「誰が人間が月に行くなんて考えたのだろう…」ファースト・マン ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
誰が人間が月に行くなんて考えたのだろう…
事実のため、派手さは無く、感情移入する暇もなく、物語は淡々と進むので、前半は特に映画的なエンタメ要素はない。それだけに人類が月に行くのに、どれだけの時間と命の犠牲があったのか、ライトスタッフ同様に描いている。娘を亡くし、心に傷を負う主人公ニールはロケット試作途中に仲間を次々と亡くし、葬儀を終え、逃げるように出ていく。親友をも亡くした彼の胸中はどうだったのだろう。誰も行ったことのない未知なる宇宙に命懸けで行く彼を奮い立たせるものは何だったのだろう。夫を送り出す妻も然り。妻も戦っている。当たり前になった現代でも、こんなに事故が起きていたら、行きたくない。。宇宙開発にソ連が先行していた為、アメリカの焦りがあったり、国民、特に貧困層は失敗ばかりする宇宙開発に莫大な税金が投入されることをよく思わなかったり、かなりのプレッシャーがあったこともよく描かれている。自分が他の宇宙飛行士よりも先に行きたいなどの争いなどはなく、チームとして団結力を感じる。飛行前記者会見時、過去の飛行のお陰で今日があるというニールの言葉は本当だと思う。後半は結果は分かっているが、期待感というより、これから死にに行くような物凄い悲壮感、緊張感が漂う。帰還後、妻と隔離室のガラス越しで、泣くわけでも笑い合うわけでもなく、帰って来れて良かったというひたすら安堵、疲労感すら漂う終わり方はリアリティあった。コリー・ストールは嫌な奴の役がよく似合うw