劇場公開日 2018年3月30日

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「35ミリのフィルム撮影が再現する当時の空気感が鮮烈な本作を敢えて今世に問うスピルバーグの作家性が眩しいです」ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.035ミリのフィルム撮影が再現する当時の空気感が鮮烈な本作を敢えて今世に問うスピルバーグの作家性が眩しいです

2018年2月5日
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鑑賞方法:映画館

1971年ベトナム戦争が泥沼化する中、ベトナム戦争を分析・報告した政府の極秘文書”ペンタゴン・ペーパーズ”をニューヨーク・タイムズがいち早くスクープするが、米国政府は即座に反応、同紙の記事を差し止めるべく起訴する。同じ頃同文書を入手したワシントン・ポストは編集主幹ベンのもとで記事を掲載すべく準備を進めるが、発行人のキャサリンは政府を敵に回し会社の存続危機を覚悟で報道の自由を貫くべきが苦悩する。

文書を公表するかしないかという日曜劇場でドラマになりそうな地味なサスペンスですが、そこはさすがにスピルバーグ、繰り返される会議の中で登場人物達の心情を炙り出し、輪転機を回す、回さないを決断する瞬間までをハイテンションで演出。35ミリのフィルム撮影による終始しっとりとした冷たいトーンの映像で当時の空気感もしっかり再現、最後のオチも実にシャレが効いていて、スピルバーグが何故今この題材を速攻で撮影して世に問うたかがずっと胸に落ちる快作でした。

よね