが都合の良いように作られていて、
全く登場人物に感情移入できませんでしたし、
全てが中途半端で何を伝えたかったのか分からず、
期待していた物語とは違い、残念でした。
なぜ世界中で大絶賛されているのかが分かりません。
美化して観れなかった
私の周りでも絶賛している人おおいんだけどら私は全然乗れなかった。庭で食べるごはんは素敵だし、風景も美しかったけど、あの2人の関係は別に全然美しいと感じなかった。切ないとも思わなかった。2回くらい居眠りしてしまった。「忘れない」とかよく言うよwって思っちゃう。オリバー24歳に見えないし。35歳くらいに見える。見た目とあの態度のでかさと。エリオは15歳くらいに見えた。好きでもない女の子とやるだけやって連絡しないとかほんとクズなことしてるよねぇ。あの可愛い女子も、ひと夏の遊びと割り切ってるのかもしれないけど。オリバーとエリオについて両親が彼らに寛大だったのは、所詮ひと夏のこと、そんなに重要じゃない、ってことなのかなと私は解釈した。
僕の名前で君を呼ぶ
ノスタルジーを感じさせる1980年代。
自然豊かでのどかな北イタリアの避暑地。
ひと夏を過ごす。
出会いは付き物。
主人公の少年エリオもある出会いをするが、忘れられない特別な出会い。
彼が出会ったのは、年上の青年だった…。
最初の印象はあまりいいものではなかった。
大学の美術史教授である父の研究の手伝いとしてやって来たその青年、オリヴァー。
青目金髪のハンサム。頭は良く、運動神経も抜群。
父には信頼され、母や周りの人々にすぐに受け入れられ、女の子にもモテモテ。
ちょっと自由奔放で横柄な所もあるが、それさえも画に描いたような好青年。
彼に比べたら、自分なんて…。
エリオの気持ちも分かる。
多感時期でまだ未熟な少年にとって、7つしか離れてない完璧な存在には、引け目を感じてしまう。
そんな抵抗や苦手意識が、憧れや兄貴分としての慕いとは違う感情へと変わる…。
2人が互いを意識し合い、距離が近付いたのは、中盤のツーリングの時であろう。
何かきっかけがあった訳ではない。
それまでにも泳ぎに行ったり、出掛けたり、ピアノを弾き聞かせたり、他愛ない話をしたり、一緒に過ごす内に…。
ごく自然な事だった。
同年代の女の子とだったら理想的だが、特別な想いに性別は無い。
最初から気持ちを秘めていたのはオリヴァーだろう。少なからずアプローチを感じた。
そんなオリヴァーの気持ちが、エリオの心に灯火を点けた。
意識し始め、惹かれ合い…。
初々しく触れ合う。
想いが確かであると、時にはそっけない態度を取ったり…。
近付いたり、距離を取ったり…。
気持ちが高ぶり過ぎて、不安になって…。
ある夜、心と心、身体と身体が触れ合う。
君の名前で僕を呼んで。僕の名前で君を呼ぶ。
それほどその想いは抑え切れない。
新星ティモシー・シャラメの繊細なきらめき!
表情一つ、抑えた感情表現一つ、胸に染み入る。
特にラストの数分に及ぶ長回しによる心と表情の揺らめきは、語り継がれるだろう。
アーミー・ハマーも魅了と実力を存分に発揮。時々凡作でその才能を潰してしまうが、本来は演技派なのだ。
父親役マイケル・スタルバーグの好助演も付け加えたい。実は、父は息子のオリヴァーへの想いを知っていた。息子の特別な感情を咎める親が多いが、そんな息子を思いやる。ラスト直前のそのシーンは目頭熱くさせられる。
2人の淡く切ない恋心をきめ細かく描いたルカ・グァダニーノの上質で素晴らしい手腕。すでに話題になっている次回作『サスペリア』リメイク版がどんな仕上がりか、期待と興味尽きない。
自身も同性愛者である巨匠ジェームズ・アイヴォリーによる脚本は、台詞一つ一つに気持ちが込められてるかのよう。
そして本当に、この美しい風景、美しい映像、美しい物語に心が洗われる。
男同士の同性愛を描いた作品故、好き嫌いははっきり分かれる。
自分も引き込まれながらも、感情移入とまではいかなかった。一応、自分は同性愛者ではない。
かと言って、同性愛に差別や偏見は無いつもりだ。愛の形は気持ちに正直に、人それぞれ、自由。
単に作品の好みの問題で、同じく同性愛を題材にした『キャロル』や『ムーンライト』は合わなかったが、本作は『ブロークバック・マウンテン』以来久々の当たり!
物語、映像、演出、演技…思ってた以上に魅了された。
ひと夏の出会い。恋。別れ。
2人が再会する企画進行中の続編も是非見たい。
イタリアに来たアメリカ人
イタリアの風景が、色鮮やかで、美しい。ストーリーは、詩的なセリフを挟みながら、淡々としている。少年時代の大人への憧れのような、恋愛なのか、と思いながら、鑑賞した。主人公が、ハリー杉山に似ている気がした。。
未だに整理が付きません
公開3日後に鑑賞しました。けれど、なんとも言えないわだかまりの整理が未だにつきません。
音はとても綺麗でした。景色にも心惹かれました。多感な年頃の不安定な主人公も、その危うさが美しいと思いました。
けれど、どうにも、伝えたかったものがよくわかりませんでした。
いっそご都合主義のハッピーエンドなら割り切れたのかもしれません。
最後、父親が息子へと語りかけるシーンがありますが、それまでに"マイノリティとしての恋の辛さ"があまり濃く描かれないためか、言葉の重みがあまり伝わらず…。本ならばきっとページを戻して確認していたと思います。そんな話だった…?
今の時代が舞台であればきっと感じ方は変わったのだと思います。けれど、偏見の強いあの時代、そのバックグラウンドを語らずして父親の言葉を響かせるのは違うのではないかと思ってしまいました。
いつかもう一度観てみようと思います。
初めての恋と最後の恋
ひと夏の燃え上がるような恋の思い出。
永遠を前提とした恋の話ではなく、一瞬を煌くように燃えて散る儚い青春の思い出すべてを凝縮したような、ただただ綺麗な映画。
北イタリアの美しい夏、歴史芸術の美、ピアノの美しい音
これでもかという映像美で視界を埋め尽くしてくる。
細かい部分まで意図して仕組まれた雰囲気に呑まれてしまう。
ひとつひとつの映像、しぐさ、小物、言葉、音楽が、見ている人の官能を引き出そうとしているとひしひし感じた。
そして長身でいい体をしていてハンサムで性格もさわやか、すべてが男として完璧なアーミー・ハマーを見せつけられて、やられたなあと感じた。
こんな人物と出会ってしまったらそりゃあ惚れずにはいられない。
本当に美しくて、切なくて、見た後も数日間余韻が抜けきらない。そんな中、あまり高評価をつけたくないのは、共感できない部分と狙いすぎな部分があるからかもしれない。
主人公エリオは繊細で女性的な感性を持つ少年に感じたが、それにしてはオリヴァーに自分の気持ちを明かしたいと行動する辺りはやや積極的すぎて自己中心的に感じてしまったし、その他の様々なシーンでもめんどくさい女のような性格がひっかかってしまった。
恋の経験が少ない少年のリアルな青春なのかもしれないけどもう少し男性的にしてもよかったのではと思う。
こういう点が、あえて同性愛でなくても…女性でも成り立った話なのでは?と感じてしまう。
そしてオリヴァーは、エリオにいつ惚れたのかが分からない。「ビーチバレーをしているシーン」でと本人は言っていたけれどそうならばそれなりの予兆をもっと映像で表現してほしかったし、結局のところ、プレイボーイが若気の至りで火遊びしたけど人生をささげるリスクを冒すほどの恋じゃなかったし、満足したから故郷に帰って元の彼女と結婚するよみたいな感じに捉えてしまえなくもないので、オリヴァーの誠実さをもっと見せてほしかった。
オリヴァー、結局雰囲気とかに流されてただけじゃないのかな…
エリオにとっては初恋だったけど、オリヴァーにとっては最後の遊びの恋だったのかな、と。
あと両親の視線がいたたまれない…。恋愛事を両親にはオープンにしない日本人だからだろうか。
見ていて羞恥心を感じてしまうのはつらい。
誰の視点で見るかによって評価は分かれると思う。
父親の告白は非常によかった。むしろ、この映画のすべてをかっさらっていくようなシーンだった。
だがここでも、こんなに主人公の周囲に同性愛者が溢れているという点で違和感。
綺麗すぎる世界。
セックスシーンもそこそこあからさまなので、DVDを買っても見返せるかどうかわからないけど、映像シーンの美しさは遠い昔に失った美しい青春そのものなので機会があればもう一度見たいような気もする。
パパがいいこと言ったね。
もーっとエロス推しだと勝手に期待していて、ちょっと肩透かしを食らった気分でした。
楽しめたは楽しめたんですがね。
思春期の通過儀礼的恋愛物語なんですが、新しい点があるとしたら、ホモセクシュアルとヘテロセクシュアルの差異の無さでしょうか。
男子であるエリオも周りの人も、惹かれた相手が男性だってことに思い悩まない。ただ惹かれたことによる喜びと悲しみに浸るというのが目新しいかなぁと思いました。
夏の終わりにエリオのパパがなんかいいこと言ってて、ジーンとしたのですが、もうなんて言ってたか忘れました。
婚約者がいるのに高校生に手ェ出して捨てるって、オリバーまじゲスですね。
字幕翻訳・松浦美奈
..... i remember everything :((
Call Me By Your Name
なんとも言えない胸が苦しく切なくなるストーリー。
全体的にセピアで(イタリアの色かもしれないけど)切なさが溢れ出る。
いやらしい粗っぽさなんてどこにもなくて、すごくただすごく切ない。
最後のis it that video? っていうあの声の音楽が頭に鳴り響く。
ずっと暖炉の音とエリオの顔が印象的だった。
「エリオ エリオエリオエリオ…」って電話で囁くのに「Oliver……. I remember everything. オリヴァー…君のことは何1つ忘れない」っていうその返しがまた切ない。
美しい一夏の恋!
感情の揺れ動きの現し方が、非常に繊細で、オリヴァーへの想いを作品上で、一切心の声を語る事なく
エリオの表情で現して行く事で、エリオのオリヴァーに対する想いが、観ているこちら側にも伝わって、ドキドキしっ放しでした。些細な表情の変化でエリオが傷ついたり、喜んだり悲しんだりが、とても苦しかったです。
エリオの片思いに見えた恋も、オリヴァーは、エリオの儚くも若さ溢れる美しさに惹かれ、でも年の差や、同性ゆえに気持ちをオリヴァーの方がセーブしている所もあったり、エリオがオリヴァーへの感情を誤魔化すために女の子と付き合ったり、それもとても切なく感じました。
最後、エリオのお父さんがエリオに言ってくれた言葉にとても涙が止まらなかったです。多分観ている人の誰もが共感したと思います。
非常に監督はよくわかってらっしゃると拍手したいぐらい、一つ一つの王道BL萌えポイントシーンを詰め込んでくれてて、素晴らしかったです。オリヴァーの出した結論は、正しいと思います。
そして何よりティモシー君が美しい。。
感情の深いところも知りたくて小説も読みました。
きみに知って欲しかった
戦争記念碑の周りを巡りながら、君に知って欲しかったと呟くシーンから、二人の関係が広がっていくのが好きです。最後にオリヴァーから電話で結婚報告を聞いた後、暖炉の火を眺めながら泣くところ。恋の甘さと失恋の苦しみ、友人の幸せをいわう幸福が入り混じって、人生の一番良い瞬間がここにあるなと思いました。誰もが経験出来ることではない。でもエリオは見た。自分の心に素直になったから、見れた。自分の名前で相手を呼ぶことが愛の告白である二人。家族からエリオと呼ばれてこの映画は終わりましたが、自分の名前を呼ばれるたびにあの夏を思い出すんだなと、幸福な呪いのようだと思いました。
当初の上映期間は地元での上映はなかったので小説読んでから追加上映することが分かり観た
映画はほんとに簡単にまとめただけなので映画を観ていいと思ったら絶対小説読んで
異性愛物語が主流で同性愛物語は異端とされているが後者の方がより障害があってハラハラドキドキする
カメラを手持ちで映すやり方がとても合っていた
ティミーの高ぶった時の臨場感
アミハマのエリオにそっけなくされた時の落ち込み
キャストの演技や製作 全てが完璧だった
もう言葉で言い表せないので気になる人は絶対観てほしい 後悔はしない
なぜいつも
こーゆうたぐいの映画は大抵別れで終わる。
どーしてハッピーエンドじゃいけないんだろう?
ラストシーンはドランの真似に見えたり。
主人公の家族が素晴らしすぎて、エリオは大丈夫と安心したり。
ママに迎えに来てと電話するシーンに涙が止まらず、父の慰めが全く心にしみなかった。
ある種の悲恋物語
初めてミニシアターで映画を観に行った。
長崎での公開1発目と割引デーであったことから、平日の昼間なのにお客さんが多かった。
男女比は女性が多め(若い女性が特に多し)。男性もちらほら。
話が進むにつれて、主人公2人の心の距離が縮まっていくのが面白かった。
「好き」という気持ちが抑えられない2人の想いが重なって熱い恋をしている場面がとても印象的で、
たとえ相手が同性だろうが、「恋」の仕組みは一緒なんだろうなぁと思った。
だから、相手が結婚すると聞かされた少年は、とてもショックだったろう。
ひと夏の恋とはいえ、少年にとっては大きな出来事に違いないし。
ラストシーンは、それを表しているようで、なんか切ない。
したがって、本作は、ある種の悲恋物語だ、と見終わった後に考えた。
本作の中に、少しきわどいシーンがあるため、心の準備をしてから観ることをオススメする、
とても良かった!!!
小説を読了した次の日に映画を見に行った。
小説の内容はエリオ自身の心の動きが多く描写されているため、大部分が暗い印象だった。しかし、それを映像にあらわすと、こんなに光に溢れていて美しい世界だったのかと驚いた。
内容はほとんど小説に沿っていたが、ところにオリジナルの描写も含まれていた。少しだけ、時間の流れが速い気もしたが、彼らの物語が幻のようなひと時であったことを表現するためだと捉えると、「良かった」と言える。
(単なる制作側の事情かもしれないけど、捉え方を変えてみるのも映画を楽しく観る上では大切なことだと思っている。簡単に言うと、自分が納得できる程度に、都合良く物語を解釈して、映画を楽しもうよ^^ということ。でも、そうできない場合は自分にとって良い作品ではなかった、ということかもしれません(ー ー;)ワカリマセン…映画の見方は人それぞれです。自由に鑑賞しましょう^^*)
ただ、小説を読んでいない場合、エリオとオリヴァーの心情がどう繋がっているのか分からないのではないかと思った。心情、というか、お互いがお互いのことをどう思っていて何を感じているのかが伝わり難い、ほとんどを観客の解釈に委ねている感じが、ん〜?となった。皆さんはどう思いましたか?彼らの心境は分かりましたか?
そして、印象的なのは、やはりピアノと音楽。
明るく、光の玉が飛び跳ねるような音に、ふと暗い音が鳴り響く──
どんなに幸せな時が訪れようと、苦しみは心の奥に隠れている。その感情は地上に出る日を、今かいまかと待っているのだ。そして、その音がなった時、やはり、苦しみからは逃げられないのだと、現実は回避できないのだと、思い知らされる。
他方、音楽の効果により、そのシーンが幻のような、現実か、夢か、その空間をおぼろげな雰囲気にさせる音楽もあった。
筆者は音楽に精通している人間ではない。
そこらへんにいる映画が好きな大学生の、他愛のない、平凡で情緒に欠けている感想になってしまうが、
音楽というものは、素晴らしいものだなと、心底感動した。
映画を観終わった後、某動画サイトに投稿されていたサウンドトラックを聴きながら家路に向かう。夜風が吹き、周りは明るくネオンの光に満ちている。最高だった。幻のような世界にいる気がした。
彼らの物語を読み、世界を見て、心の音を聞いた私は、私の心は、彼らと一緒だった。彼らの想いが、私の内に同居し、最後には目に熱いものがこみ上げてきた。
エンディング──
炎の前でエリオが涙を流すシーンは圧巻だった。
私は以下のように解釈する──
エリオは、悲しみを炎の中に葬ったのではないか、
葬らずにいれただろうか、と…
(追記)レビュー読むとやはり、分かりにくいところがあるのかも。小説を読んでからの方が色々理解しやすい。
(追記)
2020/1/17 当時を思い出しながら、より分かりやすく修正しました。
ここは天国ですか
映像と音楽が美しすぎて天国かと思った。
静寂で優しく、観るものの感情を静かに揺さぶる世界、穏やかな登場人物たちに、大島弓子の作品に似たものを感じた。
北イタリアの美しい夏。
朝、昼、夕、夜の光。
エリオとオリバーのもどかしい距離。
恋人たちの幸せ絶頂の時間。
どれもこれもくすぐったくってエモい。
夢のような時があっという間に過ぎ去り、オリバーとの別れを受け止めきれず悲しみのどん底に沈むエリオに父が語りかける言葉が優しい。
傷ついた心を無理して癒す必要はないと。噛み締めろと。
私も同じくエリオよりも人生の先輩だから父ちゃんの気持ちがよーくわかる。君は本当に奇跡的な、美しく、幸せな出会いをしたんだ。今耐えられない悲しみですらも素敵な感情であり、君の心をますます豊かにするひと時なのだ。
その言葉を噛みしめてきたかのようなラストシーン、オリバーとの電話の後のエリオのアップ長回しシーンが大好きだ。
そして、これが青春だ、初恋だ、愛だ、なんて単純な言葉で表現しようとはしないこの美しい世界が大好きだ。
君の名前で僕を呼ぶ、のは「月が綺麗ですね」の表現 と比べるとはるかに情熱的で楽しくて、欧米かって感じだけどそれがまた良い。クリスマスの電話のシーン思い出しただけで泣ける。
自分の育ったところはこんなに洗練されたゴージャスな家でも、イタリアの街並でもないけれど、郷愁を掻き立てられ。
あー 私も実家に帰って緑の中でゴロゴロしたい。川で思うまま泳ぎたい。
公開からは遅れての鑑賞だったけれど、結果的に夏恋しさをちょうどいい感じにに刺激され。よいタイミングで観れてよかった。
お父さんの話は自分のことでもあるけどオリヴァーのことでもあるのかな...
お父さんの話は自分のことでもあるけどオリヴァーのことでもあるのかなって思った。
壊れた古い彫刻はこれからのオリヴァーの中のエイオの思い出みたい
アプリコットの夏
オリヴァーを演じているアーミー・ハマーが本当にかっこよすぎ(身長195cmだとか)。
エリオはおそらく始めから彼に惹かれていたのですね。そしてオリヴァーの方も。
ママや友だちとはフランス語、パパや彼とは英語、メイドさんらとはイタリア語で話すエリオ。ママがドイツ語の本を訳して聞かせるシーンもありました。
欧米の知識階級の家庭のバカンスって こんな感じなんですね。
いいんだけど、二人が結ばれるまでの前半がやや長い。滝のシーンで終わりかと思った。
マルシアはちょっと可哀想(この女優さん、ルイ・ガレルの妹。そういえば似てますね)。
原作があるそうですが、ラストには私はがっかり。
彼の結婚相手は何も知らないんですよね。
題名の意味はわかりましたが、どんなに好きな相手でも自分の名前で呼ぶのは、わたしには無理。混乱してしまいそう。
抑制してはできない経験
エリオにはかわいい彼女いたね
オリヴァーもナイスバディとワンチャンあったね。この女性達との距離感の縮め方はすごくフットワークが軽い。それが世間の認識なんだと思う。男女だし
でもエリオとオリヴァーは違う。男性同士だから。だから近づくまでに少し時間がかかった。
何度もエリオを制するオリヴァー。電話のシーンで何気なく言った「僕の父に知られたら矯正施設行き」という言葉。
エリオの家族が寛容なだけで、マジョリティなのはオリヴァーの父親なのだと思う。
「幸いまだ恥じるようなことはしていない」
と制する際に言った言葉。
恥という認識があるオリヴァー。
この言葉のまま引き下がっていたら、父親の言う「抑制ゆえに得ることができなかった経験」になっていたんだと思う。
オリヴァーはエリオがとても好きだけど、好きだから一歩引いたような感じだった気がする。
エリオは好きだから繋がっていたいような、でもそんな言葉では片付けられない二人〜!!!
そして別れはしんどいの言葉しか出ない。
帰り旅の宿の中、眠っているエリオを見ながらとても悲しそうな顔をするオリヴァーは見てて辛い。
オリヴァーの最後の言葉
「I remember everything(何ひとつ忘れない)」
これはあの夏の思い出がオリヴァーという人間の一部を構成しているということ。エリオも同じ。
そして「君の名前で僕を呼んで、僕の名前で君を呼ぶ。」この行為はどういうことなんだろうと思ってた。
相手を思い相手を呼ぶ行為は相手を二人称として認識している。
じゃあ相手を思い自分を呼ぶのは一人称としての認識なのでは?と思った
君の名前で僕を呼ぶという行為は、自分の中に相手がいるという事実を認知し肯定し、同時に愛を伝えているということなんだと思う。
相手が心に住んでいる状態の自分を愛しそうに呼ぶんだよこの二人は!尊い!!
ひと夏の、過ぎ去りし失恋だけど、彼らを構成する一部分、父親の過ごせなかった経験を二人は自分の中に取り込んだ。
抑制しては手に入れることの出来ない世間的にはマイノリティな経験が、とても綺麗にまとめられていた。深い…深い…
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