「前作の大ファンなら心から楽しめるカーテンコール」マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
前作の大ファンなら心から楽しめるカーテンコール
単独アーティスト楽曲による、"ジュークボックス・ミュージカル"の金字塔「マンマ・ミーア」(2008)の続編である。原題に"Again"と入っている通り、カーテンコールのような作品である。第1作目が大好きであればあるほど、嬉しすぎて、思わず笑みがこぼれてしまう。愛すべき"その後"。
母ドナ(メリル・ストリープ)が亡くなり、娘ソフィ(アマンダ・セイフライド)は現在、ドナのホテルを引き継いでリニューアル。そのグランドオープンを控えている。
第一作をリピート鑑賞すればするほど、あれやこれやと謎が残ったままのはず。
たとえばドナは、なぜひとりでホテルを創業させたのか。前作では"ママに戻ってくるなと言われ、それで帰るところがなくなってホテルを立ち上げた"と言っている。
では、若い娘がそのホテルの立ち上げ資産をどうやって手に入れたのか。また家出したままのドナの母(つまりソフィの祖母)はだれなのか.....ずっと気になっていた点である。
そしてもちろん、母ドナと、3人の父親候補(ビル・アンダーソン、サム・カーマイケル、ハリー・ブライト)との出会いの経緯が、明らかになることが、いちばん重要である。前作では、ソフィが見つけたドナの日記に書かれた思い出だったが、それが時系列に再現される。
そんなドナの若き日を、リリー・ジェームズが演じている。ディズニーの実写版「シンデレラ」を演じていた彼女である。歌もうまい。
「シンデレラ」の吹替版が高畑充希だったことを考えると、「マンマ・ミーア」には劇団四季による日本語版が存在することと繋がってしまう。
ディズニー映画なら、吹替版ミュージカルの歌詞も日本語を用意してくれるが、ユニバーサル映画にそれを求めても酷である。もちろんABBAの楽曲は英語のほうがいいという話もある。
前作は完璧だ。あまりにもABBAの選曲が巧妙すぎて、その完成度は高すぎる。もうネタ切れではないかと思いきや、"ABBAの名曲はこれだけじゃないぞ"と言わんばかりの、未使用曲の在庫放出。
もちろん代表曲である「ダンシング・クィーン」や「マンマ・ミーア」、「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」などなどはリードボーカルを入れ替えたり、編曲を変えたり、テイストを異にしている。
そして、エンディングで世代を超えたオールキャストによる「スーパー・トゥルーパー」!!!
ここがカーテンコール映画としての醍醐味である。ずっとアンコールの拍手をしていたいくらい。
単純に楽しい。1作目のほうがストーリー構成はよくできていた。それを踏まえての2作目なので、前作を覚えていないと100%楽しむことはできない。だからもう一度、1作目を復習してから観れば、きっと最高である。
ちなみに第1作は、Amazonプライムビデオの会員なら、無料コンテンツになっている(公開初日現在)。
(2018/8/24/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:石田泰子)