「犠牲」ファースト・マン U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
犠牲
歴史的な第1歩。
その足跡を残す為に払われた多くの犠牲を克明に描いたかのような映画だった。
国家規模の宇宙開発競争という背景はあるものの、人類の可能性を知らしめた計画であったのだと思う。
その礎となっていった命に敬意を払う。
物語の中盤以降、ロケットはあまりに巨大な棺桶にも見え、それに自ら乗り込むパイロット達が特攻隊員のようにも思える。
残される家族たちもしっかりと描きだしていて、その色が強くなり、主役の人物像や、その周囲を語る事で、英雄ではない僕らの隣人としての側面が印象づけられる。
人命を賭してまで推し進める必要があったのだろうか?
だが、しかし、アームストロングが残した足跡が全てに報いたと思いたい。
先人の行動なくしては、あの1歩も刻まれてはいないのだから。
作品的には、過去から連なる技術の進化が面白かったりする。
コクピットなどは最たるもので、時間が経つ程洗練されていく。
そう思うと、立ち上げ時の手探り感が伺えたりする。試行錯誤の跡と言おうか、技術革新の経緯と言おうか。
飽くなき挑戦である事には間違いない。
この作品を見ながら「ドリーム」を思い出してた。技術革新の裏側の物語だ。
帰還した後の夫婦の対面が、とても、とても静かで…周りの喧騒とは裏腹で面白かったんだけど、あまりに静かすぎて少し違和感。
月面にて弔う娘の遺品には、ちょっと劇的すぎてそれまでの物語との距離を感じた。
本当なのだとしたらどこから出したりしたのだろうか?
月面に名前くらいなら書いたかもなと思ったり…ドラマチックなシーンだった。