劇場公開日 2018年6月15日

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「「視点のスライド」が予想を気持ちよく裏切ってくれる」ワンダー 君は太陽 セッションさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「視点のスライド」が予想を気持ちよく裏切ってくれる

2020年6月10日
iPhoneアプリから投稿

この作品、障がいを題材にした、ただのお涙頂戴ものだと思っていた方が多いのではないでしょうか?

かく言う私もその一人でした…舐めてた自分が恥ずかしい…

生まれつきの障がいにより、人とは違う顔を持つ少年オギーが小学校に通い始める、
激動の1年間を描いた本作。

まずは何と言っても、『ルーム』でも天才っぷりを発揮していた、
ジェイコブ・トレンブレイ君演じるオギーのキュートさがたまらない!

主人公の持つ利発さと、少し毒っ気も備えたユーモアあふれる性格を見事に体現しています。

今週末公開の『グッド・ボーイズ』でも主演を務める彼の、今後のますますの活躍に期待してしまいます。

そんな彼の姿を捉えていたカメラは第二幕から、周りの人物へと焦点をスライドさせていき、
予想していた物語とは違う方向へ転がっていきます。

オギーを優しく見守る姉のヴィアにも当然悩みはあるし、
彼と親交を深めるジャックだって家庭の事情に不安を抱えているし、
単なる悪役とみなされてた「アイツ」でさえ辛い思いを隠していたことが明らかになるのです。

この、誰一人特別扱いしないフェアな視点をもとに考えると、
副題の「君は太陽」とは、オギー含めた誰もが人生の主役であることを示し、
それぞれの存在を肯定してくれているように感じました。

『ウォールフラワー』でも、各人物の魅力を存分に引き出していたスティーブン・チョボスキー監督は、
またしても長く愛されるであろう素晴らしい作品を作ってくれました。

「普通」と「普通じゃない」の線引きをついついしてしまう、私たちの先入観を取っ払ってくれるこの傑作、
全ての人にオススメ!

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