「人はみな他者を傷つけ、傷つけられて成長する。オギー少年の一歩が奇跡を生む!」ワンダー 君は太陽 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
人はみな他者を傷つけ、傷つけられて成長する。オギー少年の一歩が奇跡を生む!
この作品「また、お涙頂戴物語なのか?」と思っていたら、友人が結構良かったと教えてくれたので、公開終了間際の映画館で私は、奇跡的に観賞可能になりラッキーラッキーでした!
これで、「ワンダー・きみは太陽」のオギー少年同様、私も公開から3ヶ月も経過しているという本作を、映画館で奇跡的に観られた事は正に、ワンダー!ワンダー!奇跡の体現者です!
何故か、オギー少年に出会うとみんなが幸せになってしまうと言うのはどうやら本当の事らしい!
この作品の主人公のオギー少年は生まれつきの障害を持っている為に、中々両親がオギーを学校に通学させなかった。だが遂に入学を果たした彼の約1年の生活を作品は描き出していく。
学校でのオギーの「初めてのおつかい」ならぬ「初めての学校生活」が始動、その少年の日々の学校体験と家族の日常生活の数々のエピソードが描かれていく。
勿論オギー少年に対するイジメ有りだが、私が本作をとても気に入ったのは、イジメは絶対に「いかん」と頭ごなしの人権団体のお偉いさんが説教する様な描き方をしていない作風が特に素晴らしかったので、私は心底本作に惚れ込んだ!
子供なら特に、誰でも何に対しても好奇心を抱き、自己の認識を超える者に対して、大きな不安や差別意識や、偏見を持つ。その一方で興味や好奇心を持ち未知なる存在を理解したいと言う肯定的な欲求も同時に存在すると言う事実を描きだしている点だ。
イジメの原因となるその行動の背景には相手に対する情報量の圧倒的な不足が有る事。その情報不足が相手を理解する妨げとなり、相手を傷つける最大の要因になると言う視点である。
そして、その理解出来ない他者や物事に対して人は自然に排除する性質を持っている。
本作はオギーを取り巻く家族問題も描いていて、特に年の近い姉の心の揺らぎを丁寧に描いている事はとてもリアルで素晴らしかった。
普段差別をされ、虐められる事が多いオギー少年だが、オギー少年に決して責任は無くてもオギーが生きて生活する事自体が、被害者として存在ばかりするのではなくて、時には姉のヴィアを傷つけ、苦しい立場に追いやる加害者の立場になる事も有り得ると言うき気づきを教えてくれる点に於いても、本作は深い視野に立ち物事の本質を描こうとしている点で素晴らしい。
中々同じようなテーマをもしも、邦画界で描こうと試みるなら、障害者と暮らす問題をお涙映画にして、こう言う視点から問題視する事は実に少ないと思う。
人間は決して一人だけでは生存する事は出来ない。
しかし、私達人間は自己の人生を歩む過程で、常に多くの問題を抱えて生きている為に、不本意ながらも、常に他者に対して寛容さや、理解有る姿勢でばかりで関係を築く事は困難だ。
他者に多く出会えば、そこには必ず相手を良く知らないと相手との間に誤解や溝を生む事態も有る。
人間同士の間に出来た溝を埋める為には、お互いをより深く理解する事で、誤解を解く努力が必要不可欠だ。家族なら自然と理解し合えると言う事もない。
まして学校で本当の親友に出会うのは更に難しい努力と忍耐を必要とする。しかしどんな時にもこのオギー少年は諦める事なく、前向きに生きて行こうとチャレンジを続けている。
私達の身の回りでも常に、イジメや心の行き違いは日常茶飯事である。人間としてこの世で生を受けている限り誰もが大小違いこそ有れ、困難の中に日々生き、それでも前を向いて人生を生きる事が大切になる。そんな日々の生活の素晴らしさをオギー少年の生きる姿勢を通して教えてくれた本作は人間に優しい映画だった!オギー少年のように生きるなら、この世はもっと素晴らしい