ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書のレビュー・感想・評価
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質が収益を高める
映画「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」
(スティーブン・スピルバーグ監督)から。
題材は「ベトナム戦争」だけど、テーマは「報道の自由」だ。
そして、報道の使命とは何か?を強く考えさせられた。
「権力を見張らなくてはならない、
我々がその任を負わなければ誰がやる?
報道の自由を守るのは報道しかない」と言い切るシーン。
また「趣意書にはこうもある」と前置きして
「新聞の使命はすなわち『優れた取材と記事』と。
「それに」とさらに付け加えるように
「新聞は国民の繁栄と報道の自由のために尽くすべきである」と。
ではどうするか?と考えた時、冒頭シーンにヒントがあった。
「10万の兵力を追加して改善せず、それは悪化と同じだ。
うちの読者はエリート層で教養があり要求も高い。
だから腕のいい記者に投資する。質が収益を高める」
そう、読者の要求に応えられるような記事を書ける記者こそ、
大切にしなければならない、と言っている。
最後に、裁判所の判事が、ダメ押しのように意見を述べた。
「建国の父たちは報道の自由に保護を与えた。
民主主義における基本的役割を果たすためだ。
報道が伝えるべきは、国民だ、統治者ではない」
質の良い記者の記事は誰もが読みたがるから、新聞が売れる。
そういうことなんだろうなぁ。
70年代臭が半端ない
言論の自由の映画であり、また、主人公のキャサリンを通してフェミニズムの映画でもあると思った。しかし話そのものには全く興味が湧かなかった。反戦運動が高まっていたこの時代に政府の欺瞞が暴かれたのだから、この時代を生きた人、監督のスピルバーグくらいの世代の人にとっては今でも忘れられない出来事だと思うが、個人的には全く引き込まれなかった。それより衣装や調度品などの70年代の時代感が半端なく、相当金をかけたのだろうと思った。当時の新聞を印刷する機械も圧倒的だった。また、秘密文書を全部コピーするのに1ヶ月かかったとか、そのコピーが部屋中につみあげられている様が、今やUSB1本で済む時代になったんだなと感慨深かった。
集中を欠いた鑑賞でした
スピルバーグ版 世界仰天ニュース再現VTR
ベトナム戦争敗北の可能性が高いこと示した報告書について、自分達の使命として新聞社が公表に至るまでを描く物語。
ドキュメンタリー的な作品でマスコミが戦ったという事実を後世に残す目的で作られたのだと思う。どのような過程で新聞社に報告書が届き、それを公表したか、そしてどのような抵抗を受けたかということを時系列に沿ってドキュメンタリータッチで描かれている。
ただスピルバーグ、ちょっと力が落ちてきてしまったかな、という印象。レディプレイヤー1と同様、どうも人物描写が荒い、というか雑なのである。
メリル・ストリープ演じる女社長が政府側と繋がりもありながら、なぜ自分の使命に気づけるようになったか、報告書を新聞に載せるという勇気ある行動に出れたのかという気持ちの変化の過程がよく分からなかった。ここで乗れなかったので幹部を目の前に報告書の公表に踏み切る場面のカタルシスが弱かった。
彼女は新聞社を人間に置き換えた存在で彼女の葛藤がそのまま新聞社の葛藤と重なる。ところが彼女の変化がよく分からなかった為、報告書公表までの葛藤や政府との戦いが、ただ事実を並べただけになっていて感動しずらかった。
スピルバーグといえばシンドラーのリストのように事実を映画に撮らせても超一級品の作品にしてしまう天才だった。
だが前作レディプレイヤー1からなんとなく人物描写が雑になっている気がする。
スピルバーグ演出の世界仰天ニュースの再現VTRという印象
馬鹿な感想だけど、新聞社は熱い。
難しかった。
難しいと分かってたのでウィキペディアを読んでから
観た。
簡単に言うと、ベトナム戦争は成果も出てるし、
国の為に兵士は戦ってます。と政府は言ってたのに、
何の成果かも得られず、それを知っていて大統領は
自分が責任を負う事だけを恐れて
長引かせてるという事実。
そのためだけにいくつもの若い命が失われていた
と言う事。
難しかったのは、自分が戦場に行って命を落とした息子の父親だったとして、それを記事で知る事がどれだけ凄い事なのか、と言う気分になかなかなれなかった事。
それは画面上で行われてる事や台詞が難し過ぎて食らいつくのに必死だったから。
ただ、新聞屋の人たちが自分の立場を顧みずに、
報道の自由と新聞屋の信念で突き進んで行く様は
とても熱かった。
しかし難しかったなぁ。理解出来てない部分が大半
だけど、理解しようと見入ってるうちに終わってしまった。
マスコミが正義?
映画館に足を運ぶつもりだったが、結局タイミングが合わずにBD鑑賞。
でも、これで十分と思わせられる内容だった。
巨悪に立ち向かう正義のジャーナリスト、
私はそんな構図を素直に受け入れられる人間ではない。
この映画に描かれているのは、あまりに単純な上記のような構図だ。
ポスト内での対立は描かれているが浅いし、
政権側に至ってはアメリカ大統領のプライドで片付けられてしまっている。
とにかく深みがなく、報道の自由を持ち出されるたびに引っかかった。
今のトランプを見て明らかなように、アメリカ自体正義ではない。
私には、マスコミvs政権も狐と狸の化かし合いにしか思えない。
胡散臭いジャーナリズムは置いといて、
女性経営者の成長にフォーカスしていたらもう少し楽しめたかも。
スピルバーグのもう一つの遺言
報道の自由を問う熱き傑作
決断
報道する使命と義務、知る権利
スティーヴン・スピルバーグ×メリル・ストリープ×トム・ハンクス!
オスカーに愛されし顔合わせとオスカー好みの題材で、漏れなくオスカーにノミネート。
しかし、たった2部門(作品・主演女優)ノミネートだけで今回全く本命では無かったが、紛れもなく社会派映画の一級品。
ベトナム戦争の真実が記されたペンタゴンの最高機密文書を入手したワシントン・ポスト。
公表するか否か、決断迫られる…。
本作公開時に「アンビリバボー」でも特集。同題材と、社主キャサリンについて。
それを見ていて良かったと思う。見ていなかったら、序盤は退屈であったろう。
元々専業主婦だったキャサリン。
父の会社を夫が継いだが、自殺し、自分が継ぐ事に。
経営者として悪戦苦闘。
男社会に飛び込んだ故の偏見。
何より、亡き父と夫から受け継いだ会社を守る…。
劇中ではさらりと触れられる程度だったので、それらを知った上で見ると、よりキャサリンの苦悩や決断に重みが増した。
ライバル紙のNYタイムズが一部暴露した機密文書を、こちらもコピーで全て入手。
だが、これは“爆弾級”。
公表すれば、間違いなく世紀の大スクープ。
が、政府からは睨まれ、最悪の場合は社自体が潰される…。
圧力には屈せず、記者人生を懸けてまで掲載を訴える編集主幹のベン。
政府の圧力を恐れ、掲載には大反対の経営陣。
その板挟みのキャサリン…。
機密文書を入手してからは、さすがのスピルバーグ。小難しそうな社会派映画であっても、スリリングさやエンタメ性で一気に見せ切ってしまう。
スピルバーグらしい正攻法の演出や正義の訴えも一貫している。
苦悩滲み出るメリルの巧演と記者魂のトムの熱演。この両名優の共演と演技バトルがまさか見れるとは!
編集部内のセット、スピーディーなカメラワークと編集、ドラマチックなジョン・ウィリアムズの音楽…スピルバーグ組の充実の仕事ぶり。
『レディ・プレイヤー1』の製作を一時中止し、僅か9ヶ月で完成させたとはとても思えない!
実話モノ。映画になるくらいだから、オチは決まり切っている。
キャサリンは掲載を決断する…!
大スクープは、時として、自らや他者や社会までを変えてしまう。
それは、良くも悪くも。
案じて、伏せる事も時に仕方ないだろう。
が、国が故意に不正を隠し、国民に嘘をついている。
それを伏せる事など出来やしない。
圧力を掛けるのならば、掛けるがいい。
誰かが厚い壁をぶち破れば、後に続く者、同調する者が現れる。
社会に疑問を呈し、訴える事が出来なければ、民主主義とは言えない。それが出来てこそ、民主主義だ。
報道の自由とか、そんなジャーナリズム精神じゃない。
記者には報道する使命と義務があり、我々には知る権利がある。
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