「時代錯誤」ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 たろっぺさんの映画レビュー(感想・評価)
時代錯誤
中盤からの伸びは良いが、演出全般がスロースタートである為、どこか物足りない気持ちが残る。
ありふれたハリウッド映画の構成に本作も当てはまり、鼻に付くプロパガンダや稚拙な勧善懲悪も幾つかあったが、隠蔽する文書を作成するという冒頭の哀しきドラマや、受け継がれてきたバトンの重みに揺れる心という非常に私的なツボを突かれた事で溜飲が下がった。
しかし、現代の報道機関の実態は本作と真逆と言える。
反権力どころか、マスメディアそのものが途轍もない権力を握っているという自覚も無く、国民の為と騙り、妄言を語る様に、10年は怒りと虚しさを感じ続けている。
社の意に偏りが生じる事は健全だが、右も左も短絡的な批判に終始する報道が目立ち、論調もモノトニーである為、受け手の解釈の自由を奪っている様に思えてならない。
その積み重ねが不要な対立を煽り、クレーマーを育てる一因であると思う。
いざという時の報道の確かな力を否定したくは無いが、今は互いの刀を納める鞘が欲しい。
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