劇場公開日 2019年2月8日

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「チャゼル監督の伝えたかったテーマ」ファースト・マン カメさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0チャゼル監督の伝えたかったテーマ

2019年2月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

個人評価:3.9
月面着陸の史実を描く本作。脚本はスポットライトなどを書いたジョシュ・シンガーという事でリアリズムに真実を描くと思っていた。しかし、デミアン・チャゼルが描いたテーマは全く違う。
生きている世界、死んでしまった者の黄泉の世界を、月面着陸の史実に重ねて伝えている。
地球から娘と見上げ空に映るのは、向こう側の世界である月。そして無の場所である月面から見上げた生ある地球。それが生と死の対比と感じる。
生きている者が誰も見た事がない、行った事がない月。それは黄泉の世界、死んでしまった者が行く死後の世界。足を踏み入れれば戻る事が出来ない世界。あの時代、月に行く事は死の世界に行く事と同義であり、死の世界から帰還したストロング船長を描いている。
ラストシーンで夫と対面した妻の描写。そこには感動の対面はなく、死の世界にいる夫を、生ある世界から見つめる妻。そこには一枚の仕切りがあり、こちら側の世界と隔てられている。
前人未到の偉業を成し遂げたストロング船長を、華々しいストーリーて描くのではなく、そこにあった真実は死と直結した世界であると感じる。
映画としては大ファンであるチャゼル監督に期待した内容ではなく、長いと感じてしまうストーリー。用意された脚本と製作陣との葛藤がチャゼル監督が描いたテーマから感じられる。

カメ