タクシー運転手 約束は海を越えてのレビュー・感想・評価
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構造と解釈と、タイトルと
史実である事を横に置いて、この尺、この作品においては必要だなと感じた。
いろんな想いがとにかく揺れる構造は、どちらが正しいわけじゃないけど人はその間にいるものなのだという事を伝え、その割り切れなさが、切なさへと繋がる。
だからこそこの尺が、大きな反動で振り子を動かして、自分ならどうするかを悩ませる。
感情移入できてしまう。
そして、これは史実を元にした物語。
振り子に揺れる人間が、何を選ぶか。どう振る舞うことにしたか、を現実を通して知らされる。
いや本当に尻尾の先まであんこの入った映画、いやアンコが止まらない。
今夜、色々調べてしまうだろう。
映画の力
映画館を出ると、2018年の日本に簡単に帰る事ができた。たった今迄、1980年の韓国に居たのに…。
恥ずかしながら、私は自分が生きていた時代に最も近い国で起こった、"光州事件"を名前程度しか知らなかった。
この映画は登場人物と供に事件を体感できる。体感型映画なら何もこの作品に限ったものではないが、この映画の優れた点は主人公が巻き込まれ型である為に、感情移入が自然にできる処にある。導入部の山田洋二監督っぽい(?)"間"のユーモアも含め、全体の構成に無駄がない。
そして…ラスト近くの俯瞰ショットは見事としか言いようがない。
人とはとても愚かで、そして、いとおしい。このストレートなメッセージの、何と強烈なことか❗
この映画が今、日本で観られること自体が、"映画の力"であると思う。
恥ずかしながら初めて知りました
光州事件を全く知らずに歴史の暗黒面を観る思いでした。当時の私の年齢が運転手の女の子と同じ頃なので、80年はとても近年な気がします。
映画は笑いありの展開から後半は怒涛の展開へ。
隠したい凄惨な事実を観せる韓国映画の懐の深さと日本映画に比べて、バイオレントな描写がお得意なことも納得。
しかし、前半のソン・ガンホが毒蝮三太夫に見えて困りました。
崔先生
私が大学生だった頃
仲間内と、よくつるんで飲みに行ってた教授がいた
当時、韓国の歴史や制度を全然知らなかった私が色々と武器などの事を述べていた時、先生が
「弾丸は夜だと光の筋が見えて、どう飛んで行ったか分かる。
自分は兵役で光州にいた。
あれは戦争だった…」
とおっしゃった
先生…
あなたはあの時、あちら側にいらしたんですね
今まで、先生があんな大変な所にいたのに知らずにごめんなさい…
今年ベスト級!
ほのぼのからの怒濤の展開!
若干長過ぎ、若干ウェットに過ぎるが、それを補って余りあるソン・ガンホの力!
自国民を射撃する軍隊を涙なしには見られないが、こうやって自国の過去の過ちにちゃんと向き合えるところは、かの国は我が国よりもマシなんだなと思わせられた。
実話に基づいた映画
eiga.comさんの試写会で鑑賞した。光州事件という名前は知っていても、どの様な出来事だったか知っている日本人は少ないと思う。私も事件の名前は知っていても、内容は全く知らなかった。この映画とほぼ同時に『ラッカは静かに虐殺されている』を見た。“外にニュースが出ないようにされている、紛争・戦争地で起きている出来事を、どのように外に出したか”という点で同じような映画である。
ただ、『ラッカ』の方は“ドキュメンタリー”であるのに対し、『タクシー運転手』の方は“事実に基づいた(韓国)映画”である。味付けは韓国映画らしく、ユーモアと人情とに満ちた作りになっている。私はその点に救われたし、役者は皆達者で安心して見ていられた。
この映画がヒットしたおかげで、長らく不明だった『タクシー運転手』の息子が名乗り出ることになる。しかしそれは記者ピーターが亡くなったあとであった…。実際のタクシー運転手は英語は上手かった…というのは現実の話なので鑑賞後ぐぐってみると良い。
千万映画かな?
韓国映画はあまり観ませんが、
以前、義兄弟でソン・ガンホが非常によくて、
観に行きました。
俳優陣はさすが上手くて、魅力的でした。
その面は楽しめます。
ですが、ストーリーはいまいち。
テンポ良かった前半部分と後半部分のシリアスな部分が長くてくどくて、バランスが悪い。
俳優陣の上手さに比べて、ストーリーは盛りすぎ、
偏向気味な感じでした。
泣くかとハンカチを握りしめていましたが、
全然。
残念ですが、期待はずれ。
千万映画、ってほどどはないです。
韓国映画好きなら、違うのかも。
ダンガルでは涙が止まらなかったから、感動を使い果たしていたのかな?
映画はすごい
韓国という国は闇があるからこんなすごい映画を作れるのだ。今の日本は平和でいいのだけれど、こんな映画は作れない。何も情報を入れず、ポスターのビジュアルだけ見て鑑賞するのがオススメです。
ソン ガンホ、ユ へジン名優ですな。
すごいすごいすごい!
なぜかわからないけど、冒頭の、タクシーから猫背気味におりてくるソ・ガンホのたたずまいをみて「あ、この映画とてもいい!」と思った。
韓国の映画はあんまりみたことないけど、グエムルとか今作とか、「飯を食うシーン」がとてもいい。
追記
2回目みた。
2回目のほうがより、みんなの演技がグッとくるね。
ソ・ガンホは本当に良い。すばらしい。
振り返ってみたら...
今年ベストムービーに、
名を連ねる一本になるでしょう。
序盤、軽快に、物語が進むが
中盤、終盤と進むにつれ、
重く、深い人間ドラマとなっていく。
この見事なグラデーションに、
感服しました。
そして、
終盤涙が幾度も流れました。
お隣、韓国の映画の質。
とんでもないものになっていく...
シネマート新宿
観賞後さっそく光州事件について詳しく調べてみました…がそれはさておき作品としてはフーテンの寅さんがタクシー運転手になって歴史的暴動に巻き込まれたらこんな感じなんだろうな、と思う私はやはり不謹慎なのでしょうね。
『ハゲタカと少女』を思い浮かべた。
知らなかったことを知ることができる。
やっぱり映画って尊いな。
そう思えるような作品でした。
アフリカで、死にそうになっている少女をハゲタカが狙っている。
その瞬間の写真を撮ったということで、世間から批判されて自殺した写真家のことが頭をよぎりました。
人命救助もとても大切ですが、その現場をカメラに撮り、世界に知らせることで、多くの人の手によって、現状を変えることができる場合がある。
知らせること、広めること、そして我々が知ること。
そういうことが大事だと改めて考えさせられる映画です。
「運転手さん、絶対ソウルに持って帰れよ!!!」って、全力で思いました。
冒頭の明るい音楽から、これからとても楽しいことが起こるのではないかなと思いました。
開始数分で、俺 絶対この運転手さんのこと好きだなって思えました。
とても楽しい映画が、何の予兆もなく急展開します。
明暗の境の後の、崖から突き落とされたような気分になる後半の展開は、心が折れてしまいました。
物語の構成がとてもよく練られた映画だと思いました。
撮影も大掛かりだということが感じ取れました。
「もっとこうした方がいい」という思いが、一つもありませんでした。
史実はもう変えられないけど、では、この映画を見た私たちに何ができるか。
「まだ知らされていないことを知ろうとしよう。」
そんな導きがあるのかなというのが、この映画を見た感想です。
光州事件
1980年の出来事なので自分は17歳、ある程度、世界の出来事を知っていた筈なのに、この史実は全く知らなかった。いわゆるバディームービーであり、実際は知らないが、やや話は盛りすぎだろう。しかし光州事件の存在を知るだけでも有意義な映画だった。
10万ウォン
1980年の光州事件を取材した東京駐在ドイツ人記者と彼をソウルから光州へ連れて行ったタクシー運転手の実話を元にした話。
実際の運転手はもっと仕込まれた様な存在らしいけど…。
事実をみてきた記者の手記がベースとのことだし、戒厳軍の激しい暴行が事実ではあるものの、少々偏向的な感じを受けた。
タクシー運転手の心情や言動の殆どの部分は当然ながらフィクションな訳で、それをみせるエンタメドラマとしてみたら、面白おかしく温かくテンポも悪くないしなかなか良かった。
何で?
1980年に実際に起こった光州事件をベースに、事件が世界に外国人記者によって知らされた件をタクシードライバーの視点から描いた。
映画を見てる間中、凄惨な暴力が警察(軍隊)が一方的に市民に行なっていて、何でこんなことを、何で何でしか言葉にならなかった。
権力のある側から意識的に閉鎖された地域に行なわれていく暴力。
怖かった。
何でここまで残忍なことが出来るのか。
何でこんなに赤と決めつけて暴力を振るうことが許されるのか。
何で。
世間の人々はニュースが正だと信じる。
その事実を知らなければそうだろう。
世界に発信しなければ、何が起きっているのかを。
市民がデモをしなければ。
でも何でこんなことが光州で起こったのか分からない。
調べてみよう。
怖い。
理解不能で泣けてくる。
こんなに映画館で泣くのも久しぶりだ。
これは見るべき!
悲喜劇の描き方のバランスはさすが。
これだけの重い史実を笑いとの絶妙なバランスで展開させる脚本はさすが。民主弾圧の軍事政権の恐ろしさと市民決起の勇気ある行動をエンタテインメント性充分に描かれてるし。まあ、実際はもっといろんな事実が根底にはあると思うけれど…。それにしても、黙っていると忘れられてしまう史実をこういう作品で知らしめるのは素晴らしいなー、と思えた。
正義のために戦う偉大なるヒーローたち
実話を元に描かれた感動作
後半は、涙なくしては観られない作品だった
1980年5月 戒厳令が行使された韓国では、各地で自由化を求めるデモが起き、光州では武力による制圧によって無実の市民が殺される事態に発展
その話を聞きつけたドイツ人ジャーナリストのピーターはソウルから光州まで、タクシーで向かうことに
光州で起きていることなど何も知らないタクシー運転手のマンソプは、金欲しさにピーターのドライバーを買って出る
そこからマンソプとピーターが直面する光州の現実を観て、
現実社会における真のヒーローとは、
特殊な能力も、武器も持たず、常に周りの人たちに思いやりを持ち、真実と正義のために命をかける人たちのことを言うのだと思い知らされた
この映画に出てくる市民たちは、みんなが偉大なるヒーローだった
お金がなくてもソウルから来た彼らに食事を振る舞い
目の前で起きている惨劇から逃げ隠れもせずに立ち向かい
間違っていることを間違ってると言える人たち
初めのうちはデモが嫌いで、国のしていることが正しいと信じていたマンソプも「金のために」請け負った仕事で、思わぬ事実を知ることになる
それまで、特に道を外れることなく生きてきたマンソプが、次第に正義に目覚めていくようすは、ソン・ガンホが最も得意とする役どころであり、今回も、あまりにも自然に小市民っぷりを演じきるものだから、その頼りなさに手に汗を握らずにはいられない作品になっている
そして、マンソプは最後まで「ただのタクシー運転手」を貫き通し、そのことが、また胸を熱くするのである
凄まじいながらも、胸の熱くなるドラマ
光州事件については、未だ背景等はっきりしない点もあるものの、事件の模様を世界に報じたドイツ人記者とソウルのタクシー運転手、光州の普通の人々との様子に胸が熱くなりました。
ソン・ガンホとトーマス・クレッチマンの共演にまず驚きましたが、コメディタッチを欠かさない韓流、政府軍の非道っぷり、真実を伝えてもらおうとする光州の人々と、記者の熱意の連携、リアル映像とのシンクロも余韻に残ります
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