ファースト・マンのレビュー・感想・評価
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真実とワルツ
ディミアン・チャゼルらしい映画
素晴らしかった。
ドッキングの際に、ワルツを使用したのはオマージュ?
アメリカを表している映画
象徴をうまく使い、時代背景もしっかり描いている
最後にケネディが締めるところも全くそう
かなり事実を淡々と描いている
ここもあの監督だからという部分が大きいのか
ラストシーンの言葉がない部分
ここが一番痺れる
役者の表情、目、間。
窓を隔てて、彼らが何を、どんな感情を共有したのか
それを鑑賞者に委ねる部分で終わるのが史実に基づく映画の正しい形なのかなとこの映画をみて思った。
映像は月面のシーンのみIMAX撮影ということ
時間の合う回に飛び込んでしまった&ポイント鑑賞
ということもあり、通常上映で鑑賞。
次はIMAXで、久々に2度目の鑑賞もありなのかなと。
ただ総じて思ったのは、苦手な人は絶対酔う!笑
宇宙には行けないなぁ、俺は。
でも月面歩いてみたい、と”軽々しく”思ってしまった。
Lunar Rhapsody
小さい頃、初めての月面第一歩がアームストロング船長というのは知識としては知っていた。あの有名な「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」の言葉は物心つく前での出来事なのでリアルタイムの感動は分らない。あくまでもテレビや本での話しだ。
今作はそんなニールの月面への冒険譚というべき世界の偉業を描いた内容である。であるのだが、肝心の主人公はあまり感情を表に出す性格ではない。であるので、その主人公を取り巻く人や物、そして情勢や出来事をドラマティックに演出させるというかなり変化球な構成になっている。物語的にはいわゆる“伝記”モノだから粗筋は周知の事実。その中であまり語られることのない細かい出来事が重要なのだが、実はストーリーのキモである、夭逝した娘さんのブレスレットの件は、未確認らしいとのこと。このことからも、主人公の実直さが透けてみえるのだが、しかし映画としての素材はかなり薄くなってしまう。
そこを埋める最大の演出は、主人公を通しての様々な飛行の追体験である。4DXの映画館ならばもっとそれがバーチャルに体験できるだろうが、通常の2Dでも申し分ない程、その臨場感や没入感が体験できた。とにかく息が苦しく感じるのだ。ジェミニ計画での制御不能の状態や、月への着陸、そもそもの冒頭の戦闘機のテスト飛行でも、とにかくまるで自分がニールに成ったかのような感覚がたかが映画館のシートに座っているだけなのに置き換えられてしまう演出方法や、特撮技術のレベルの高さには舌を巻く。決して俯瞰でモノを見させない、当事者意識を強く叩き込む作りなのである。
そして、全体的に覆う『死』というキーワードを激しく同時に静かに訴えかける構成も又、実際の出来事ではあるが、過剰に印象付けされていく。度重なる仲間の宇宙飛行士の事故死がもたらすギリギリのプレッシャーの中で、静かだが内面に強い炎を燃やしているイメージを常に表現させている監督や役者のハードワークに感心しきりである。
“月”という題材を常に意識づけるように、劇伴にテルミンを用いたり、美しい月の明かりを映し込ませたりといった具合に主人公の外堀を過剰に作り込むことに徹しているように思える今作、また新たなアプローチの作品であると、その可能性に評価を与えたい。
静かにそして激しく それをどうやって表現していくか、今作は一つの試金石であろう。
ラストのガラス越しの夫婦の邂逅は、しかし決して一筋縄でいかない、複雑でリアリティ溢れる演技であった。諸手を挙げて万歳が出来ない、これからの二人を暗示しているかのような、本当の姿がそこにある。
いざ、"静かの海"へ
月探査計画を描くために人間がいるのではなく、
人間を描くために月探査計画がある映画でした。
そもそも伝記を基にした映画なので当たり前といえば当たり前だとは思いますが。
空気が無いため、音も存在しない宇宙空間。
その静かな宇宙の中の、「静かの海」と名付けられたその場所に、一人の寡黙な人間の、静かな悲しみと静かな孤独がありました。
万が一の事態のためにニクソン大統領が用意した追悼文の結びにはこうあります。
「すべての人々は、夜、月を見上げるたびに、そこに永遠に人がいることを想うだろう。」
この言葉は、幸運なことにアポロ11号の生還により実現しませんでしたが、一人の父親にとっては、まさしくこの言葉の通りになったのでした。
そして、もしかしたら、この映画を観終わったすべての人にとっても。
月着陸は、TVで観てたなあ!
1969年7月 人類が月に到着。ウサギはいなかった。
翌年の万博には、アメリカ館で月の石観るために並びました。
ニールアームストロング船長のストーリーだ。
娘さんの難病に苦しみ、また男子が生まれる。
奥さんには、ドラゴンタツーの女のクレアフォイ
ザライトスタッフを思い出す。
映画は、時折重く、まぶたも重くなったが、ゴズリングの静かな演技に魅了される。僕は、静かな海と思ってたが、作品では、静かな基地って言ってたなあ!
紛れも無い"デイミアン・チャゼル監督作品"
物語や演出のリアリティや楽曲の素晴らしさはあらゆるところで語られているので、私はチャゼル監督作品という切り口で感想を語りたいと思う。
デイミアン・チャゼル監督は「セッション」や「ラ・ラ・ランド」でもひたすら主人公二人の"二人だけの世界"というものを描いてきたように思っている。
それは"二人にしかわからない世界"と言い換えてもいいと思う。二人以外の人間ドラマなど知ったことかというくらい、誰も介在できないその世界観が私はとても好きだった。
だって「ラ・ラ・ランド」はその世界がすごくロマンチックで切なくて好きだし、「セッション」ては嫌味、妬みという厨二病感全開(笑)の攻撃的な世界が若々しく(痛々しく)て好きだった。
本作はどうかというと、ニール・アームストロングとその娘カレンとの二人の世界があった。やはりここにもあった。
しかし、序盤でカレンの死により、主人公は一人ぼっちになってしまう。作中、ニールが感情を爆発させるのは、娘の死に対しての涙のみ。ライアン・ゴズリングの演技も素晴らしかった。そしてこの瞬間から、彼には家族や友人の言葉も届かない。親しい友人の死にも涙を見せない。そして事あるごとに、どこかにカレンの影を追ってしまう主人公。
しかし、ラストではやはり二人の世界だったんだということがわかる。月面でのニール・アームストロングの行動は監督のインタビューによると、史実ではなく、映画演出上の飛躍だとのこと。
フラッシュバックで娘カレンと見つめる先にあった月。彼はもしかしたらこの死の淵のような無の世界である月にも娘の影を追い求めていたのかもしれない。しかし、娘はどこにもいないのだ。地球に戻ったラストのラストで妻の差し伸べる手はガラスに阻まれて彼には触れることはできない。彼と娘の二人の世界には誰も介在できない。
ニール・アームストロングが月面で何をしていたのかは全くの謎である。
We choose the going to the moon. 月面着陸への追体験
デイミアン・チャゼル監督ってやっぱりスゴい。「セッション」の時も「うぅっ」ってなりましたが、本作も息が詰まりそうでした。あのスペースシャトルの中でのキシミ音。わざわざビスをアップで見せたりして、もうホント意地が悪い。でも、そんな演出のおかげで当時どんだけ大変だったか追体験できたような気になりましたが。チャゼル監督の今までの作品とは全く違う雰囲気ですが、訴えかけて来るものがある作品作りは今までと同じですね。
しかし、アポロ計画ってスゴかったんですね。何となく名前だけは知っていたジェミニ計画も宇宙船の仕組みも観てて「あ、そういう事か~」っと色々発見がありました。丁度今から50年前に、384,400kmも離れた月に人類が降り立ったって改めて凄い話だなっと思います。映画観た後でアポロ計画を検索をしてると面白くって止まらなくなります。あ、映画観てて、そんな昔からホントに検疫とかしたの?なんて思っちゃったんですけど、実際にちゃんとやってたみたいですね。
ニール・アームストロングを演じたライアン・ゴズリング、抑えた演技が見事でした。悲しみを抱えつつも強い意思を持ったニール船長を上手い事演じてましたね。で、単に偉業をなしえたヒーローっぽくするのではなくって出発前に子供と向き合えない等、人としての弱さも上手く表現してたと思います。奥さんを演じてたクレア・フォイも印象的な良い演技でした。作品としてアップの表情が多いので、繊細な表情が求められ大変だったのではないでしょうか?尚、あの出発の前日に子供と話をするようにやりあったのは事実のようです。
月面に着陸した後、音が全くなくなるのもインパクトありました。あの静寂な空間。実際の月でもあんな感じなんでしょう。んで、ラストにニールとジャネットが向かい合ってるシーンも音がなくなるのですが、映画館の隣の隣ぐらいに座ってたおっちゃんが、よりによってそのタイミングで「ブッ」っと・・・雰囲気台無しでした。せめて後1分、いや30秒屁ぐらい我慢できんかったんかーい!色々と耐えて頑張って月に行ったニールを見習えぇ!!
息苦しさと孤独が
月面着陸は何度も写真や映像で見てきた。明るいニュースとして。
でもよく考えれば月に行くまでにアポロ計画は11号までかかったわけだし、そこまでに何人も犠牲にする事故も起きてる。ソ連に負けたくないアメリカは焦っていた。あの時代の宇宙飛行士が宇宙への憧れや希望に溢れているはずが無かった。開発者も技術者も引くに引けないところまで追い込まれてる。とにかく息苦しい。
闇に浮かぶ地球も月も綺麗だけど孤独で恐ろしいものに見える。ニールにとって月に行くことは娘や同僚の死の哀しみを乗り越える目的だったのか。でも、月に降りても劇的に何か変わる訳ではないし報われなかったんじゃないかな。
最初から最後まで哀しい。映画観た後、暫くは宇宙の暗闇に取り残されたような感覚だった。
SF ものというより、人間ドラマという印象
この作品は1人の宇宙飛行士の物語を忠実に表現した映画です。アポロ13等々の作品とは大分違うニュアンスです。ヒーローもいないし、お涙頂戴もありません。
凄くリアリティがあります。打ち上げ時のコクピットの表現、飛行士の目線、息づかい、宇宙に到達した瞬間の達成感、月に着陸するまでの不安、帰還してからの家族との再開の描写、よく考えて作ってると感じました。
とても音や情景を大切にしてる作品なので、静かにみてほしい映画です。
私は近くでポップコーンをボリボリ食べるおじさんがいて、凄く気分が悪かったです。これからみる人は、静かに、静かに見ましょう。
あれから50年
月面着陸の時、自分は、小学校3年生。
朝5時くらいから起きて観て、その日の午前中は、学校でも授業をやらずに、クラスのテレビをずっと観ていた覚えがあります。
あれからもう50年の時が流れているんですね。そのままアポロやシャトル事業をちゃんと続けていれば、今頃、月には基地や移住もできていたのかも…。
ストーリーは、アポロ11号の船長であったニール・アームストロングのジェミニ計画からアポロ11号による人類初の月面着陸までの物語。
しかし、偉大な偉業の裏には、娘の病死、同じ宇宙飛行士を目指していた友の事故死、妻とのすれ違いなど、ニールの知られざる葛藤や苦しみがあったことを、初めて知りました。
ニール役のライアン・ゴズリンが、傷付きながらも、このミッションに参加し、あの有名な「1人の人間にとってはわずかな一歩だか、人類にとって偉大な飛躍である」の言葉が発っし、娘の遺品を月においてくるシーンは、胸が熱くなりました。
それにしても、ロケット打ち上げの時の、衝撃、鉄の軋む音、激しい振動、狭いスペースの圧迫感には、恐さしか感じないし、絶対耐えられないと思いました。
静かの海に導かれた父。静かの海に、
眠る魂。エぇっ??そんな話だったんかいな?
まぁ、クレーターの闇に消えて行くビーズの飾りには泣けたけど。この内容ならゴズリンもクレア・フォイも要らなかったんじゃないかと、軽く毒づきたくなるオッサン一人。
画は、素晴らしかったです。
ケネディは今更なんで画像は要らないから、男達は何に命を懸けていたのか、サラッと表現して欲しかった、欲言うと。
追加
生きられなかった娘の事を思えば。死んで行った仲間の事を思えば。こんなものは痛みとは言えないし恐怖とも呼べない。ニールが、自分を痛め付ける様に教育訓練に臨み、何故あれだけ冷静に振る舞えたのかの謎解きパートは好きです。
にしてもセリフ少な過ぎじゃないですか?パルプ・フィクション見た直後に、これを見たせいかもしれませんが……
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(2/11追記) エラーコードからラストへの流れの解釈
月面への着陸中の機内に、二つのエラーコード(#1201:空き容量なし、#1202:コアセット無し)が表示されますがNASAは着陸続行を指示します。AGC(アポロ・誘導コンピューター)には「優先度制御」と言うアルゴリズムが組み込まれていました。それにより、優先度の低いタスクを削除した後、システムは自動復帰し、航行に必要最小限な機能は保証されることをNASAは知っていた(いや、期待した)からです。ただし、最小限は最小限なのであるのに加え、AGCの機能はあくまでも「誘導」。正しく誘導されなければ、危険はむしろ増大します。
最終的に、ニールは目前に迫るクレーターを見て、優先度制御中のAGCを切り、手動による着陸を判断します。偶然とは言え、クレーターが着陸リスクを低減させたことになります。
ニールが娘の髪飾りを落としたクレーターは、手動着陸を決断させたクレーターと同じだとしたら。静かの海に導かれた父が、導いてくれたクレーターに、娘の魂を葬る。と言う流れ。
SciFものとしても、アーサー・C・クラーク的な感動があって良いと思うんですが、あまりにも説明が不足していて不親切過ぎると思います。#1201が深刻化する#1202。更には「優先度制御」を知らなければ、このラストの流れは判らないと思う。
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蛇足ながら追記 (2/23)
クレーターは外乱。AGCの誘導ではクレーターの外輪に激突する。「そもそもAGCの信頼性に疑問がある。確からしさの確認のために、計算値の高度とレーダー実測高度の差を表示させようとしたらエラーコードが出た」。
上記の「」の内容は重要だと思うんですが、映像から読み取るのは不可能だと思う。高度差表示コマンドは#6800番台だったか?これを打ち込むシーンと、その結果コンピューターがオーバーフローするシーンの追加が要ると思います。燃料残を強調し過ぎ!
控えめに言って最高。
「ファースト・マン」鑑賞。
この5年くらい自分のフェイバリットな映画監督は変わらなく3人で固定されているのですが、その中でも一番好きな監督であるデイミアン・チャゼルの監督最新作です(残りふたりは、イニャリトゥとヴィルヌーヴ)。
誰でも知っている人物、地球上で初めて月面に降り立った人類、アポロ11号船長ニール・アームストロングの伝記映画です。
「ラ・ラ・ランド」でもチャゼル監督と名コンビだったライアン・ゴズリングが主演。
「ガイ&マデリーン」、「ウィップラッシユ(セッション)」、「ラ・ラ・ランド」は脚本・監督作品だったので、今回は監督オンリーの作品ということで物足りなさはありますが、アームストロング船長の伝記で原作ありきなので、そこは致し方ない点だと納得しました。
先ず、観終わっての感想ですが、未知の領域に踏み込むパイオニアが抱える怖さと、達成するための精神的な強さ、揺るぎなさが本当にストレートに感じられる演出になっていました。
主人公アームストロング船長の視点からカメラが撮られていますが、ゴズリングの目線の演技、表情の演技があまりにも迫真すぎて宇宙船や広大な宇宙の描写が非常にリアルな部分も相成り、自分が本当にアポロ11号に乗り込んで月面着陸ミッションを遂行している錯覚に陥ります。
本当に、ゴズリングの表情の演技は上手い。
宇宙ミッションに携わっているシーンもそうですが、家族とのドラマシーン、父親としての妻や子どもたちに対峙する態度にも現実にありそうな父親の戸惑いや葛藤が感じられました。
(実話なのでネタバレにはならないですが)物語冒頭で娘がなくなるシーンがあるのですが、納棺時の目線、式が終わりやっと一人になったときの孤独と悲しみからの嗚咽、、本当にこの一連のシークエンスだけで、彼の演技力の高さが分かります。
物語の結末はNHKの大河ドラマと同じく、皆が知っているラストに向かって進んでいくのですが、それでもどうなってしまうんだろう?無事にミッションは遂行されるのだろうか?と思ってしまう。
それは前述の通りゴズリングの高い演技力と、主人公目線でひたすらリアルに見せていく(魅せていく)チャゼル監督の演出の妙。
やっぱり、彼はシナリオを書いていない映画だとしても、私の中で一番好きな監督なんだなぁと実感しました。
まさにA評価。
今年に映画館で観た6本の中でもイチオシ。
ただいま公開中の映画では一番のオススメです。
主人公無しの映画
主題を見て『アームストロングが主人公だろ?』
そうお思いの人正解ですが、ちょと違う。
確かにニールアームストロングと言うフィルターを通して物語は進む。
だが、本当にニールが主人公か?
と、見進めると思う。
因みに、ニールアームストロングという人は、どんな時にも感情に乱れる事なく状況判断できる人。
なんて言っても、自分の指を芝刈り機で落としても、それを冷やして病院に持っていける人なので、常人には理解出来ない所もあるだろう。
だから、人によっては冷静平板過ぎて感情移入出来ないのは当然の成り行きか?
監督も強烈にニールだけにスポット当てて無いから
途中であれ?と言うのも当然かな?
フレディマーキュリーとは違うんですよ(笑)
そんなニールの娘への想い、死んだ仲間の想い。家族への想いは所々に散りばめられている。
不器用な男だけど、それを分かって支える妻が居て良かったと感じた。
月に降りた時の娘のブレスレットのシーンなんかは人間味出てて良かった。
最後のガラス越しの投げキスは男の緊張して孤独から解放された素直な感情。
あゝ言う時に、そっと寄り添う女って男目線で良いな。
派手さは無いが、深い映画だな。
恐らく40歳位からの人には響く映画かと?
映像美と音
ファーストマンtohoシネマズ 新宿にて鑑賞
デイミアンチャゼル監督の過去2作は文句なしの傑作で特にララランドのオープニングとセッションのエンドロールは個人的にめちゃくちゃ好きなシーンでした。
そしてファーストマンは映像美と音が上手く使われて月面に着陸するシーンで無音になった瞬間は感動がこみ上げてきました。主演のライアン・ゴズリングと奥さん役のクレアフォイの演技は凄く良かったです。チャゼル監督の作品は印象に残るシーンが必ずあるので凄いと思いました。チャゼル監督の作品をこれからも注目していきたいです
一人の人間の愛についての映画でした!
初めは『アポロ13』のような「人物」「偉業」を称える映画かなと思っていたら全く違いました。
無事に月に着陸し、戻ってきた初めての人間
当時としてはアメリカにとっての英雄であり、人類の歴史に名前を残した「ニール・アームストロング」
英雄としての彼を一切描かずに、一人の生真面目で実直な"家族を愛する、アメリカ人男性"として大きくフォーカスされています。
この映画ではすべてが対比で構成されていました。
利己的なバズ・オルドリンと従順実直なニール・アームストロング、顔のフォーカス、部屋の様子、明るい未来と暗い現実、”黒”と”白”、戦争と平和、常に"光と影"が多く、描かれてた人の”目線”を終始追っていくという、ある意味では追体験に近い演出が散りばめられています。
他の人が書いている様に、とっても静かで、定点でのカメラワーク多いのでドキュメンタリーの様な、とてもリアルな感じがします。
最後の最後まで、本当の言葉を表にに出さないで、アポロ11号の着陸した地点の"静かな海"の深淵に彼女が沈んでいく様子はこの映画の描きたかった利己的な彼の愛だと感じています。
あくまでも個人の意見ですのでご容赦を。
僕はとても面白かったです。次はIMAXでみたいです。
宇宙飛行士の緊迫感が伝わってきた
月に最初に降り立ったアームストロング船長のノンフィクションもの。なかなか重々しい雰囲気な映画でした。一見華やかな宇宙飛行士の世界の影の部分がよく描かれていたと思う。特に発射〜大気圏〜宇宙空間のコックピット内の緊張感や、どんなトラブルが起こるか分からない不安感などヒシヒシと伝わってきた。
宇宙空間を写すときに、映像そのものもだけど、全く無音になるシーンは結構鳥肌ものだった。
暗い
冒頭で愛娘を失くしたニール、その悲しみが映画全体を覆い尽くす。とにかく笑顔のシーンもどこか陰鬱なのだ。音楽もあまり流れず、粛々と時系列に流れていく、沈黙とロケットの爆音しかないかの様。ラストシーンで夫婦の絆を感じさせるような終わり方をしているが、この夫婦後々離婚し、ニールは再婚する。悲劇のうえに歴史ありだが、この映画はまさにそれである。最後に・・ニールで月面に降り立ち、娘のブレスレットを月面のクレーターに落とすシーンが心に残りました。エンターテイメント制はこの映画、ないと思います。馬鹿真面目な映画です。
花粉が飛び始める前に見たほうがいいと思います
『月面の再現』から始まった〝リアル〟の追求が、映画製作の途上で半ば目的化していったのではないだろうか?
家族との最後になるかもしれない時間を意味のない荷造りで逃避してしまう人としての弱さ、国威発揚を負わされる責任と様々な立場からの否定的な意見(ただのやっかみだってある)の狭間で抱く複雑な心情、パイオニアとしての自負と純粋な夢追い人としての情熱、不運な先達や同僚への思い。
そんなこんなを全て脚本に落とそうとするのは無理があるし、セリフにしたら陳腐になる場合もある。
だから、リアルな再現が月面に留まらず、ロケットに乗り込む時のエレベーター視点、観客が自ら体験しているような燃料噴射の轟音と月面での静寂、まるで自分が詰められているかのような妻のアップ顔……等々全編にわたり細部にまでリアルが行き届いたのだと思う。
結果として、感情を揺さぶるようなドラマ性が削ぎ落とされ、人によってはやや退屈な印象の作品となったといえる。
では監督の意図が空回りしたのか、と言えばそんなことはなく、かなりのレベルで成功したと思う。
終盤の月面に降り立つシーンでは、IMAXの劇場内から音を伝える空気を抜いたのではないか、と息苦しさを覚えるほど観客全員がまるで示し合わせたかのように息を潜めて、物音ひとつ立ててはいけないほどの緊張感を強いられながら(膝上に置いたダウンジャケットの衣擦れの音すら気になる程の静けさでした)画面に見入っていたのですから。
※2/9 東宝シネマズ日比谷 12:00の回で鑑賞された皆様、ありがとうございました。息を潜める共同作業の一員になれて、とても嬉しかったです。感謝申し上げます。
鼻水をすすったり、くしゃみをするのが憚られる映画ですので、花粉症の方は早目に鑑賞することをお勧めします^_^
一歩そしてこれから
アメリカ本国公開してから3カ月あまり公開を待っていました。
デミアン・チャゼル監督作品。前作の『LALALAND』で主演を果たしたライアン・ゴズリングが今作では月に初めて行ったニール・アームストロング船長を演じた。
アームストロング船長の事は月に初めて行った人として記憶されているがその人となりは知るべくもなく今に至っていた。
オープニングから映画『ライトスタッフ』でのX1での飛行シーンの場面が思い出された。
X15の試験飛行。
その間たくさんのパイロットが亡くなっていた。
そしてニールの娘も病気で失っている。
その喪失感が彼に重い影を残している。
その喪失感から逃れるようにNASAのジェミニ計画へ応募する。
当時ソビエトとアメリカの覇権争いが激化。
そしてジェミニ計画を進めていく中でもたくさんの仲間たちが散っていった。
新天地でもニールの喪失感は埋められない。
それでも彼は宇宙への道に何か救いがあるのではないかと突き進んでいく。
映画はゴズリングの憂いを帯びた演技が光る。
そしてニールの妻役には先日見た『蜘蛛の巣を払う女』で主演をしていたクレア・フォイ彼女も死と隣合わせの宇宙飛行士の妻役を見事に演じていた。
『蜘蛛の巣を払う女』のリスベット役よりこちらの方がしっくりきた感じがする。
映画はニールの喪失感や葛藤を淡々と描いている。
映画的には静かに進むが途中ここのシーンにはこの効果音はかえって安っぽく感じさせるところもあったが概ね評価したいと思う。
この映画見終わって『アポロ13』が見たくなった。
エンドロールにはスピルバーグの名前もあり何故か納得。
今や宇宙競争はアメリカNASAだけでは進まなくなった。
月から次は火星へとターゲットを変えてるが近い将来にはそれも達成する事だろうがその過程でまたたくさんの人が散っていくだろう。
その周りにはニールと同じ気持ちを抱くだろう。
着陸直前の”1202”アラーム”に、感動は倍増。
物事を最初に成し遂げるということは、どれほど偉大なことなのか。多くの人がたどったあとでは、それは、"あたりまえ"になってしまう。
けっして例えが適切だとは思わないが、それは"妊娠・出産"に似ている。たいへん喜ばしいことで、周囲の家族からすると、"いつ生まれるのか"と待ちどおしく、"男の子か、女の子か"で気をもんだりする。まさか現代で"命の危険と隣り合わせ"ということはすっかり忘れている。
この映画を観て、"なんてことないロケット映画"とか、"「アポロ13」(1995)のほうがドラマティックだ"という感想を持つとしたら、すでに麻痺している。
多くのアニメや映画で、地球と宇宙を行き来するシーンを観すぎていて、"産みの苦しみ"を忘れているだけ。もとより出産の痛みなんて、オトコには分からないが…。
約50年前のロケット性能は、今から考えればオモチャ以下である。コンピューターの性能を表わす単位、FLOPS(毎秒浮動小数点演算)でいうなら、月に到達したアポロの誘導コンピューターは初代ファミコン2個分程度である。いま手元にあるスマホと比べたら、100億倍でも足りない。
デミアン・チャゼル監督と脚本家のジョシュ・シンガーは、"常に死と隣り合わせ"のミッションであることを描くためだけに全力を尽くしている。
映画冒頭、ニール・アームストロングが宇宙飛行士になる直前、幼くして病死した娘・カレンの話は単なる家族エピソードではない。子どもが普通に成長することも、"あたりまえ"ではないことを表わしている。アポロ計画で亡くなった多くの宇宙飛行士の失敗や、何度も描かれる葬儀のシーンもそうだ。
一方でアームストロングの家族との団らんや、子供と遊ぶシーンは手持ちカメラで撮影することで、家庭用ビデオの雰囲気を出し、"生きていること"と"死んでしまうこと"の対比を強調している。
この映画は、アームストロング船長の伝記でありながら、ことさら月面着陸をサクセスストーリーとすることなく静かなエンディングを迎える。
失敗に次ぐ失敗に、"命と税金の無駄遣い"と反対運動をしていた世論も、結果として月面着陸のテレビ中継に歓喜する様子は、"出産"を喜んでいる第三者と同じである。
本作はIMAXカメラで撮影されているので、IMAX上映を選択するのもいい。しかし個人的に心からおススメしたいのは、4D系で観ることだ。
4D上映自体が、多くの作品を経て進化しつづけた結果、とても細かなモーション効果を表現できるようになっている。本作の冒頭から繰り返される、"飛行訓練シーン"や"ロケット実験"が、まさに飛行士の目線で"体験できる"。ともすると、"絶対に宇宙飛行士になんかなりたくない"と思わせるほどの疑似体験だ。
チャゼル監督の意図した、静と動のコントラスト比もより大きくなる。"アトラクション効果なんていらない"、なんて決めつけないで。映画「アポロ13」(1995年) の頃は、4D上映がなかったのだ。
最後に、知っている人と知らない人では感動がまったく違ってしまう重要なシーンがある。
月着陸船イーグルが、月面へのアプローチ中に出てくる[1202アラーム]だ。劇中では全く説明されない。アームストロング船長も、1202なんて知らない。「1202アラームの意味を教えてくれ」となる。
これは32歳の女性プログラマー、マーガレット・ハミルトンの開発した、偉大なるソフトウェアなのである。ヒューマンエラーを回避するためにひそかに作られた。万が一、何らかの原因でコンピューターがフリーズしそうになると、宇宙飛行士の生死に関わる重要なプログラムだけを再起動させる。そしてそれを知らせるのが[1202アラーム]なのだ。
この時点で、宇宙飛行士が何らかのミスを冒しているという意味でもあるのだが、この画期的なプログラムがなければ、アポロは月面着陸できなかった。
だから[1202アラーム]が何度鳴っても、オートパイロットは正常に作動し続けているという意味であり、「問題ない。着陸任務続行!」なのである。
このエピソードを知っているだけで感動は倍増する。NASAで働いた女性技術者・科学者たちの貢献は「ドリーム」(2017)でも描かれていたが、ほんとうに多くの科学者のバックアップがアポロを月面に導いていた。
(2019/2/8/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:松浦美奈・字幕監修:毛利衛)
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