「ただひたすらに純粋で美しい」君の名前で僕を呼んで knさんの映画レビュー(感想・評価)
ただひたすらに純粋で美しい
この観終わった後の心情の全てを言葉で表すのは難しいし、安っぽくなってしまうかもしれないけど、ただひとつ言えることは本当に綺麗で繊細だった。何もかもが。
この映画に出てくる風景も、お互いが惹かれあっていく様子も、愛し合う様子も、最後の別れも。
人が人を好きになるのに性別なんか関係ない世の中になればいいのに。と、本気で願った。
主人公の両親も寛大で、理解ある人達でとても素敵だった。この両親のもとでオリヴァーと出会い恋をしたエリオは幸せ者だ。
最後まで二人の幸せな関係が続くことを願ったが、そうはならなかった。
二人の心情を思うと、とても切なくなってくる。
終盤のお父さんの話にもとても感動した。自分の過去を話し、教訓や後悔を伝え息子に語りかける姿に、なんて素晴らしい親なんだ。と改めて感じた。
そしてエンドロールでエリオが暖炉の前で涙を流す姿は、彼らが過ごした夏の日々を思い出させ、それと同時にエリオは今何を思い、泣いているんだろうと考えたら胸が苦しくなった。
ハッピーエンドではなかったけれど、バッドエンドでもない。
けど、やりきれない思いが残る最後だった。
久しぶりに美しい映画を観たと思った。
P.S. レビューにちらほら同性愛ものは苦手だ、自分には向いてない、等の書き込みを見かけたが、同性愛に抵抗がある人はそもそもこの映画を観るべきではない。パッケージを見ても、概要欄を見ても同性愛の映画だということは分かるはず。
もちろん観る権利は誰にでもあるが、作品の内容や展開に対しての不満ではなくて、この作品の前提である同性愛に対して批判しているような書き込みがあるのを残念に思う。自分たちの確認不足でこの作品の評価を下げないでほしい。