「【現代アメリカに対する警鐘として今作を世に出したスティーブン・スピルバーグの映画人としての気骨溢れる作品】」ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【現代アメリカに対する警鐘として今作を世に出したスティーブン・スピルバーグの映画人としての気骨溢れる作品】
泥沼化するベトナム戦争の真相、行く末を見抜いていた男の文書「アメリカ合衆国のベトナムにおける政策決定の歴史」
ニューヨーク・タイムズに記載された文書の一部、そこにはトルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン大統領たちがベトナム戦争の行く末に関して国民に嘘をつき、当時の国防長官ロバート・マクナマラはその文書を読み、この戦争に勝利なしを知っていた・・、という事実が記載されていた。
只、ニューヨーク・タイムズは当時のニクソン大統領からの厳しい圧力に屈し、ワシントン・ポストがタイムズに負けじと動き出す。
ワシントン・ポストにも及ぶ政府の圧力。それに屈しない判断を下したのは、夫が自死し、社主になっていたキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)だった・・。
経験も浅く、取締役会長のフリッツ・ビーブ(トレイシー・レッツ)の庇護の元、社主職を何とかこなしていたキャサリンがワシントン・ポストの編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)のバックアップもあり、徐々に自分の意見をきちんと発し、政府の圧力に対しジャーナリズムの矜持を発する決断をしていく・・。
このような時代だからこそ、渾身の気概を込めてスティーブン・スピルバーグが世に出した、ポリティカルムービーの秀作。
アメリカ映画文化の気骨を深く感じた作品である。
<映画は娯楽であるが、時勢により世に警鐘を鳴らすスタンスを前面に出す総合芸術であり、社会的メッセージを発するジェントリー・カントルマンとしての役割をも持つという事を再認識した作品>
<2018年3月31日 劇場にて鑑賞>