「"Because I wanted you to know"」君の名前で僕を呼んで ghostさんの映画レビュー(感想・評価)
"Because I wanted you to know"
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派手なドラマチックさはなく、物語は淡々と進む。
それゆえエリオとオリヴァーの熱く激しい情熱や衝動が繊細に表現され、すっと心に馴染む。
映画では原作ほどエリオの心境をこと細かく表現出来ないであろうと思っていたが、原作の台詞を省き沈黙で表現する事でより人物の内面を描いた監督や俳優陣の力量は本当に素晴らしかった。
エリオが繰り返し呟く
"Because I wanted you to know"
この台詞の後から、制御していた感情がぽろぽろとこぼれ出すようにエリオに微笑むようになったオリヴァーの表情も忘れられない。
切ないラブストーリーや同性愛を扱った作品では悲しさややり切れない感情を大きく表現し涙を誘うが、本作は違う。
静かに涙するエリオ。その背景では日常が続く。
だらだらと長いエンディングで余韻を台無しにされる事がないどころか、このエンディングのお陰で余韻はいつまでも続き、素晴らしい映画体験となった。
原作を読んでから鑑賞したが、それが正しかったのかわからない。
この映画から得たものを表現しきれない自分がもどかしく、星の数を決めるのも躊躇われる。
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