「自転車で殴りたい」君の名前で僕を呼んで オカマ声ちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
自転車で殴りたい
イタリアののどかな避暑地でキラキラ光る、エリオ少年の成長と淡い夏の物語。
上映中流れる押し付けないピアノの音は自然で、木の緑、水の透明感ときらめきと一緒に、気が付くとスーッと身に染み込む。
主人公エリオとオリヴァーの彫刻のような容姿も素敵。
……なのだが、なぜに好きでもない女とやった?
世間の偏見もあるだろうけど、物語の中ではほんのりそんな空気が流れる物の、こういうテーマの映画にありがちな一方的で、暴力的な差別は無かった。
なのに、なぜにマルシアと? は?
ここからマルシアに感情移入。
好きだからオリヴァーに抱かれるようにこっちも気持ちは同じ。
切ない知らせに涙するけど遥かに酷いことしてるからな。
「うっそぴょーん」みたいに雑にやり捨て、私だったらそのまま自転車で殴る。
そして、お父さんだよ。
え? 待って、お父さん? カミングアウトはいいよ。
いや、良くない。
え? じゃ、なに? 好きでも無いのに、しゃーないからお母さんと結婚したと? ん~? じゃ、なにか?
自分は望まれて産まれてきたんじゃ無くて、世間の偏見からの保身と流れで産まれてきたんかい? と、これまた私だったら自分の存在価値に疑問持つ。
確かに、世の中はマイノリティに厳しく、そういう偏見が無ければ映画もハッピーエンドで終わってたかも知れない。
お父さんも自分を偽って生きてきて辛かったんだと思う。
思うんだけどさぁ~……。
悪いのはそういう人達を取り巻く環境なのは理解できるんだけど、心にモヤモヤが残った。