「舞台美術や独善的世界観が楽しめる凄い迫力の映画。」移動都市 モータル・エンジン コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
舞台美術や独善的世界観が楽しめる凄い迫力の映画。
内容は、今から1700年後の未来残された人類は新たな生き残りを掛けて移動するデカイ街と共に反対勢力と戦うのであった。その世界観の中で繰り広げられる人間模様に光を当てた物語。好きな言葉は『お前コイツを愛しているのか?!』主人公ヘスターに向けて育ての父親でもある人造人間のシュライクがかける言葉。その言葉でシュライクが人間であった頃の記憶が蘇り愛を知り成仏する姿が走馬灯の様に駆け巡り落ちていく空中都市と静かなピアノと相まって切なくもあり嬉しくもある様な、監督が人間を描きたいと言っていた事の一端を垣間見た様な気持ちに慣れて非常に良かったです。好きな場面は、やはりデカイ大ロンドンの外観と内観で階層ごとに分かれた階級社会の服装や街並みなどの細かな設定と小大道具に驚かされました。宮崎駿の天空の城ラピュタの設定資料の全盛期の様な感じの地上バージョンみたいで想像を映像化されたことへの意気込みを感じまし、プレビズも含め10年間の制作期間と150億円とも云われる予算には驚かされました。内容には大雑把な伏線や過度な人間関係とタイミングなど安易な雰囲気は否めませんが、それを推して余るデカさと映像の美しさには映画館で見れなかった悔しさも感じます。個人的な好みですが、凄い映画は面白くなくても良いと思うので地を這う都市は凄かったです。