ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書のレビュー・感想・評価
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脚本がうまい
脚本がうまいんだよね。メリル・ストリープをいかにも普通のおばちゃんって感じで描写してって「こりゃ決断するとき迷うわ」って感じにしてんの。だから文書を載せるかどうかのときに「どうするの、どうするの?」って観ちゃうんだよね。
でも途中で気付いたんだけど、このワシントン・ポストの社主って、お父さんも旦那さんもジャーナリストなんだよね。骨の髄までジャーナリスト魂みたいなのは染み込んでると思うんだよ。だから文書入手した瞬間に「絶対に公表する」って決めてた気がするな。
「私は断固公表する」って話だと盛り上がりに欠けるから、葛藤状況作って描いたんじゃないかな。
ワシントン・ポストが文書公表する動機というか、文書入手の動機って「ニューヨーク・タイムズにやられた!」って話で、別に国をどうこうしようと思ったわけじゃないんだよね。だから「国のことを思って」ってのは弱くなってんの。
「こいつは国のことを思ってやったな」ってのは文書持ち出した人だね。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストより偉い。次は最初に公開したニューヨーク・タイムズだよね。
そんな事情がありながら、映画化するときに一番印象的になるところを抜いてきたんだろうな。スピルバーグうまいと思ったよ。
メリルストリープとトムハンクスの演技の幅に感動する
自分がやっていることは決して間違っていないのに、その正義を果たすが為に失うものの多さ。
難しいことばかりで字幕を追うのにかなり疲れる話ですが、
オラオラ系ジャーナリスト(海賊)トムハンクスと、普通のお嬢様が社主にならざるを得なくなって大きな決断を迫られる小鳩のようなメリルストリープを観るだけでも、大きな価値がある映画です。
大統領がく*そのニクソンのアメリカには、ジャーナリズムと司法が機能してることが羨ましく思えた
成長物語
少年ジャンプとはまた別の。
そしてこれは脚色の薄いドキュメンタリーのようなもの。
製作されたステイツではそれなりの有名人故か、脚本としては若干端折られた感もあるけれど…キャサリン・グラハムは、筋金入りのお嬢さん人生から「社会への第一歩」を踏み出さざるを得なかった女性。
ヨーロッパのそれとはかなり異なるにせよ、所謂「上流社会丸出し」の、ある意味ではとても無垢なご婦人が致し方なく不似合い極まりない「社主」なんてものに収まってみるものの、なかなか一人称でビジネスの世界に入り込めずに「形ばかりのオーナー」という居心地の悪さを重ねる日々。
その覚悟のなさがIPOという重大案件への決意の緩さや戸惑い。しかし実はIPO自体は試金石ではなく布石だった。
まるで用意されたドラマのように、その縛りが伏線となり「社運を賭ける決断」を迫られる。
実際にthe Postが世間から一流紙と一目置かれるに至るのはラストにあるウォーターゲート報道を待たなくてはならないのだけれど、その助走はここから始まっている。
その助走をゆるゆると始め、しかし確実に一人称で走り始める姿、まさに成長物語。
「私は寝るわ」がターニングポイントか。
有名人故に「前提」が端折られた感のある脚本を補って余りあるメリル・ストリープの名演。
ややもすれば「ブン屋魂」が暴走するように描かれがちなベン・ブラッドリーの個性は活かした上で、実に味わい深い人物としたトム・ハンクスも流石。
「ノーラ・エフロンに捧ぐ」とあったのはカール・バーンスタインに係わることなのか?
個人的には、この映画が扱っている出来事そのものは(キャサリン・グラハムの自伝も読んでおり)有名な話だと認識していて新鮮味は薄かったのだが、実に素晴らしき成長譚だったと思う。
そしてこういった題材にすら適度にエンターティンメント性を与えてしまうのもスピルバーグの本懐だろうか。
詳細なレビューは他の方を見てもらうとして
事実かどうかは別として、
・ジャーナリストは自由のためになにをしてもよい
・国のためを思えばリークはしてもよい
・後世の評価を得るために、公文書は作っておく
・現実にやってる戦争は冷静に見られない
・紙を売るためならなにをしてもよい
というリベラル的アメリカ人の発想はよく理解できるはず。
日本の風土とはちょっと違うよね。ウォーターゲートとかここ直近でこのあたりの時期の映画は色々あるから見るといいかも
よくあるニクソン共和党たたきではなく、jfkも同列にたたいてる感じ。
あと結局政治とジャーナリストが仲良くしながら殴り合ってていい感じだよアメリカは!って感じですかね?
社会派エンタメ
すごいすごいすごい!めっちゃ感動した!それぞれの信念を持って闘う人々の姿に泣いてしまった。ハンカチ用意してなくて焦りました。硬そうな題材だけどかなりエンタメで中だるみもまったくなく飽きない。抑え目なメリル・ストリープの演技もよかった。
輪転機のスイッチを入れた時、賽は投げられた‼️
フランスのシャルリー・エブドのテロ事件のような直接的な暴力にこそ晒されていないが、現政権との司法上の戦い、大人の判断や忖度を優先する身内からの説得、各々の正義や良心のあり方などがスリリングに絡みあい、ハラハラドキドキさせられました。それら全ての過程が活字となって形作られていく演出は、見事‼️の一言。
『輪転機を回す』だけで『ルビコン川を超える』程の決意と覚悟を悟らせ、痺れるような緊迫感を観客にもたらすなんて、さすがスピルバーグ監督だと思いました。
その後の展開に驚嘆する
意外な事に初共演だというメリル・ストリープとトム・ハンクスを主演に迎えたスティーブン・スピルバーグ監督作。1970年代、ベトナム戦争に関する極秘文書の存在をスクープする作品...だと思っていたら、報道の自由を主張して情報の獲得に奔走して白日の元にしようという新聞社側の信念に満ちた行動と、それをもみ消そうとする政府の圧力との闘いを描いた作品だった。脚本、演出、全てが素晴らしいが、やはり俳優の演技が素晴らしかった。といっても主演の二人だけではなく、脇を固める新聞社のスタッフや弁護士、関わった政治家や政府の職員など、全ての人々の演技が素晴らしく、重厚な社会派ドラマとなっていました。主題が終わってのラスト、そこまで描くか!と驚いた程の緻密さとサービス精神(?)は、さすがスピルバーグ。圧巻でした。
いま観るべき
フェイクニュースが世界に溢れ、ある国では自分に都合の悪いニュースはフェイクニュースと決めつける権力者が日々暴言を囁き、またある国では国民の知る権利など気にもせず公文書を改ざんしたり廃棄したと言い張ったりし、さらに別の国では情報へのアクセスが制限されるとともに権力者の任期の取り決めはなきものにされる、そんな現状の今こそ、みんなが観るべき映画です。こういう映画をこの時期に作らなければならないと思う人間がいる限りアメリカは捨てたもんではないと思う。
報道する者としての信念がぶつかり合う群像劇
「ペンタゴン・ペーパーズ」とはベトナム戦争にまつわる重要な機密文書のこと(これだけで邦題が総括できた)。そこには続ける必要のないベトナム戦争の真実と、歴代の大統領たちが国民に対してついてきた嘘が明らかになる内容が書かれており、それを暴くということは国を敵に回るということ。地元紙だの家族経営だのと揶揄されていたワシントン・ポストが大手タイムズと時に競合し時に手を組みながら、機密文書を暴き記事にしていく様をドラマティックに描いている。
というと、カトリック司祭による性的虐待を暴く新聞記者たちを描いた映画「スポットライト 世紀のスクープ」を思い浮かべるところだが、「スポットライト」が司祭の悪事をペンを用いて暴く様子をサスペンスフルに描いたのに対して、こちらの「ペンタゴン・ペーパーズ」はむしろ、一つの文書を取り囲み、新聞社・編集者・新聞記者・・・としての信念やプライドをじっくり見つめた群像劇のように見受けられた。それぞれが置かれた立場、そこで取るべき行動、その時に湧き起こる感情、しかし突き動かされる信念、報道の自由という概念などなどといったものが、主要キャストであるトム・ハンクスやメリル・ストループだけでなく、脇役のキャラクターたちからもエモーショナルに沸き立っており、人間ドラマとしての見ごたえを非常に感じた。
そういう意味で、法廷シーンがすっぽりと抜け落ちたのは意図的だったのだろうか?確かに、訴訟大国とまで揶揄されるアメリカだけに実録ものには法廷劇がつきもので、そういった映画はもはや飽和状態でそろそろいい加減見飽きたような感覚もあったのも事実だし、法廷劇に代わってしまうとドラマとしてのコンセプトがずれるような気がしないでもない。なのでこれはこれで良かったのかな?という風に思える一方で、何か重要なプロセスが省かれたような印象も残った。
もう「映画の天才」としか思えないスピルバーグはいくつになっても演出力に冴えがあって素晴らしい。ファンタジーもドラマもアクションもサスペンスもなんでも見事に捌いて魅せてくれる。その点では安心感と安定感は抜群だった。
思っていた以上に演出が地味。
実話ですが、思っていた以上に演出が地味。
「新聞は政府を守る為ではなく、国民に寄り添う物で無くてはならない…」的な判事の言葉が象徴的。
1976年のロバート・レッドフォードとダスティ・ホフマンの『大統領の陰謀』を意識して作られているので、ラストのウォーターゲート事件は、『大統領の陰謀』のオープニングにピッタリとリンクしていて、合わせて観る事をオススメします。
人の使命感と情熱と正義
メリル・ストリープ、トム・ハンクス、スティーヴン・スピルバーグときたら、もう最強コンビの最強映画というしかない本作品。
政府によって都合の悪い隠された真実と真っ向から対立したジャーナリスト達の闘いを描いた作品なんですが、1971年頃のアメリカの事情と新聞界のお話なので、本当に楽しみたいなら、勉強してから見た方がいいかな、ある意味、お話や因果関係などを追って行くのに大変でした。
ま、大変に面白い映画でしたが・・・・
本作品、別の見方をすれば、それぞれの人間が関わる仕事に関しての使命感など、私的には、、もう一度しっかり自分自身の関わる仕事への情熱や使命感などを再確認させて頂きました。
映画のエンタメ力
最近見た実話風映画(スリービルホード、パリ行き、デトロイト、グレーテストショーマン)の中では、素直に誰にでも「面白かった」と言える作品でした。
映画を見るタイミングもあると思います。完全主観入った感想です。上手く行ってない日常生活の中で、現実逃避のように訪れた映画館…
「登場人物、皆クズじゃね?」
「普通の人の普通の話見せられても…」
「真相判明してない事件の仮定の話でずっとハラハラさせられても…しんどい…」
と感じてしまう事もありました。自分の心が荒んでるからだと思います。
でも今回は最初から最後まで
「…良い!」
ってなったんです。メインも脇もキャラが魅力的、チームワーク物としても上がるし、印刷機が回る映像も凄い好き。実話で結果もその後(ウォーターゲード事件)も知ってるのに、ラスト「そっか!あれもワシントンポストだったっけ…!」ってなりました。
予備知識ほぼ無しで見に行ったので知らなかったのですが、スピルバーグ&ジョンウィリアムズだったんですね。もう良いお年だろうに、安心安定のエンタメ力…キャラにしても、魅力的な人物を確かな演技力のプロが演じる…そりゃ面白く感じますよね…
今の心が疲れてる自分には、「見て良かった!」な一本でした。
字幕を読むと芝居がみれない・・・
出た出た出たーメリル・ストリープの芝居力。字幕を読むか⁈芝居を見るか⁈
お嬢様育ちの天然感やそれゆえの腹の座り方などを視線やセリフの間など様々な手段で魅せてくれる。
椅子を倒すようなわかりやすいボケもやっておいて、その一挙手一投足で権利義務自由責任を背負う。
限られた俳優さんしかできない。
助かったなースピルバーグ。
見たんかなートランプ。
現在のワシントンポストVSトランプの状況も考えると笑える。
調査報道と司法の健全性・独立性
日本でも、財務省のデータ偽装や防衛省の日報隠蔽がある昨今、
ベトナム戦争に関わる当該作品は、大変考えさせられる作品でした。
どこでも、権力者は情報を統制し隠蔽したがるものですが、
やはり、米国は健全な国です。
「報道の自由」というよりは、「正義感のある報道」に
心打たれました。
日本のメディアは、新聞特に朝日新聞は異なりますが、
TVは、うわべだけの報道が多く、
当該作品は、「調査報道」の必要性も訴えています。
また、「三権分立」と小学校で習うのに、
日本では、「原発に反対した裁判官が左遷させられる」など
内閣の暴走が強いのですが、
さすが米国!司法が健全に独立して機能している
と痛感しました。
ここ最近は、素晴らしい作品が続いています。
もちろん、当該作品も、満点の5点でした!
Michi
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