「究極の疑似体験」ファースト・マン ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
究極の疑似体験
人類初の月面着陸に至るまでを描いた実録映画。
寡黙なニール・アームストロングを演じるのはライアン・ゴズリング。
彼の演技、特に繊細な表情芝居がとにかく素晴らしい。
人前では決して感情的にならないニールの、誰も知らない辛さや恐怖、葛藤が痛いほど伝わってきて、ドラマにグッと引き込まれた。
彼を英雄として描くのではなく、等身大の男として最後まで描ききっているのも好感が持てた。
ロケット発射シーンはもはや恐怖映画。
これは一種のVR体験に近く、大気圏離脱までの緊張感がとにかくリアル。
60年代アナログシャトルの頼りなさ、風防から見る死と隣り合わせの宇宙の冷たさ。
これらは間違いなくスクリーンでしか味わえまい。
過酷な訓練の日々、家族との別れ、友の死。全てを乗り越えた先にたどり着いた月の大地。東西冷戦の代償を個人が背負うにはあまりに重すぎる。
これがノンフィクションだというから改めてその偉業に驚かされる。
ぜひスクリーンで体感してほしい。
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