カメラを止めるな!のレビュー・感想・評価
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「諦めたらそこで終わり」という普遍的メッセージがそこにはある
昔から低予算で観客を驚かせるにはゾンビ物が有効だ。とはいえ、ロメロ以降、映画作りの鉄則として知られるこの手法を、まさかこれほど呆気にとられる形で駆使して、しかも観客にハイレベルの楽しさと「なるほど!」の快感、それに何とも言えない爽快感と感動をもたらすとは恐れ入った。
もしも前半の長回しの趣向だけで終わっていたら、タイトルはそのまま「ワンカット・オブ・ザ・デッド」で良かったに違いない。本作のタイトル「カメラを止めるな!」はまさしく秀逸な後半部なくして生まれ得なかったもの。この映画には「諦めたらそこで終わり」という普遍的なメッセージが満ち満ちており、それが登場人物の心にしっかりと寄り添い、ひいては映画作りにとどまらず、作り手の生活や人生、そしてあらゆる観客たちの心を鼓舞する応援歌のように響き始めるのだから不思議だ。本作を見ると底知れぬ勇気と元気がこみ上げてくるのはきっとそのためなのだろう。
フレームの外に面白さがある
工夫と熱意を最大限に発揮した力作だ。超拡大ロングランヒットになった理由は主に2つあると思う。
①巧みな3部構成で、1部の違和感の謎に、2部でヒントが与えられ、3部で明確に解決する達成感。洗練された伏線と回収というより、謎の提示と答え合わせだ。劇場での鑑賞に慣れない人でも初見で満足を得られ、再見すると仕掛けをさらに楽しめる。
②ウンコ、泥酔、ゲロなど幼稚な笑いの絶妙な配置。志村けん的な笑い、言語不要の老若男女が笑えるおかしさ。頭や手足が切断されるホラー描写も笑いと隣り合わせだ。ドリフの「首チョンパ」を思い出す。幼稚な笑いと過激描写のコンボ。
星半個の減は、ラストの組体操を共同作業のメタファとして感動場面に仕立てた点。エンドロールで「組体操は大怪我につながります。良い子は絶対に真似しないで!」と警告したら、事故が続いているのに頑なに組体操を廃止しない教育界への皮肉になって一層笑えたのに。
ただただ面白さを追求することの尊さ
なんでこんなに観終わった後に清々しい気分になれるんだろうか。一応ゾンビ要素もスプラッター描写もある作品だというのに。
とにかく脚本の構成が抜群にいい。ゾンビものかな?>あれ、メタフィクションものかな?>いや、メタメタフィクション?、と思わせる最初の37分間、そうしたら種明かしパートであの展開である。バックステージものは数多くあるが、工夫の仕方がひときわユニーク。家族愛に落とし込む展開も見事。実際のアクシデントもあったようで、どれが計算でどれが偶然なのかわからないところがかえってリアリティを作って観る人を引き込む効果を作っている。
テクニカルに優れた作品だけど、小難しさは一切ない。映画を楽しんでほしいという気持ちに溢れているのが本当に好感が持てる。
ネタをすでに知っている二度目の鑑賞ではそこまで楽しめないかと思っていたら、一回目とは全く違う楽しみも発見できるので繰り返し鑑賞をオススメしたい。
ギミックの先に届くナニカを望むのは贅沢か?
よく練られたアイデア、それを実現する実行力と演出力、要求された表現を実体化する役者陣。「低予算なのに」みたいな枕詞を付けるのは失礼なくらい、非常に完成度の高いコメディである上に、映画作りの映画でもあるのだから、なんと行き届いていることか! あまりにも感心させられたので、この映画の作り手にはもう少し先まで望んでみたい。最初に解くべき謎を提示して、みごとに伏線を回収し、最後には感動めいたものまでもたらしてくれる。確かにアッパレであるのだが、予定通りにキレイに収まった、という以上のふくらみがあれば無敵なのではないか。ものすごくよくできている、けれど、同時にこれは傑作をものにする出発点ではなかろうか。
流れる汗を止めるな! やるべき事をやって、打ち立てろ情熱の金字塔!🫵
映画の撮影クルーに迫るゾンビの恐怖と、その裏にある意外な真実を描いたホラー&コメディ。
第61回 ブルーリボン賞において、作品賞を受賞!
第10回 TAMA映画賞において、特別賞を受賞!
予算300万円の超小規模インディーズ映画でありながらもSNSの口コミなどにより徐々に公開規模を広げ、最終的には30億円以上を稼ぎ出してしまったという、異次元級のヒット作。…下世話な話だが、興行収入の分配比率が気になる。
本作はいわゆる映画制作映画であり、作中劇を冒頭に持ってくるという奇策は大きな話題を集めた。
独特の構成ではあるが、オリジナリティの塊のような映画だ!!…という訳でもない。
生放送でのドタバタ喜劇という点では三谷幸喜監督作品『ラヂオの時間』(1997)に似ているし、前半の展開を後半で一気にひっくり返すという作品構造は宮藤官九郎脚本のドラマ『木更津キャッツ・アイ』(2002)と同じ。
作風も似ているし、本作の監督・上田慎一郎がこれらの作品から影響を受けているのはまず間違いないだろう。
エンディング曲も完全にジャクソン5の「帰ってほしいの」のパロディだし、オマージュ元の影響が全く隠せていないという意味では、仲間内でワイワイ作った自主制作映画という範疇からは抜け出せていない作品である。…まぁ元々商業映画じゃないんだからそれは当たり前なんだけど。
平成末期の邦画においては間違いなく最大の話題作であり、今更説明不要な一本。観たことない人でも内容を知ってるんじゃない?
…そういえばこの映画、公開当時は「ネタバレ禁止!」という文句で売られていたっけね。『サイコ』とか『猿の惑星』とか『帝国の逆襲』とか、有名になりすぎたネタバレ禁止映画っていうジャンルを纏めてみると面白いかも。
確かに、この映画は中盤の種明かしによって映画の性質が大きく変わる特殊な作品である。何も知らずにこの映画を鑑賞した人はとっても驚いたんじゃないだろうか?
そりゃネタを知らないほうが楽しめるんだろうけど、だからと言って作品の構造を知ってしまっていると楽しめないのかというとそんな事は全然ない。
私の初回鑑賞はテレビ放送の時で、内容とか基本的に全部知っていたけどそれでも楽しめましたから😊
仕込まれた大仕掛けばかりに注目が集まりがちだが、この作品の本質は別にそこじゃない気がする。
「JUST DO IT」こそこの映画のメッセージであり、グダグダ御託を並べる前に手を動かせ足を動かせ汗をかけ!ということを猛烈に訴えている作品である。
時間も金もない上、トラブル続きでにっちもさっちもいかない、という主人公のおかれた状況は完全にこの映画の制作状況とダブって見える。というか、現在の邦画界は多かれ少なかれ、どこもこんな状況なんだろう。
そんな進退窮まった邦画界に、いやいやアイデアと情熱と勢いさえあれば何とかなるんだよ!という事を伝えようとしてるのがこの映画であり、本作の商業的大成功により、そのメッセージが100%正しい事をこの映画の制作陣は証明してみせた。
クライマックスの人間ピラミッド、バカバカしいほどに一所懸命な彼らの姿と流れる汗、そして弾ける笑顔に号泣してしまったのは私だけではないはず。
中野量太監督作品『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)を思い出す展開だが、こちらの方が遥かに感動的で美しい人間ピラミッドでした!👍
本作は綺麗な三幕構成。
物語の構造上、第一幕と第三幕は視点こそ違えど全く同じ出来事が描かれている。
これ、下手すればひどく退屈な映画に仕上がってしまう、とても危険な構成である。
しかし、本作では第一幕を完全なるフリに使い、第三幕の種明かしに全てを賭けている。
この種明かしのギャグと熱量、そしてカオスっぷりが半端なく、観客の期待を超えるあれこれを提示してくれる上、あれってそういう事だったのか!!というスッキリ感も忘れずに与えてくれる。
何より、本気の人間が一丸となって何かを作ろうとする様子の汗臭さと楽しさが、観客に忘れていた何かを思い出させてくれる。しかもその何かというのが、傍から見ればバカバカしいことこの上ない「ゾンビ映画」であるということが、より一層の感動を我々に与えてくれるのである。
超出来の良い娯楽作である!…のだが、第一幕目に大きな問題が。
というのも、第一幕目はモキュメンタリー風の手持ちカメラ映像が37分間、ワンカットで続く。
これがめちゃくちゃ酔うんです…🤢
平気な人は問題ないのかも知れないけど、自分モキュメンタリーが凄く苦手。『クローバーフィールド』とか死にそうになった💦
そんな人間にとって、最初の37分が苦しすぎたし、その後の展開も画面酔いのせいでなんかあんまり入ってこない。
個人の体質のせいなんですが、この手ぶれだけはキツいっす🌀
知恵と情熱さえあれば、大抵のことはなんとかなるという事を証明した一作。
出ている役者さんは皆無名俳優であるが、それぞれが最高の芝居をしていた。邦画を観ていると「日本に俳優って50人くらいしかいないのか?」と思ってしまうほどおんなじ人ばっかり出てくるが、無名でもこんなに良い役者がいっぱいいる。
他の邦画も、有名無名問わず、もっと色々な役者さんを起用して欲しいものである。ほんと、邦画って何でおんなじ人ばっか使うんだろう…?
この映画が起爆剤となり、邦画界に大きな革命が起こることを期待していたが、未だに邦画界は辛気臭い映画が主流。
コメディ映画といえばガキ向けのものばっかりだし。
あまりにも邦画界はコメディ映画を冷遇しすぎている!!俺たちはもっと明るくて笑える映画が観たいんだよ!!
と、邦画の現状に文句を言いたくなってしまった💦
他のコメディ映画とは一線を画す意欲作。超ヒットしたのも納得の一本です✨
生放送のホラーって…
色々なファクターが重なりあった、集大成の撮影現場の話
監督さんは大変なんだな〰️と感じる反面、ホラー感は個人的にあまり感じられず、映画を作るにはかなりの時間、マンパワー、経費がかかルンだ〰️と勉強になりました
主役の女優は演技上手かったと思いますが…
劇場と金曜ロードショーで
公開中に劇場と、金曜ロードショーでも観て、録画してあるのでも観直してみた。
どうかな?って思ったけど、やっぱり面白かった。
最初のほうが単なるB級映画っぽくて、だんだん盛り上がっていくことで飽きさせない。
それぞれのキャラがきちんと活きてるし、一流の俳優じゃないからこそ、カッコつけすぎてなくて結果よかったって作品。
映画愛!!
沢山の方がレビューを書いてるので簡単に〜〜
とにかく面白いから黙って観とけ!!
フランス版が公開されてるので
場所によってもしも映画館で上映されていれば
できれば映画館で、周りの人達の反応込みで
観るほうが絶対楽しいね。
リアルタイムで映画館で観てますが、
その後、テレビ放映された時の
スケールダウン感が半端なかったなぁ〜〜
正直、この映画、ゾンビ映画でもホラーでも無い
一種の目標達成映画かなぁ。
一つの作品を創り上げる為の人々の努力と熱量!
そこを感じて下さいな!
笑わせてもらったぁ、やっぱりよくできたコメディだよ
以前テレビで観たのだけど映画館で上映しているのを知って急遽見に行きました(テレビはどうせカットしてたんだろうし、しかもちゃんと観てなかったし。フランスのリメイク版を観る前に観ておこうと思って)。
これ、どこがホラーなの?100%コメディでしょ。前半のゾンビ映画(スプラッター的)もバカバカしくて(これ褒め言葉)大いに笑わせてもらった。後半では、むきになればなるほど滑稽になる髭面の監督やゾンビを蹴散らかすスーパーヒーローみたいな中年女性の正体がわかり、ああそういうことだったのかと感心しつつ、また爆笑。チープな感じもいいよね。面白かった。
フランス版はどうなってるのかな。楽しみです(評判今一みたいだけど)。
ホラー映画じゃなくコメディー映画
スティーヴン・キングが、この映画を褒めたって聞いて、前に観たのですが、
フランスによるリメイクを観る前に、復習のため2回目の観賞。
イライラするアホなノリ、ルックス…(正直に書きました、ごめんなさい)
下手すぎる演技、学芸会レベル…
終わるまで観てるの苦痛でした(苦笑)
金を取ったらダメなレベルだと思う(苦笑)
エドガー・ライトも、この映画を褒めたらしいけど、
キングやエドガーが褒めたのは、
ワンカットや2部制の構成の事かな?
個人的には、そこだけ。
これから観る方には、
この映画はホラー映画じゃなく、ゾンビ映画を撮る人達のコメディー映画だと、お伝えしたいです。
伏線がマイナス100点なので回収60点でもまだマイナス
伏線が気分を害するくらいほんとつまらない。
回収を観終わったら害した気分が晴れて面白かったような気がしたけど、冷静に考えるとゲロを食べたあとに水を呑んだら美味かったって事なんじゃないかと思う。
ポン!
いやー面白かったw まさか最初のが本気の本編とは思ってなかったけど、細かい仕掛けの種明かしがあって、もう一度、最初から見返したくなってしまう。最後には達成感が共感できて、見終えてスッキリした気分。血なまぐさいゾンビ映像なのに不思議ですね。
話題作。そんなに?
新しい形だなぁって感じやけど、前評判よりはうーんって感じ。前半退屈すぎて後半取り戻せてない。おすすめは別にしないかなぁ。
ストーリー 80点
配役 90点
音楽・映像 95点
全体 85点
我慢して最後まで見たら、面白さが分かった
初めての鑑賞
といっても、正月に放送されたのを録画し
一度途中まで見たのだが
うるさいし、イマイチつまらなかったので
放り出していた
(高評価を得た作品と知っていたのでHDDから削除せず、残していた)
で、もう一度初めから見直したら結構面白かった
序盤の映画を撮影しているシーンは、実は作品(映画)で
第2部を見ると、第一部の意味が分かるという
チョット、トリッキーな構成だった
監督も出演者も一癖あって
面倒な人間ばっかりで、突っ込みたくなるところもあったが
コメディと思って笑いながら見たら最後まで見ることが出来た
かなり、話題になったし、高評価を受けた映画だけど
自分としてはなにかメッセージを感じるということはなく
普通に面白いコメディーという感じ
世間では「もう一度見たい」と評価されたらしいが
もう一度見たいというより
構成や展開がトリッキーだったから
「ちゃんと理解するには、もう一度見る必要がある」
というのが正直な感想
もう一度見ようと思ったので
HDDから削除せずに残しておこうと思う
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