移動都市 モータル・エンジンのレビュー・感想・評価
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見逃したら、絶対、損!
冒頭から黒煙を吐き猛スピードで移動する都市の大チェイスで、作り込まれた素晴らしいヴィジュアルに圧倒される。その後も盛り沢山な内容を斬新でゴージャスなルックとともにテンポよくすすめて、画面に目が釘付け。
移動都市ロンドンはもちろん、ムカデ型の人さらい屋敷?や、奇妙だが美しい数々の飛行船、モビールとランタンでできているような空中都市、反移動派の人々のすむ壁の向こうの都市などなど、壮大なスケールと繊細な美意識が融合した絶景が次々と現れ、まさに眼福。地面に深く刻まれた巨大なキャタピラの跡さえ美しい。セント・ポール寺院の円屋根が開いて登場する“最終兵器”は燃えるなあ(笑)。
復讐に燃える女に軟弱男、ゴリゴリのサイボーグの哀しい愛憎劇、ストイックな女戦士と仲間たち、マッド・サイエンティストな悪役と、登場人物たちも生き生きと描かれて魅力的。
他の都市を収奪して栄えるのがロンドンというのは、資本主義社会への明白な批判。壁の向こうの世界はいろいろ混ぜたアジア。これはハゲタカ資本主義との戦いの映画ですね。
久々のSF冒険活劇の大傑作ですが、どうしてこんないい映画が小規模公開なのか、まったく理解に苦しみます。
見逃したら、絶対、損。さあ、映画館に走れ!
風雲たけし城
ユニバーサルのロゴが60分戦争を表現していたため、その荒廃した世界にどっぷり浸る準備をしていたのに、古代アメリカの神々がミニオンズだというシーンで思わず吹き出しそうになった。ハウルやラピュタなどジブリの世界観というレビューが多い中、ターミネーターのようなシュライクから逃れるシークエンスは「SASUKE」とか「風雲たけし城」を思い出してしまったよ!
旧世界の負の産物である量子兵器を復活させようと躍起になっている、移動都市“ロンドン”を牛耳っているヴァレンタイン。巨大なキャタピラー付き都市は弱小都市を侵略して資源や労働力を捕食していく。ヒューゴ・ウィービング演ずるこのヴァレンタインが帝国主義そのものの思想であり、資源が尽きそうになるも、反移動主義の同盟国を攻めることによって活路を見出そうとしているのだ。
このアジアに似た反移動主義国は巨大な壁によって防御していて、いくつもの移動都市が攻略を試みていたのだが、すべて敗れ去っていた。量子兵器の部品を考古学士であるヴァレンタインが自ら集め、その強力な兵器で壁を攻撃しようと画策していた。しかも、彼は市民に対しては嘘をつきとおし、平和主義者として確固たる地位を築いているという、どこかの国をも思わせる支配者(とは言え、市長は別にいる)。
顔に傷を持ったヒロイン、ヘスター・ショウ。母親をヴァレンタインに殺され、復讐の機会をうかがっていたのだが、ロンドンに潜入するも失敗。そこで知り合ったトム・ナッツワーシーと行動を共にし、やがて反移動主義でお尋ね者のアナ・ファンに助けられ、ロンドンとの対決へと突き進む冒険活劇だ。
こういう作品は大好物。ビジュアル面が先行しがちでストーリーは薄味かと思いきや、最終戦争という同じ過ちを繰り返そうとする人間の愚かさをしっかり描いている。しかも、何も知らなかった市民が量子兵器を撃つ度に歓喜する様子は、支配者のみならず、戦争に巻き込まれる市民までもが狂気と化すえげつなさを見事に表現していた。兵器などの科学技術は進んでいるのに、食べ物だけは気持ち悪い描き方だったり、人間性のグロさを徹底して表現するなんてのはピーター・ジャクソンらしい(監督は違いますが)。
メデューサという名の量子兵器。U・S・Aって何のことかな?などと思っていたら、しっかり解決してくれました。ギリシャ神話に出てくる蛇髪メデューサをかたどった石板とかも出てきましたが、睨まれても石になるわけじゃなく、ブラックホールを作り出す!みたいな兵器でした。強い核兵器を持った国が強い国という驕りを皮肉たっぷりに描いた作品ではありましたが、この原作者がイギリス人であることも自虐的で興味深い。また、アナ、ヘスター、シュライクという個性的なキャラがなんとも魅力的だった。
善と悪が共存する人間に戦争を止めることはできるのか?
優しさと憎しみがひとつの身体、心に棲んでる。
性善説と性悪説の中。人は良き人として生きて行こうとしている。だから苦しむし、哀しい。そしてこんな映画も作るのだろう。平和を目指して戦う。戦うとは殺すこと。人殺しをして平然と生きていける人間なんていないはず。仲間を守るために…そして自らが直接的に殺す実感を失くすために武器を開発してきたんだ。
なぜ、人は人を支配したがるのか?大袈裟だけど、国家を作りたがるのだろう?
未来は明るくはない。
で、どおする?
タイトルなし
期待したあらすじ↓
「都市vs都市」199X年、核の炎に包まれた世界で生き残ったのはだんじり祭とか博多祇園山笠とかそういう類いだった!
ぶつかり合う都市が都市ごと人を飲み、喰らい、増殖する全く新しい奇祭!
発起人はニュージーランドのキモカワイイ狂、ファンタジーガチ勢、愛される汚ヒゲデブことピーター・ジャクソン!
実際のあらすじ↓
荒廃した(っぽい)未来、何か動くロンドンに飲まれて吐かれたガキ共が右往左往、ナイフと飛行機でロンドンに立ち向かっていくし、何かターミネーターも出る…みたいな。
原作は読んでないので、そもそも原作の悪い点も含まれてるかもしれない。
てか読む気にもならんかった。
ドンガラガッシャーーーーーン!グネグネゴゴゴゴドーン!ドーン!!!!みたいな画の割に色んなものが薄味。
スチームパンク風、宮崎駿風、モンスター映画風、ターミネーター風、全部が「風」。
色とかデザインとか上部だけの部分しかなくて、何か世界観の補助になってるとか、見せ方の工夫とか無い。
ただ出しておきました~って感じ。
観たかった都市vs都市も、一応最初に見せてくれるんだけど逃げてるだけだし、最終的には都市単位同士の戦いではないし、結局最後まで「ちっちゃいのvsでっかいの」のパターンしかなくて。
でもそれは好みだから仕方ねぇかもしんねでけど、それでも「ちっちゃさ故に勝つ」とか「最後は生身の人間がなんかして勝つ」とか「ちっちゃいのがまとまってでっかくなって勝つ」でもない。
アクションがごちゃごちゃしてるだけで、整理されてなくて見辛いし、でっかいのにちっちゃいのが突っ込んだ結果、行き着く先でちっちゃいのvsちっちゃいのとかになっちゃってなんか…ね…とかね。
画作りで一番残念だったのはセントポールが砲台に!っていう設定が出てきて、こっちも一応「おっ!それは都庁がロボ的なワクワク感あるな!」とか思ってたのに、まぁその画は残念な感じであっさり処理されてたことかな。
ストーリーとか期待してねぇんだけど、それでもやっぱ繰り返される終嘆場と「あ、まだそれやります?」感がしつこくて眠かった。
物語のキーアイテムの扱いとかもひどかったですね。
こっちはもう見せられてるものを映画の中ではわかってない、みたいな。
しかも何か「子供の頃からずっと持ってるコレが?!」的なものなのに、中途半端に他人が持ってるという。
世界観とかも結構適当で、都市が動く!ってだけじゃん?というか。
そりゃスマホとかはないけど、そこそこの文明はあるし、階級とか差別的なものもあるけど、ぶっちゃけ「今とそんなに変わんないね」みたいな。
いやそりゃ食ってるものとか人造人間的なものもあったけど、それこそそういうのも全部何か風なんだもん。
世界観も糞もないでしょ。
一応ね、西洋vs東方とか宗教とか文化とか人種の分断とかそういう「風」な物も入ってるんだろうけど、考えるのが面倒くさい程度には嫌いでした( ᷇࿀ ᷆ )
それなりに楽しめます。
宮崎アニメ(だけ)は観ないのでストーリーに違和感なく、楽しめました。
巧みに造り上げられた世界観が素晴らしく、それを追った映像が滅茶苦茶リアルなので、移動都市のキャタピラーが迫って来ると潰されそうで怖くて眼を閉じてしまうほどです。
主人公の二人が最初は素っ気ないのですが、助け合っていくうちに互いのことを
大切に思う様になる、心の変化がとても丁寧に描かれていました。
中程から、アナという中性的なアジアンビューティーが投入され、(個人的に彼女の役処は笵文雀みたいだな、と思った)物語が引き締まりました。
過去の遺物がミリオン達だったり、クスッと笑える所もあります。私は「昔の食べ物は腐らない」って所が笑えた。菓子パンやランチパックのことかな?
最後はそれほど印象的ではないけど、一応ハッピーエンドになるのかな?続きがありそうな感じの終わり方でした。
STARWARSリスペクト
上映館が少なくこれはインパクトだけのハズレかな?
と、マッドマックス、ウォーターワールド的なポストアポカリプスな作品として見に行ったら
乗っけからスターデストロイヤーに収容される反乱軍の宇宙船宜しく小さな移動都市のチェイスに始まり、ヒロインとヒーローの出会い放浪となかなかスピーディな展開
登場人物も脇から端役まで、小気味よいキャラクターとして描かれていてちゃんと感情移入できる
空賊ライクな飛空挺乗りたち、最後のロンドン強襲シーンもいい感じ
そしてヒロインをつけ狙う人造人間の倒錯した愛情
昨今のSTARWARSシリーズが忘れかけてるセンス・オブ・ワンダーが詰め込まれたリスペクト作品でした
世界観に説得力など必要あろうか?
これはこういう世界を描くための設定であって前提
宇宙に広がる帝国と同じくらい現実感はないが、舞台設定としては最高じゃないですか?
良い作品でした、是非見てください
空賊
わりと面白かったです。
あまり期待しないで見ました。予告編の感じではハウルとマッドマックスが混ざったような感じかな?と思っていたのだけれど,その印象は正解。まさかのターミネーターまで混ざってた。
前半で話がどんどん散らかっていって,収集できるのか心配になりましたが,後半ですっきりとまとまり,一安心。個人的にはシュライクの孤独と(深すぎる)愛情に涙しました。後半出てきたアナが格好良く,彼女の仲間たちも覚悟が決まってて格好良く,そこのところも涙ポイント。
最後のロンドン市民と壁の中の人々のシーンでもちょっと感動。つらいけれど「許す」ことでしか,未来は開けない。つらいけど。
"ハウル"かと思ったら、"ラピュタ"だった!
"都市が都市を食べる!"
車輪やキャタピラが付いた巨大な要塞都市"ロンドン"が疾走する、未来の終末世界。都市同士が争い、負けた都市を飲み込む弱肉強食のルール。スチームパンク風なレトロフューチャーなデザインが超カッコイイ。
喰われた都市は分解され、再資源化と燃料として吸収され、住民は労働力として最下層に組み入れられる。世界中の都市を喰っていく"ロンドン"(英国)って、植民地時代を彷彿とさせるジョークか。
その設定や造形、映像的な作り込み(だけ)は、とてつもなく面白い。そこはピーター・ジャクソン(「ロード・オブ・ザ・リング」)だから、抜かりはない。
原作は、2001年発表のフィリップ・リーヴの同名小説を実写化したもの。動かなそうな要塞が走るさまは、日本人ならスタジオジブリの「ハウルの動く城」(2004)を思い出して、もやもやする。
「Howl's Moving Castle」(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)は、1986年刊なので何らかの影響は受けているのだろうと思いながら鑑賞すると・・・、オヤオヤ?
"ハウル"かと思ったら、"ラピュタ"だった!
笑ってしまうほど、ジブリ・オマージュ作品。モーター滑空機や空中都市まで現れると、「天空の城ラピュタ」(1986)を翻案したかのような展開にア然。
~かつて人類を壊滅的に破壊した、"古代の最終兵器"と、それを秘密裏に復活させようと支配欲を持つ男。男は国家に雇われているのだけれど、最終兵器の復活とともに権力を掌握して、国家を乗っ取ろうとする。
主人公の少女は、最終兵器の秘密を握っており、親から託された破壊の鍵を持っている・・・むむむ。
そして最もジブリっぽいのは、少女を追いかける、利発で正義感のある男の子。少女を助けたいと思うけれど、ちょっと非力で、思うようにならない。「ラピュタ」だけでなく、「魔女の宅急便」もこれ。
そんな2人を助けるように現れる、海賊みたいな女性の賞金首・・・あらら。
SFとしてはオーソドックスな終末世界イメージの呪縛からは抜け出せていない。結末はすぐに想像できてしまう。レトロフューチャーデザインだけに酔ってしまったのが本作の限界
唯一、"都市が都市を食べる"(Hungry City Chronicles)というパンキッシュな設定だけが、とんがったオリジナリティ。
原作はシリーズ化していて、Hungry City Chroniclesの続編の計4巻が刊行されている。まさか続編の映画化しないよね。これで終わりにしないと、1作目だけ尖っていた「メイズ・ランナー」(2014)になりそう。
圧倒的な映像だけが見る価値があるので、3D上映がないのも残念(海外はある)。
(2019/3/1/TOHOシネマズ日比谷/シネスコ/字幕:林完治)
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