「宣伝が良くない —- 合う人には名作、是非お勧め」ファースト・マン 雨はにわか雨さんの映画レビュー(感想・評価)
宣伝が良くない —- 合う人には名作、是非お勧め
宣伝戦略で損してませんか??
「ラ・ラ・ランド監督最新作」「心踊るミュージカルから、舞台は壮大な宇宙へ!」
チラシのトップはそんな宣伝文句ですが
ララランド的な映画を期待して観に行った人は騙された気分になるでしょう
逆に私は、アポロ計画をミュージカル仕立てにしたのか? と思って観に行くのを躊躇してました。観てても途中まではいきなり歌い出すのかとしばらく身構えてましたよ
歌や踊りは一切ありません
いわゆるラブロマンスものでもありません
今から50年前、人類で初めて月面に降り立った宇宙飛行士ニールアームストロングの実話にもとづく物語です
まず超音速機や宇宙船というものが物凄く狭くて、まるでブリキの繋ぎ合わせで空中分解するのではと思うくらい計器も読めないくらい終始ギシギシガタガタ振動しまくり(大気圏外に出るまでは)、また制御不能に陥ったりする。そういう描写がすごいです
そしてそういう絶望的な状況のなかでのニールの操縦
しかし下界に生還して、そういうことを声高に自慢したり騒ぎ立てて訴えたりする人ではありません
そういう人間としてのニールを描いた映画です
ジェミニ計画の選抜面接でニールは「我々はなぜ宇宙に行くのか?」という主催の質問をされます。それに対する彼の返答がこの映画の大きなテーマだと思います
実話ベースですからフィクションのような派手な物語の展開はありません。なのでそういうものを期待する人には向かないと思いますが
通常のSFなどとは異なるリアルな宇宙への挑戦
そしてある意味非アメリカ的とでもいうような男の姿
彼が月面で見たもの
そういう映画として、映像・カメラワーク、音響、脚本演出、どれも非の打ち所のない、間違いなく名作だと思います
興味があるかたは是非映画館でご覧になることをお勧めします。家では100インチの防音シアタールームでもお持ちでなければこの体験は難しいと思います
自分は一度見て、翌日もう一度見に行きました。こんなことをしたのは初めてですが。二度目で分かっていても最後にはグッときてしまいました
原作は、それまでほとんどの取材を断り続けたニールとの単独インタビューを何十時間も行なって書かれた伝記だそうです。読んでみたいと思いました