日日是好日のレビュー・感想・評価
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時間の流れ
この作品を映画化するとなったきっかけは何だったのだろう。と観ながら思った。原作を読んでいないけれど、物語に起伏がないので音と役者で作り込んだ感じがする。
だからこその黒木華であり、樹木希林だったのだという感じ。多分ただ普通になぞると「映画にする」ことが分からなくなりそうな題材を画にしてみせる。所作。台詞。演技の比重がものすごく高い。
世の中が全く描かれないまま茶の世界が続き、やや唐突に登場人物のエピソードが全部語りで入るというのは、この役者陣だからこそ保つことのできた緊張と弛緩、がなければ成り立たないのではないか。
個人的にはもう少し背景を描き込んでも良いかな、とは思ったが、おそらく時間の緩やかな映画の流れ、を重視した結果で、それは成功していると思います。
普段見ない世界を見るという意味でも良い映画。
樹木希林さんはやはり佇まいだけで素晴らしいな、と思いました。場を変えられる空気を持っている。
『樹木希林』貴女は偉大です。
樹木希林が日本の美徳を茶道を通じて教えてくれる作品。
何気ない仕草にも理由がある。
日本人を創ってきたそれらを優しく私達に教えてくれたのだ。
生徒役としての黒木華が先生の良さを上手く引き出している。(女子大生役はちょっとだけど…笑)
「エリカ38」が本当のラストになるんだろうけど本作で『助演女優賞』取ってもらいたいな。
お飾りの『功労賞』みたいのじゃなくてさ。
最後のシーン。「はい」って応えて〆てもらいたかった。
〆無い美学も有るんだろうけど。
作品と呼ぶに相応しい映画
久しぶりに「作品」と呼ぶに相応しい映画を観ました。第一印象は必要最低限に奏でられている音楽。テーマは茶道ですが、凄く音にこだわって作っているなと感じます。ほぼ自然音を活かした構成はゴマかしがききません。劇場で観ているこっちも咳払い一つが目立ってしまう空間に「久しぶりにこんな静かな映画みたな」と。。。ごく限られた空間、限られた登場人物のみで一見単調に感じますが微笑ましいシーン、悲しいシーンと演じる分けるキャストの演技力も素晴らしく、しっかり入り込める作品です。必要?とも思えるシーンもその意味が分かった時にふと気付かされます。冒頭より語られるフェリーニの「道」も観てみたくなります。
日日是好日
節目節目のお稽古や茶事が、同じトーンで描かれる。黒木華さんの演じる典子の周りで起こる悲しい出来事も、楽しい出来事も、樹木希林さん演じる武田先生にまつわるお師匠さんのお話もだ。日日是好日だからだ。
どんな日もみんな良い日ではない。悲しい思い出の日もある、つらく立ち止まってしまう時もある。立ち直れないと思う時もある。でも、人はそれを静かに乗り越えて、良い日の思い出に変えていくのだ。
武田先生は、さしずめゆっくり流れる大きな川で、典子は紆余曲折ありながら、大きな川に合流しそうな予感だ。
日日是好日は、茶の湯と人の人生を重ねて描かれた作品だ。
途中でやめたっていいじゃない。美味しいお茶を飲みに来ればいいじゃない。ダルマの掛け軸は、勝利を意味するのだという。でも、七転び八起きの意味もあるのだ。そう、失敗してもいいじゃない。また、やり直せばいいじゃない。そして、8度目にでも日日是好日になれば良いのだ。
樹木希林さんが亡くなられた直後に公開された作品だが、また、映画で会えるじゃない、と言ってるようにも聞こえた。
☆☆☆★★★ 少しだけ加筆・改訂しました。 自分探しの旅は、人生に...
☆☆☆★★★
少しだけ加筆・改訂しました。
自分探しの旅は、人生に於ける最大のテーマでも有る。
「何故?どうして?」
お茶の作法に関して、何かとその理由を求めたがるモノ。
それに対して、樹木希林演じる武田先生は「そうゆうものなのよ!」…と言う。
原作であるエッセイは、とても読みやすく。我々の様な、多くの人がお茶に抱く《堅っ苦しい》とゆうイメージを変えてくれる良エッセイです。
人間には個性が有る。何を行なうにも直ぐにコツを掴み、そつなくこなす人もいれば。逆に覚えが悪く。なかなか身に付かない人も居る。
黒木華演じる典子はまさに後者。
自然を感じ、音を感じ、己れの五感をフル回転させて自然と一体化するお茶の世界。その世界に彼女は足を踏み入れる。
或る意味では、自分の居場所を探し続けている様に見える典子。呑み込みが悪く、元々が好きで始めた訳では無いからなのか?なかなか身に付いてはくれない。
そんな彼女ではあったが。亀の歩みの如く進んで行く事で、心の中での何かが変わり始め。少しずつ自分らしさを出せる様になって行く。
お茶が始まった頃は、この先この人といつ再会出来るのか分からない。だからこれが最後と思いながら、心を込めて相手にお茶を振るまう。
その真髄を知る事で、典子は人としての成長を遂げて行く。
延々と続く生活の営みの間には、生涯続いて行く自分探しの旅。
静かに抑制された画面。必要最低限に奏でられる音楽。自然音を活かし。季節の移り変わりを軸にし、延々と続いて行く自然との一体感。それらを心で受け止め、全身に行き渡る事で産まれる自然との一体感。
一見無駄とも思えるモノでも、その意味が分かった時に感じる心の豊かさを始め、極めて日本的な画に収まった中に存在する宇宙的な拡がり。
干支の茶碗のエピソード等は、エッセイを読んでいた時よりもその意味が感じ取れ。思わず涙腺が崩壊しそうになってしまったほど。
『ゲルマニウムの夜』や、昨年度の『光』の監督だけに。どんな作品になっているのか?気になってはいたが。予想外に原作エッセイの良さを損なわずにそのまま映画化。そう言えば、『セトウツミ』もこの監督だったなあ〜(´ー`)
エッセイを読んでいて思った事を2つ。
若い2人が初めて先生に連れて行かれた時の場面。
読んでいても面白い場面でした。特に映画でも描かれていた、誰も【亭主】をやりたがらない。
その時に【亭主】を演じたご婦人。此方はお茶の世界には疎いので、あくまでも想像だけですが。おそらくは名のあるお茶の先生なのでしょうね。
実はこの場面。エッセイを読みながら、草笛光子を想像して読んでいました。
そしてもう一つは樹木希林。
(映画化は知っていたのもあり)先生役は確かに樹木希林しかあり得ないと思った。
そんな樹木希林を、もうこの先スクリーンで観る事が出来なくなる時が遂に来るとは…。
しかしあの樹木希林ですからねえ〜。
この作品での鳥の鳴き声で有ったり。水の音で有ったり。風の音で有ったり、雨の音で有ったり…と。自然なままふっと思い出す如くに別の作品を観ている時に。「まあ〜まあ〜まあ〜」…と眺めているスクリーンから。ひょっこりと顔を出して来そうな感じがしそうだ!
2018年10月16日 TOHOシネマズ西新井/スクリーン2
横浜三渓園の茶室に行ってみたい
初日舞台手挨拶と作品を楽しみました。
原作者森下典子さん(表千家教授)のお話がとてもわかりやすく
着物姿も爽やかでした。 茶道の入門から習熟までの気づきを
樹木希林さん、黒木華さん、多部未華子さんの熱演で
笑いながら、泣きながら 映画を見ました。
もう一度 映画を見に行きたい。
ロケ地の横浜三渓園の茶室に行ってみたい。
日日是好日
いつのまにかこのテーマを追い続けて主人公は毎日をすごしだす。知らないうちに。
見終わったとき、自分なりに日日是好日の意味がなんとなくだけど理解した気になっってた。
とても傲慢な感情でしょうけど、、、、
でもそれでいいのよ、と武田先生は笑みを浮かべながら見つめてくれるでしょう。
樹木希林さんは国宝だったのだなーとあらためて認識させられる作品に仕上がっていました。
素敵すぎます、、、、
心が洗われる映画
終始静かな時間が流れる映画でしたといっても退屈ではなくこの作品を通してお茶の世界観が少し分かった気がします 黒木華さん主演だから良かったのだと思います 樹木希林さんも主演を上手にサポートする脇役でいい味を出していたと思います 樹木希林さんもう一本遺作の映画があるそうなので公開されたら見に行きたいです単館系列の映画らしいですが…
日本の四季
ほとんどが茶室でのシーンが多いにもかかわらず、日本の四季を充分に感じられる、穏やかになる良い作品です。樹木希林さんは話すだけで暖かさを感じさせる力を持った女優さんでしたね。改めて感じました。
ほっこりした
「ほっこりした」というのが、観終わってすぐの感覚でした。
森下典子さんの24年間のお茶体験&半生を綴ったエッセイを映画化。
20歳の大学生から44歳社会人まで、主人公女性を黒木華が好演。
エッセイが元だけに、ちょっとしたエピソードはあっても、全体を貫く大きなストーリーがあるわけではありません。
大事件が起きて解決したり、大恋愛からの結婚だったりといった、うねりはありません。
日本の四季折々の景色に沿って、穏やかで優しい時間と景色が重ねられていき、主人公の歳も重なっていきます。
茶道を通じた女性の自己の確立というか、自分探しというか。
年齢的な成長というよりは、人としての心の在り方が豊かになっていく様を描いています。
その主人公の姿は、私を癒してくれ、心が温まったような。
私は茶道に関する知識は全然ありませんでしたが、茶道っていいなと思わせてくれました。
そして、妙な幸福感に包まれた気がしました。
また、なんといってもこの映画の肝は、先日亡くなった樹木希林さんです。
主人公の悩みや苦しみに対し、言葉で具体的回答を出すのではなく、お茶とさりげない心遣い、立ち居振る舞いで導く茶道の先生という、存在感が必要で、難しくも重要な役を演じ切っていました。
亡くなったのは本当にもったいと改めて思いました。
追悼 樹木希林
あーもう見れないんだなーっていうのが一番強い印象 もっとお茶のたおやかな雰囲気と日常のちょこっとした出来事を絡めてそれこそ日日是好日を描いて欲しかった なー主人公の大きな心の動きと絡めるから感情移入しにくかったw 演技は皆さん上手い!
お茶を知らない方は、より味わい深い
お茶の世界を全く知らない私。
最初の「ふくさ」が云々・・・のお茶のお稽古エピソードは、ちょっと退屈でした。別に知らなくてもいいじゃんって。正座も大の苦手だし。
だけど主人公典子が少しずつ慣れてきていく様は、こちらも何となく疑似体験敵レベルUPに重なっていくあたりから。
徐々にのめりこんでいきました。
なるほどなー、お茶ってこういう世界なんだなあと。
たしなんでいる方も、かつての自分を見ている感覚かも。
人生と茶道。季節が変化とともに、経験を重ねていく。
同じですね。
先生役の樹木希林さん。季節ごとの着物も素敵だし、典子たちに話しかける言葉が、ずっしり来ました。いやー、圧巻。
ネタバレになるので書かないけど、心にメモしておきました。
「一期一会」。お茶の言葉とは知っていたけど、この作品でなるほどとうなづきました。そういう事だね。
劇場で観てもそん色ない作品でしょう。まあ正直女性向けかも。
普通がいちばん幸せ。
毎年同じことが出来る事は幸せな事。言われてみればそーだよなー、と。
茶道がこういうものだとは知らなかったし。
黒木華もいいけどやっぱり樹木希林の存在感はすごい。セリフの言い回しだけで映画の世界がわかっちゃう。見応えあるなー。
日本人でよかったと思う映画
日日是好日の宣伝で樹木希林さんが、自宅にも小さな茶室をできることなら作りたいなぁと思う作品になりました。と、おっしゃっていた通りで、我が家にも茶室が欲しいと思うようなストーリー。畳の上で気持ちを研ぎ澄ませ、四季折々に目を向けそれを各々が心で感じ、気持ちを整えて生活を豊かにしたい欲求に気付かされました。日本人であることが誇らしくも感じる作品。礼儀正しい日本人と世界からは言われますが、私たちは礼儀正しく生きることに心地良さを感じるのだと思いました。樹木希林さんがそれをうまく表現し、本物の茶道の先生のように振る舞い、こんな茶道の先生に習ってみたいと思うお芝居でさすがでした。
黒木華さんも、自分に置き換えながら共感しながら見ることができ、映画館では涙もあり、クスクスとした笑い声もあり素敵な映画でした。
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