「父親の言葉」君の名前で僕を呼んで yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)
父親の言葉
青年になろうとしている17歳の少年のひと夏の恋の物語
その相手は、大学教授の父が招いた大学院生である24歳の青年
同性への想いを描いているけれど、そこを強く押し出してはこない
そこには避暑地のイタリアののどかな夏の風景と、主人公の弾くピアノの音色が優しく添えられていて、相手が同性なだけ
そんな風に思える描き方が、好ましかった
まだ恋にならない想いのかけらのような予感から、恋の始まり、そして終わりまで
凝縮された時間がそこにある
何より心に残ったのは、主人公の父親の言葉
大切な言葉が、そこにはある
同性に想いを抱く我が子を前に、そして、大人になろうとしている我が子を前に、心のこもった、愛情に満ちた、かけがえのない言葉たちが、息子に伝えられていく
その雰囲気と内容に、感受性が揺さぶられて、思わず涙がこぼれた
この作品の素晴らしさは、この父と、母、両親の存在もあると思う
心に優しい映画を観たな、としみじみ思う余韻が残った
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