タクシー運転手 約束は海を越えてのレビュー・感想・評価
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社会性とエンタメ性融合
実話ベースでこんな歴史があったことは知らなかった。命懸けの取材、報道、それを助ける運転手、光州の優しい人々、素晴らしい。ストーリーとしてもソン・ガンホのお陰で最初はコミカルに、次第に悲惨な光州事件の様相を捉えていく。実際にもう一度、死ぬ前に記者とタクシー運転手、会ってほしかったな。
勇気ある人々の真実のドラマ
父子家庭で愛娘を育てるタクシー運転手マンソプ。彼は貧しい生活にピリオドを打つべく、ドイツ人記者を光州まで送るという仕事を受ける。
しかし光州では民主化運動とそれを弾圧する軍の間で激しい戦闘が行われていた…。
以前から気になっていたタクシー運転手を観賞。まさかここまで泣かされるドラマが待っていようとは…。
民主化運動の最中、状況を読み込めないまま巻き込まれていくマンソプ。
彼の目線で見るからこそ、この事件の真相を疑似体験することができる。
マンソプは現地で運動に参加する青年達に触れていく。そして体外的に「危険なテロリスト」と思われていた彼らがどこにでもいる普通の子供だったことを知るのだ。ミュージシャンになる夢を見、自由の為に運動に参加しているだけなのだ。
そんな彼らを知ってしまうからこそ、弾圧され傷つき倒れていく彼らを家族のように思ってしまう。
それまで対岸の火事と思っていた民主化運動の弾圧は、自分の半身を奪われるような痛みが伴うようになっていく。
観客と主人公の目線が一致しているからこそ、この問題の深刻さが身に染みて分かる。
これは遠い昔の話でもなければ、解決した話でもない。今でも思想の監視・弾圧はいたるところで起こっており、絵空事ではないのだ。
こんな重いテーマを扱いながら、面白さもしっかり担保されている。
笑って、泣いて、悩んで、燃えて、癒されて。
エンタメとしての魅力を2時間で無駄なく凝縮しながら、現実に根付いたテーマをセリフではなく"体験"させる事で説く。
映画の特性をフルに活かした名作、ぜひ見てほしい。
考えさせられました
やっと見ました!光州事件の頃私はお隣日本で幸せにぬくぬくとくらしてました!こんな事があったのは知ってました!でも正直関心はありませんでした!同じ韓国人でも離れたソウルの主人公は関心ないようですよね!そこからどんどん事件?に巻き込まれ最後どう変わっていったか!とてもいい映画でした!
タイトルなし
1980年の光州事件時の実話を基に
.
取材に訪れたドイツ人ジャーナリストを
光州へ送るソウルのタクシードライバー
戒厳令が敷かれた封鎖された地へ向かうが
足を踏み入れた地で出会った人々や
その出来事に心が動かされていく様子を
ソンガンホが熱演
.
光州事件のことをよく知らない
民主化を望む多くの学生や市民が犠牲になっていた事件
タクシー運転手の存在も事実
ジャーナリストの報道により
この事実が広まった
映画で他国の歴史や現状を知ることも多い
検索してみると
その国のその当時の様子がみえてくる
.
軍事政権下の重たい内容
.
台湾で今まさに起こっている問題と
似ていると思いながら鑑賞
.
人々の苦悩・優しさ・温かさが伝わってくる
多くは観てないけど
韓国映画もいいなとまた思えた
【自国の負の歴史を、感涙エンターテインメント作品として描き出す韓国映画界の力量と国家に媚びしない矜持に頭を垂れる作品。】
ー 1980年5月、韓国で起こった光州事件を正面から取り上げた傑作。ー
・今から30年以上前に隣国で起こった民主主義を踏みにじる暴挙が行われていた事。
・その事実をドイツ人記者”ユルゲン・ヒンツペーター”(トーマス・クレッチマン)と彼を乗せ、踏み入る事が禁じられていた光州地区に乗り入れた名もなきタクシー運転手(ソン・ガンホ とてもとても良い)が全世界に命懸けで伝えた姿には涙を堪える事が難しい。
・上記が全て事実である事にも驚愕する。
・又、その事実を映画化し、隣国日本にまで配給できる韓国映画界の気概やシステムにも驚く。
<日本ではこのようなテーマを扱った作品はミニシアター系でなければ鑑賞できないであろう。
映画文化の違いを感じた作品であるし、深く記憶に刻まれている傑作。>
<2018年4月29日 名古屋駅前の劇場にて、満席の状態にて鑑賞。
本当に満席だった。ビックリした。>
<2018年7月7日 地元の映画館で、セカンド上映にて再鑑賞>
すごい作品を観てしまった
アジア系映画は、あまり観ていませんでした。
そんな自分に喝!。
一言「すごい作品を観てしまった」衝撃作。
走行距離40万キロ!越えのオンボロタクシー。
妊婦を運ぼうとしても、車は動かない。
おまけにその客は、財布を忘れていたのでもらい損ね。
そんな時小耳に挟んだ、ドイツ人ジャーナリストの報酬金額。
滞納家賃と同額→仕事を横取り。
だけど運転手は英語カタコトだけって、意思疎通できんじゃん!。
と、最初はコミカルだったのに。
だんだん目的地・光州に近づくにつれて、シリアスになっていきました。
今だったらネットで拡散しそうな、人民弾圧・私服軍人の横暴。
まだ80年では、新聞・カメラ映像でしか伝えられない。
丸腰民間人に銃を向ける場面は、ちょっとキツかったけど(もう少し短くても)。
最初は逃げ腰だった運転手が、ジャーナリストを叱咤激励する場面。
「俺は運転手、人を運ぶ。あなたは記者、記録するんだ」。
意思疎通できなかったのに、周囲も含めて思うところが重なっていくところが胸熱。
涙出る一歩手前でした。
圧巻の1作でした。
何が事実であるかが重要な映画
この映画の中で、事実と一致する事はどれなのか。そこがかなり重要になってくると私は思う。
ドイツ人記者が日本から韓国に渡り、タクシーを使って光州に向かい、そこで記録した映像を持ち帰って世界に発信した。
それが事実。
ドイツ人記者を乗せたタクシー運転手がいた。それが事実。
だが、タクシー運転手の背景はどうだろう。子煩悩で娘と二人暮らしで家賃を払うのも苦労している。だから金目当てに他人の仕事を奪って客の送迎に向かう。
それか事実かどうかは分からない。
この映画は、タクシー運転手を中心に描かれているが、この映画を作った段階で彼の正体は分かっていない。ドイツ人記者の証言をもとにして作ったにしても、彼の普段の人間性や光州に戻った本当の理由はもしかしたら別のところにあるのかもしれない。真実は殆んど分からない。なのに彼を中心に描いている。
本来ならば称賛されるべきはドイツ人記者の方で、彼の真実を伝えようとする行動が無ければ何も起こらなかった。タクシー運転手はただ受け身でいただけに過ぎない。特に称賛されるような事はしていない。ただそこにいて、周りに合わせて感情のままに動いた。それだけだ。しかもその感情も製作側の想像にすぎない。極端に言うならこれは幻だ。なのにその幻をあたかも真実であるように中心に据えて描いている。戦友のような形でドイツ人記者と同等に描くならともかく、記者の扱いがあまりに軽い。
しっかりと作られている映画を偏見のような気持ちで見たくはないが、韓国人による韓国人の為の自国民称賛映画だとしか思えない。ドイツ人記者を称える描写がまったくない事と、最後にドイツ人記者本人が運転手の事を語る動画が付け加えられているのが本当に気持ち悪い。吐き気がする。
考えさせられウルッとくる映画。これぞ韓国映画
見たくてなかなか見れなかった韓国映画タクシー運転手約束は海を越えて。やっと観る事が出来た。光州事件は聞いた事がある程度。光州事件がテーマの映画。当時の韓国の状況を知る事が出来たし、やはり軍事独裁政権は例えどんな国であろうとも政治が社会に介入するのはあってはならない。改めてこの映画を見て痛感した。これぞ韓国映画と肌で感じた。ソ・ガンホ、ユ・ヘジンの演技は初めて観たがさすが。
ソ・ガンホはやはり韓国映画に欠かせない人でオーラが違う。少し長いのは物足りないが、中味は濃い。もし、日本が軍事独裁政権だったらと考えて観るとこの映画の価値が増す。DVDなど観る機会があれば勧めます。文句なし満点。
生まれていたのに知らなかった光州事件
1980年5月の話
全世界に5.18の実情を伝えたユルゲン・ヒンツペーター。
その彼をタクシーに乗せ行方を知ることのできなかったキム・サボク。
記者が死んでからでないと映画に出来なかったんだろうか
酷いシーンあり
タクシー運転手達の結束に涙
ククスは韓国のうどんのようなもの
当時のレートで約37,000円
約270㌔
今は飛行機で50分
日本は今と1980年やと物価は1.8倍ぐらいか。
素晴らしいに尽きる
報道の自由をテーマに、一般のタクシー運転手が外国人記者と共に光州事件を取材する。前半の気楽な日常から一変する後半の怒涛の展開の連続、想像を絶する暴力的場面も非常に切実に描写されており、とても感動しました。
ポスタービジュアルのイメージからかけ離れた重厚な作品
舞台は1980年。ソウルでタクシードライバーをやっているマンソプは街のあちこちで起こる民主化デモにイライラ。ノンポリのシングルファーザー。そんな頃光州市で大規模な民主化デモが起こり、軍が街を封鎖していた。日本駐在のドイツ人記者ピーターは宣教師と身分を偽って入国、光州へ向かうために高額の報酬を提示してタクシーを探すが、そこに現れたのがマンソプだった。呑気なマンソプに一刻も早く光州に入りたいピーターは苛立ちを募らせるが、すぐに二人は政府がひた隠しにしている真実を目の当たりにする。
冒頭の人情ドラマにうっかり油断しましたが、中盤から徐々に見えてくる光州の現実、道中で知り合った大学生ジェシクやドライバー仲間のファンらとの温かい交流、そしてそれらを一気に呑み込む号泣不可避のクライマックス、『グリーンブック』がいつのまにか『野性の証明』になったみたいな物凄い映画でした。それもそのはず監督はこれまたアホみたいに泣ける戦争映画『高地戦』のチャン・フン。『シュリ』の昔からずっと韓流トップスターに君臨する名優ソン・ガンホ演じるマンソプが己の使命に目覚めるまでを丁寧に描く人間ドラマを軸に、民主化を巡って無数の命が失われる大惨事を容赦なく抉る演出は凄まじく、やはり韓流映画は邦画の100年先を疾走していると確信せざるを得ない圧倒的な傑作です。
タクシー運転手の矜持
お客様を安全に正確に送り届けること。基本とも思えるこの姿勢を貫き通すことが前半で語られていたように思う。確かにソン・ガンホ演ずる運転手は長距離の客で一儲けしようという魂胆がありながらも、車に傷をつけないようにシートを被せたり、病人・妊婦にはドアサービスしながら手を貸すという模範的な部分も感じられる。お金がちょっと不足している学生にも、まぁ、個人タクシーだからできるのだが、サービス精神も持ち合わせる。
戒厳令が敷かれた光州がソウルとはかけ離れてるくらい別世界だったと気づいたマンソプ。客のドイツ人記者とも片言英語が通じないまま、通行規制をしている軍人とのやりとりも絶妙で、なんとか暴動の起きている光州に入ったのだ。徐々に民間人に対する軍人の行為の異常さに気づき、表情も変化し、夜になると命の危険も経験するのだ。
デモや抵抗を続ける民衆はソウルから来たタクシーと外国人記者を歓迎する。暖かい。ガソリンスタンドでも感じた市民の暖かさが都会であるソウルとは違っていた。お姉さんがくれたおにぎり。食堂でもオマケにくれたおにぎり。それもあってか、恐ろしい光州へと戻ってピーターを迎える決意をするマンソプ。病院で見る阿鼻叫喚の世界。ニュースでは嘘ばかり垂れ流すマスコミと現実とのギャップに自身の使命を感じたのだった。真実を伝えること、その記者を安全に運ぶこと。
ともかく死者154人負傷者3000人強も出した光州事件が教えてくれる史実に目をつぶってはならない。市民を守るべき武器を持った軍隊が、逆に市民を虐殺するなんてことはどこでもあり得ると歴史が証明している。それが隠蔽されることも繰り返されていることだ。勘違いしてる人も多いと思うが、軍は市民を守るために存在してるのではなく、国、国体を守ってるだけなのだから・・・。個々の軍人にとっても同じことで、終わってから、「上からの命令でやった」と言えば済むことなのだ。
映画の内容はわかりやすく、脚色もかなりされている。特に終盤のカーチェイスなんてのは娯楽性のため、自分をはじめ、史実を知らない人にとっても有難い作りになっていました。『光州5・18』とは違い、外から見た光州事件。残酷な描写に関しては今作の方が胸打たれるが、内側から見た『光州5・18』も民衆の気持ちになって追うことができて素晴らしい映画だった。最後にドイツ人記者の実際の映像にも感動しましたが、やっぱり本物のタクシー運転手は1984年に亡くなっていたらしい。
ソンガンホさんの存在感
前半はソンガンホさんの人情コメディ。運転してる時の音楽もなんか笑っちゃうんですよね。後半から徐々にシリアスに。丸腰のデモ隊を襲う軍が徐々にエスカレートして行くところが恐ろしい。ソウルに向かう道でのカーチェイスはポンコツタクシーなだけにハラハラです。光州で出会った人々の優しさには心揺さぶられました。悲惨な事件を題材にしているのですが、笑いと優しさが加わり見易い作品でした。
まとまってる。
かなり面白いし勉強になったしソン・ガンホ最高だけど、なんだろう、この物足りない感じ。エンターテインメント性を意識し過ぎなのでは?これに限らず、近年の韓国映画に感じることやけど、ちょっと客を意識し過ぎな気がする。
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