「後悔と失敗だらけの青春だから」レディ・バード foxheadsさんの映画レビュー(感想・評価)
後悔と失敗だらけの青春だから
グレタ・ガーウィグと言えば、「マギーズ・プラン」「トッド・ソロンズの子犬物語」「ジャッキー」「20センチュリー・ウーマン」などなどなど、目下売れっ子真っ最中な女優さん...ではあるけれど、「フランシス・ハ」で、イタくて失敗の連続を繰り返しながらも真っ直ぐ(かなりズレてはいるけど...)に生きる女性を演じて共同で脚本も書いていた頃が良かったなあ...と本人も思っていたのかは知らないが、自身が裏方に徹した初監督作品である今作は、「フランシス・ハ」に匹敵する魅力に満ちていた!高校最後の日々を描いた青春映画ではあるが、ロマンチックばかりでも、トンチキ騒ぎばかりでも、増してや友情と涙ばかりでもないが、そのすべてを等身大に、受け止める”ダメなアタシ”に好感が持てる。背伸びして失敗、恋がしたい!で失敗、親に逆らって...失敗。そんな、青春なんて良い事とか悪い事ばっかじゃない、しかもはっきり言ってパッとしない。そんなフツーの高校生の日々が何とも愛おしく思えてしまう。「ラブリーボーン」のスージーと言えば分かりやすいシアーシャ・ローナンが演じる主人公”レディバード”に、男女関係なく共感を覚えてしまうから不思議。シアーシャはもちろん、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメという目下売出し中の男の子を、しれっとさらっと自然体に使ってしまうのも良いなあ。ガーウィグ監督がマンブルコア出身だって事をネガティヴに捉える向きもあったようだが、この自然体で等身大の青春の日常は、マンブルコアの精神そのもの。ガーウィグの出身地のシンシナティを舞台に選んでいるのも、何かイイなあ。大傑作!