劇場公開日 2019年2月8日

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「月面着陸した初の人類」ファースト・マン takaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0月面着陸した初の人類

2019年2月9日
iPhoneアプリから投稿

月面着陸に成功した初の人類、
ニール・アームストロング船長の偉業を描く作品。

題材からきっと困難な末のサクセス感動物語だろうと
思って見に行かれる方が多いと予想される中、
「ララランド」のチャゼル監督作品という前提を知り
見に行かれる方とで覚悟の度合いが変わるであろう作品。

冒頭、葬儀で棺が土に埋まるのを見つめる
ニールを描くシーンがあるが、この映画の本質はそこにある。

画面構成がニール視線で常に進み、
テスト飛行や訓練、初のドッキングを行うジェミニ8号でも
椅子に座った状態から見える視点で画が進む。

数10センチの小さな窓からの風景しか見えない。
火が出ていると大気圏に突入しているのか
事故による火災なのかもわからない状態。

まさに乗員目線での鑑賞を強いられることとなる。

すでに鑑賞されている方の指摘として
ニールが多くを語らないため、何を考えてるかわかりにくい
という意見が多く見られたが、
彼の心理状態は「死人」状態であると推測する。

ジェミニに乗った時、ハッチを閉じられる視点は
まさに棺の蓋を閉じられた状態。

事故があれば死に直結する宇宙において
宇宙船は言うなれば棺桶に他ならない。

この作品の宇宙飛行士は死を受け入れた人物であるという
チャゼル監督のアプローチ手法だったのかと。

一時期、子供たちの憧れる職業の代名詞でもあった
宇宙飛行士の心理的な重圧や過酷さを重点にしていた。

また宇宙飛行士然り潜水艇などの外界と長期にわたり
隔離される環境に置かれる乗務員はストレスやパニックの
耐性が高い人物しか選ばれないと聞く。

いかなるトラブルがあっても現状を瞬時に把握し
今ある環境で問題解決できる冷静な能力を要求されるという。

そういう側面から言えば今作のニールの冷静さは
リアリティを持って描いていると言える。

またニール本人も寡黙で表情を変えないことで
有名であり、実の息子が映画の監修に関わっているため
きっとライアンが演じるニールと近しい感じだったのでしょう。

以上でまとめた箇所を添え本作品を未鑑賞の方は
ご覧頂けると監督の描きたい部分が少しは見えるのではないでしょうか。

taka