劇場公開日 2018年6月1日

  • 予告編を見る

「痛いほどに」レディ・バード KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0痛いほどに

2018年6月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

あっちこっちに激しく動く、レディ・バードことクリスティンの感情に振り回される92分。

大きな起承転結のストーリーというよりも、小さな出来事が重なって重なって、主人公も友達も家族も少しずつ成長していく様がコミカルに切り取られていた。
個性的な魅力に溢れたキャラクター達とポップな展開に楽しく観ることができた。

自我の強い母と娘の、まくし立てるようなやり取りとすれ違いには自分の身にも覚えがありすぎて胸がつかえたようになる。
自分のことを愛し真剣に思ってくれているからこその小言とわかっていても、素直に受け取れない。
ただ認めて欲しい、肯定して欲しい、わかりやすく愛して欲しいだけなのに。
わかる、痛いほどわかるよその気持ち…

映画だと不思議と客観視できるもので、母親の気持ちもグッと伝わってきた。
個性ある娘をもっと可愛がりたいし褒めてあげたいけれど、心配は尽きないし現実的な経済問題も山積みで、どうしても口を出さずにはいられない。
注意して注意していたのに、信頼を裏切られた時の悲しみと言ったら。
くしゃくしゃの手紙から伝わる彼女の心にはどうしたって胸が締め付けられる。

キュンとする恋愛模様とクスッと笑える友情模様も楽しい。
「君の名前で僕を呼んで」ではあんなに瑞々しく綺麗で可愛かったティモシー・シャラメが、今作ではアンニュイな雰囲気漂う若干身勝手な色男になっててびっくりした。
改めて、俳優ってすごいよなとつくづく思う今日この頃。

フィルムの質感が好きで、全体的にカラフルな構成で楽しかった。
まあわりとどこでもありそうな話で、女子高生がワーワーやってるだけと言ってしまえばその通りなんだけど。
余韻はあまりないけどサクッとスッキリ観られて、家族や友人への愛が深まる映画だった。

KinA