タクシー運転手 約束は海を越えてのレビュー・感想・評価
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喜怒哀楽全部乗せ
カーラジオから流れるポップな歌とともにコミカルに始まって、やがて事件への怒り、死の悲しみ、運転手として友を空港に送り届けた達成感、仕事を終えて娘に会えた安堵感、喜怒哀楽全ての感情を揺さぶられます。
これ程の揺さぶりをかけてくる映画はなかなかないと思います。
公開時に2回映画舘で観て、今回久しぶりに自宅で鑑賞し、やはりまた惹き込まれて一気見しました。
以下は初見の時の感想。
コミカルに始まり、後半はシリアスな展開へ。予想以上にハラハラさせられました。
運転手たちが命懸けでタクシーで駆けつけるシーンはかっこよかったなあ!
記者を無事出国させ、幼い娘の待つソウルに戻れるよう祈るような気持ちでした。
自然と涙の溢れる素晴らしい作品でした。
キリングフィールド
言葉の壁を越えて
「海を越えて」
海を越えるには国境や言葉の壁が立ちはだかる。それを超えて芽生える友情や信頼関係には胸が熱くなる。
信頼関係を作るために言葉は重要だというのを思い知らされる。ドイツ人記者が大事な鞄を預けようとした際、タクシー運転手ではなく言葉で意思疎通のできる学生に渡したところが印象的だった。
信頼関係を作るためにはまず言葉。しかし共通の強い目的があるとその壁は乗り越えられる。
ドイツ人記者にはもちろんタクシー運転手にも事実を知らしめたい、という目的と責任が芽生えたとき彼らの間に言葉の壁はなくなった。
そこで育まれた信頼関係と友情はとても強固なものだということをソンガンホとトーマスクレッチマンの熱演が教えてくれた。
公開時めちゃくちゃ行きたかった作品。面白かった。 公州事件。韓国の...
脚本が混乱に誘う
報道の力
ソンガンホの真骨頂
1980年の韓国。軍事政権下であり、大統領暗殺後の不安定な情勢で起きた光州事件が、今の韓国の繁栄の礎となった出来事。国としては弾圧し隠しておきたい真実は、他国の記者に依って暴かれたというのは、やはりラストに出て来る表情を受けて当然である。
しかし、それは記者1人の力だけでは叶わなかった。
そこに彼「サボク」が居なければ出来なかった。
その「サボク」ソンガンホは、「パラサイト」より本領発揮してるのではないでしょうか。
初めは生活にいっぱいいっぱいの父子家庭が故に、どう稼ぐがしか執着がなく、何も考えず向かった光州で目にした光景に、「韓国ほど住みやすい所ないぞ」と言った自分を心の中でぶん殴った事だろう。
「オレは何してんだ」と呟きUターン。名場面。
このノンポリでガメツイオッサンから、ヒーローまで熟すソンガンホ、落差のある名演、これが観たかった彼だ。
そしてカーチェイスでのタクシー軍団とか、最後の空港までハラハラさせる展開。
これは名作です。
近大さんのレビューで、「サボク」は事件後4年で亡くなったと見て、残された娘が気がかり。
英雄譚として素晴らしいが、同時に国家としての恐ろしさも感じる。日本では作れない作品。でも今日本人は観るべき。
埋もれてはいけない歴史を描いた、娯楽性も備えた作品
光州で民主化を求める市民に軍が過激な暴行を行い、多数が死亡した1980年5月の「光州事件」。
この事件を世界に伝える為、現場を取材したドイツ人記者とお金目当てで彼を乗せたタクシー運転手の話。
主人公マンソプは目の前の生活でいっぱいで、政治に関心がなく、デモする学生に何のために学校に行ってるのかぼやく。しかし、光州の現状を知るにつれ、考えを改めていく。
危険を冒してでも行動した2人が居なければどうなっていたか、考えただけでも恐ろしい。
今作はドラマだけでなく娯楽性のある映画だった。
特に、現地のタクシー運転手ファンらが2人を逃す為に足止めするシーンなんかはベタなんだけど感動した🥺
現在も海外でデモが起こっている。私はそれを何となくで見ている。自分自身が最初の頃のマンソプと同じように、関心がないのである。これではダメなんだなと思った。しかし、関心を持ったとしても、今作のように新聞、テレビは偏向した内容を伝えているのではないか、いったい何が正しいのか、疑心暗鬼に軽くなってしまいそう。
タクシー運転手の視点
感動は海を越えて 表情はカメラを越えて
Amazonで観賞。
劇場で観たかったけど、家でよかったかもしれない。
序盤から早くも泣けて仕方ない。
中盤からは嗚咽が出るほどどうしようもない涙。
韓国の愛すべきところが詰まりすぎている。
(もちろん軍部の話ではない)
タクシー運転手キム・サボクさんがついに探し当てられなかった以上
細かい演出はあるのだろうが、
始終、庶民の目線をもって描かれる実話を元にしたストーリーは、
映画の初めから終わりまで、心を惹きつけてやまない。
そしてソン・ガンホさんの表情!
ガンホの顔が映るたびに、その目に写ってるであろう光景や人々の顔、心の動きが伝わる。
撮っている時には、目の前にはカメラとスタッフしかいないであろうに、
こんな雄弁な表情をできる人は世界広しと言えど二人といる気がしない。
個性で演じきるのとも違う、
なんとも温かみのある、血の通った表情。
残念ながら韓国語がわからないので表情でしか判断できないが、
奇しくも「片言の英語まじり」で進む物語、
普段の韓国語オンリーの映画を観ている時よりさらに、自然とガンホの表情に目がいく。
(こうなれば映画側の勝利)
もう、ガンホさん無くしてこの映画は語れない。
恥ずかしながら韓国の歴史をぜんぜん知らない。
今回、「ソン・ガンホさんがみたいから観る」という動機で観れてよかった。
思想が、政治がどうのこうのというシチメンドクサイ映画でも、
「詳しくなければ見れない」映画ではない。
だから軽い気持ちで観れて、知れて、よかった。
ピーター記者やキム・サボクさん、グワンジュの人たちの勇気ある行動、
また、この映画が作られたことに感謝します。
主人公となった実在のタクシー運転手キム・サボクさん。
この映画をご覧だったらいいなぁ──
社会性とエンタメ性融合
勇気ある人々の真実のドラマ
父子家庭で愛娘を育てるタクシー運転手マンソプ。彼は貧しい生活にピリオドを打つべく、ドイツ人記者を光州まで送るという仕事を受ける。
しかし光州では民主化運動とそれを弾圧する軍の間で激しい戦闘が行われていた…。
以前から気になっていたタクシー運転手を観賞。まさかここまで泣かされるドラマが待っていようとは…。
民主化運動の最中、状況を読み込めないまま巻き込まれていくマンソプ。
彼の目線で見るからこそ、この事件の真相を疑似体験することができる。
マンソプは現地で運動に参加する青年達に触れていく。そして体外的に「危険なテロリスト」と思われていた彼らがどこにでもいる普通の子供だったことを知るのだ。ミュージシャンになる夢を見、自由の為に運動に参加しているだけなのだ。
そんな彼らを知ってしまうからこそ、弾圧され傷つき倒れていく彼らを家族のように思ってしまう。
それまで対岸の火事と思っていた民主化運動の弾圧は、自分の半身を奪われるような痛みが伴うようになっていく。
観客と主人公の目線が一致しているからこそ、この問題の深刻さが身に染みて分かる。
これは遠い昔の話でもなければ、解決した話でもない。今でも思想の監視・弾圧はいたるところで起こっており、絵空事ではないのだ。
こんな重いテーマを扱いながら、面白さもしっかり担保されている。
笑って、泣いて、悩んで、燃えて、癒されて。
エンタメとしての魅力を2時間で無駄なく凝縮しながら、現実に根付いたテーマをセリフではなく"体験"させる事で説く。
映画の特性をフルに活かした名作、ぜひ見てほしい。
考えさせられました
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