ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書のレビュー・感想・評価
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鼻もちならないアメリカの自画自賛
自分の政治的信条抜きでは批評できないところで、この作品は立派なプロパガンダ映画だと思いますし、あまり国際政治に詳しくない層に一方的な見解を押しつけてしまうという意味で、この映画は「洗脳している」と言うことができると思います。当時の冷戦下での共産圏封じ込め政策や、ドミノ理論を知らない人間に、ベトナム戦争の正確な評価はできないのです(※ジョンソン、ケネディ、ニクソンと、「負の戦争」を継続していったことは、歴代の大統領が無慈悲な戦闘行為をやめられなかったというよりは、国防総省がある程度独立した軍事戦略をもっており、大統領の権威が限定的であることの表れです。国防戦略は、たかだか8年の大統領政権より、長い見積もりで見通しが立てられます。ベトナム戦争当時は、共産圏の封じ込めは必要条件であり、いっぽう、トランプ政権になっても、米国の対中対露の基本的戦略はオバマ時代と変わらなかったのです。突然、米軍が全面的にアジアから撤退したり、親ロに舵を切ることはありませんでした。このことは、トランプが悪玉であるとか、「権力は悪で、メディアがそれを監視する」といった素朴な見解からは、決して見えてきません。)
しかしながら、この作品の日本での評価は、日本的な政治風土上では、明らかに偏向した印象操作につながるでしょう。このような日本風の解釈は、米国におけるベトナム戦争への反省とは別次元のものです。そのような理由で、この映画は娯楽作品としては完全に失敗しており、最低点数をつけたいと思います。
私は、どちらかというと、「反米的」な保守であり、何もベトナム戦争を賛美しようなどとは思いませんが、この作品は時代遅れの反戦サヨクを勢いづける要素に溢れています。とくに、煽り文句にあるように、いまこの時代の日本で公開されることに、ことさら意味があるのならば、私はそれに嫌悪を感じますね。それは、芸術の政治的な利用に他なりません。
まあ、少しは映画の話をすると、『フォレストガンプ』では、どちらかというと保守的なポジションを演じ、ニクソンに面会しウオーターゲート事件の通報役を演じてたトム・ハンクスが、ここにきてクソリベラルの役を自ら演じているところに時代の流れを感じました。
脚本がうまい
脚本がうまいんだよね。メリル・ストリープをいかにも普通のおばちゃんって感じで描写してって「こりゃ決断するとき迷うわ」って感じにしてんの。だから文書を載せるかどうかのときに「どうするの、どうするの?」って観ちゃうんだよね。
でも途中で気付いたんだけど、このワシントン・ポストの社主って、お父さんも旦那さんもジャーナリストなんだよね。骨の髄までジャーナリスト魂みたいなのは染み込んでると思うんだよ。だから文書入手した瞬間に「絶対に公表する」って決めてた気がするな。
「私は断固公表する」って話だと盛り上がりに欠けるから、葛藤状況作って描いたんじゃないかな。
ワシントン・ポストが文書公表する動機というか、文書入手の動機って「ニューヨーク・タイムズにやられた!」って話で、別に国をどうこうしようと思ったわけじゃないんだよね。だから「国のことを思って」ってのは弱くなってんの。
「こいつは国のことを思ってやったな」ってのは文書持ち出した人だね。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストより偉い。次は最初に公開したニューヨーク・タイムズだよね。
そんな事情がありながら、映画化するときに一番印象的になるところを抜いてきたんだろうな。スピルバーグうまいと思ったよ。
メリルストリープとトムハンクスの演技の幅に感動する
成長物語
少年ジャンプとはまた別の。
そしてこれは脚色の薄いドキュメンタリーのようなもの。
製作されたステイツではそれなりの有名人故か、脚本としては若干端折られた感もあるけれど…キャサリン・グラハムは、筋金入りのお嬢さん人生から「社会への第一歩」を踏み出さざるを得なかった女性。
ヨーロッパのそれとはかなり異なるにせよ、所謂「上流社会丸出し」の、ある意味ではとても無垢なご婦人が致し方なく不似合い極まりない「社主」なんてものに収まってみるものの、なかなか一人称でビジネスの世界に入り込めずに「形ばかりのオーナー」という居心地の悪さを重ねる日々。
その覚悟のなさがIPOという重大案件への決意の緩さや戸惑い。しかし実はIPO自体は試金石ではなく布石だった。
まるで用意されたドラマのように、その縛りが伏線となり「社運を賭ける決断」を迫られる。
実際にthe Postが世間から一流紙と一目置かれるに至るのはラストにあるウォーターゲート報道を待たなくてはならないのだけれど、その助走はここから始まっている。
その助走をゆるゆると始め、しかし確実に一人称で走り始める姿、まさに成長物語。
「私は寝るわ」がターニングポイントか。
有名人故に「前提」が端折られた感のある脚本を補って余りあるメリル・ストリープの名演。
ややもすれば「ブン屋魂」が暴走するように描かれがちなベン・ブラッドリーの個性は活かした上で、実に味わい深い人物としたトム・ハンクスも流石。
「ノーラ・エフロンに捧ぐ」とあったのはカール・バーンスタインに係わることなのか?
個人的には、この映画が扱っている出来事そのものは(キャサリン・グラハムの自伝も読んでおり)有名な話だと認識していて新鮮味は薄かったのだが、実に素晴らしき成長譚だったと思う。
そしてこういった題材にすら適度にエンターティンメント性を与えてしまうのもスピルバーグの本懐だろうか。
詳細なレビューは他の方を見てもらうとして
事実かどうかは別として、
・ジャーナリストは自由のためになにをしてもよい
・国のためを思えばリークはしてもよい
・後世の評価を得るために、公文書は作っておく
・現実にやってる戦争は冷静に見られない
・紙を売るためならなにをしてもよい
というリベラル的アメリカ人の発想はよく理解できるはず。
日本の風土とはちょっと違うよね。ウォーターゲートとかここ直近でこのあたりの時期の映画は色々あるから見るといいかも
よくあるニクソン共和党たたきではなく、jfkも同列にたたいてる感じ。
あと結局政治とジャーナリストが仲良くしながら殴り合ってていい感じだよアメリカは!って感じですかね?
社会派エンタメ
輪転機のスイッチを入れた時、賽は投げられた‼️
その後の展開に驚嘆する
意外な事に初共演だというメリル・ストリープとトム・ハンクスを主演に迎えたスティーブン・スピルバーグ監督作。1970年代、ベトナム戦争に関する極秘文書の存在をスクープする作品...だと思っていたら、報道の自由を主張して情報の獲得に奔走して白日の元にしようという新聞社側の信念に満ちた行動と、それをもみ消そうとする政府の圧力との闘いを描いた作品だった。脚本、演出、全てが素晴らしいが、やはり俳優の演技が素晴らしかった。といっても主演の二人だけではなく、脇を固める新聞社のスタッフや弁護士、関わった政治家や政府の職員など、全ての人々の演技が素晴らしく、重厚な社会派ドラマとなっていました。主題が終わってのラスト、そこまで描くか!と驚いた程の緻密さとサービス精神(?)は、さすがスピルバーグ。圧巻でした。
いま観るべき
報道する者としての信念がぶつかり合う群像劇
「ペンタゴン・ペーパーズ」とはベトナム戦争にまつわる重要な機密文書のこと(これだけで邦題が総括できた)。そこには続ける必要のないベトナム戦争の真実と、歴代の大統領たちが国民に対してついてきた嘘が明らかになる内容が書かれており、それを暴くということは国を敵に回るということ。地元紙だの家族経営だのと揶揄されていたワシントン・ポストが大手タイムズと時に競合し時に手を組みながら、機密文書を暴き記事にしていく様をドラマティックに描いている。
というと、カトリック司祭による性的虐待を暴く新聞記者たちを描いた映画「スポットライト 世紀のスクープ」を思い浮かべるところだが、「スポットライト」が司祭の悪事をペンを用いて暴く様子をサスペンスフルに描いたのに対して、こちらの「ペンタゴン・ペーパーズ」はむしろ、一つの文書を取り囲み、新聞社・編集者・新聞記者・・・としての信念やプライドをじっくり見つめた群像劇のように見受けられた。それぞれが置かれた立場、そこで取るべき行動、その時に湧き起こる感情、しかし突き動かされる信念、報道の自由という概念などなどといったものが、主要キャストであるトム・ハンクスやメリル・ストループだけでなく、脇役のキャラクターたちからもエモーショナルに沸き立っており、人間ドラマとしての見ごたえを非常に感じた。
そういう意味で、法廷シーンがすっぽりと抜け落ちたのは意図的だったのだろうか?確かに、訴訟大国とまで揶揄されるアメリカだけに実録ものには法廷劇がつきもので、そういった映画はもはや飽和状態でそろそろいい加減見飽きたような感覚もあったのも事実だし、法廷劇に代わってしまうとドラマとしてのコンセプトがずれるような気がしないでもない。なのでこれはこれで良かったのかな?という風に思える一方で、何か重要なプロセスが省かれたような印象も残った。
もう「映画の天才」としか思えないスピルバーグはいくつになっても演出力に冴えがあって素晴らしい。ファンタジーもドラマもアクションもサスペンスもなんでも見事に捌いて魅せてくれる。その点では安心感と安定感は抜群だった。
思っていた以上に演出が地味。
人の使命感と情熱と正義
映画のエンタメ力
最近見た実話風映画(スリービルホード、パリ行き、デトロイト、グレーテストショーマン)の中では、素直に誰にでも「面白かった」と言える作品でした。
映画を見るタイミングもあると思います。完全主観入った感想です。上手く行ってない日常生活の中で、現実逃避のように訪れた映画館…
「登場人物、皆クズじゃね?」
「普通の人の普通の話見せられても…」
「真相判明してない事件の仮定の話でずっとハラハラさせられても…しんどい…」
と感じてしまう事もありました。自分の心が荒んでるからだと思います。
でも今回は最初から最後まで
「…良い!」
ってなったんです。メインも脇もキャラが魅力的、チームワーク物としても上がるし、印刷機が回る映像も凄い好き。実話で結果もその後(ウォーターゲード事件)も知ってるのに、ラスト「そっか!あれもワシントンポストだったっけ…!」ってなりました。
予備知識ほぼ無しで見に行ったので知らなかったのですが、スピルバーグ&ジョンウィリアムズだったんですね。もう良いお年だろうに、安心安定のエンタメ力…キャラにしても、魅力的な人物を確かな演技力のプロが演じる…そりゃ面白く感じますよね…
今の心が疲れてる自分には、「見て良かった!」な一本でした。
字幕を読むと芝居がみれない・・・
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