カメラを止めるな!のレビュー・感想・評価
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途中で観るのを止めるな!
まさか、こんな幸せな温かい気持ちになる映画だったとは!
途中のエンドロールで観るのを止めそうになった自分が笑える。
よくできた映画だ。『四畳半神話体系』とかと同じジャンルかな。全てが伏線系。
たぶんVODで観ている人の大半が、後半と前半を比べながら再度観てるはず。(私もやりました。)楽しめるわー。
娘を肩車した写真もああいう意味があったのね。素晴らし。
しかし「あのシーン」は単に脚が映りこんだだけだったのか。(笑
ポン!
いやー面白かったw まさか最初のが本気の本編とは思ってなかったけど、細かい仕掛けの種明かしがあって、もう一度、最初から見返したくなってしまう。最後には達成感が共感できて、見終えてスッキリした気分。血なまぐさいゾンビ映像なのに不思議ですね。
映画に憑かれた者たちの狂宴
低予算ながら破格のヒットを飛ばしたホラー映画と言えば、ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス監督『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を思い出す。しかし、本作はホラー映画ではなく、映画制作の舞台裏を撮ったメタ映画だ。
構造は三重の「ミーズ・アン・ビーム(紋中紋)」になっていて、チープなゾンビ映画(一重目)を撮影する、熱心過ぎてヤバい感じになった監督とスタッフたちを本物のゾンビが襲う(二重目)、というストーリーの特別番組を生で撮るスタッフのスラップスティック(三重目)というものだ。
生放送の最中に起きる数々のトラブルをどう切り抜けるか、が笑いのポイントになっている。同時に、映画を作る人たちの葛藤や熱意が伝わってきて、胸が熱くなる、という感動のフックも仕掛けられている。よくできた娯楽映画であることは間違いない。
有り体に言えば、のめりこんで作品を作ることは「狂気」と隣り合わせだ。その狂気じみた熱気のほとばしりをいちばん感じさせるのは、本当のエンドロールで流れる本当のスタッフたちの撮影の様子からだ。映画制作の得体の知れない魅力に取り憑かれた者たちの狂気。
その意味で、園子温監督『地獄でなぜ悪い』を彷彿とさせる。盗作疑惑が持ち上がっているが、スタッフたちの熱意がないがしろにされないように解決してほしいものだ。
「諦めたらそこで終わり」という普遍的メッセージがそこにはある
昔から低予算で観客を驚かせるにはゾンビ物が有効だ。とはいえ、ロメロ以降、映画作りの鉄則として知られるこの手法を、まさかこれほど呆気にとられる形で駆使して、しかも観客にハイレベルの楽しさと「なるほど!」の快感、それに何とも言えない爽快感と感動をもたらすとは恐れ入った。
もしも前半の長回しの趣向だけで終わっていたら、タイトルはそのまま「ワンカット・オブ・ザ・デッド」で良かったに違いない。本作のタイトル「カメラを止めるな!」はまさしく秀逸な後半部なくして生まれ得なかったもの。この映画には「諦めたらそこで終わり」という普遍的なメッセージが満ち満ちており、それが登場人物の心にしっかりと寄り添い、ひいては映画作りにとどまらず、作り手の生活や人生、そしてあらゆる観客たちの心を鼓舞する応援歌のように響き始めるのだから不思議だ。本作を見ると底知れぬ勇気と元気がこみ上げてくるのはきっとそのためなのだろう。
フレームの外に面白さがある
工夫と熱意を最大限に発揮した力作だ。超拡大ロングランヒットになった理由は主に2つあると思う。
①巧みな3部構成で、1部の違和感の謎に、2部でヒントが与えられ、3部で明確に解決する達成感。洗練された伏線と回収というより、謎の提示と答え合わせだ。劇場での鑑賞に慣れない人でも初見で満足を得られ、再見すると仕掛けをさらに楽しめる。
②ウンコ、泥酔、ゲロなど幼稚な笑いの絶妙な配置。志村けん的な笑い、言語不要の老若男女が笑えるおかしさ。頭や手足が切断されるホラー描写も笑いと隣り合わせだ。ドリフの「首チョンパ」を思い出す。幼稚な笑いと過激描写のコンボ。
星半個の減は、ラストの組体操を共同作業のメタファとして感動場面に仕立てた点。エンドロールで「組体操は大怪我につながります。良い子は絶対に真似しないで!」と警告したら、事故が続いているのに頑なに組体操を廃止しない教育界への皮肉になって一層笑えたのに。
ただただ面白さを追求することの尊さ
なんでこんなに観終わった後に清々しい気分になれるんだろうか。一応ゾンビ要素もスプラッター描写もある作品だというのに。
とにかく脚本の構成が抜群にいい。ゾンビものかな?>あれ、メタフィクションものかな?>いや、メタメタフィクション?、と思わせる最初の37分間、そうしたら種明かしパートであの展開である。バックステージものは数多くあるが、工夫の仕方がひときわユニーク。家族愛に落とし込む展開も見事。実際のアクシデントもあったようで、どれが計算でどれが偶然なのかわからないところがかえってリアリティを作って観る人を引き込む効果を作っている。
テクニカルに優れた作品だけど、小難しさは一切ない。映画を楽しんでほしいという気持ちに溢れているのが本当に好感が持てる。
ネタをすでに知っている二度目の鑑賞ではそこまで楽しめないかと思っていたら、一回目とは全く違う楽しみも発見できるので繰り返し鑑賞をオススメしたい。
ギミックの先に届くナニカを望むのは贅沢か?
よく練られたアイデア、それを実現する実行力と演出力、要求された表現を実体化する役者陣。「低予算なのに」みたいな枕詞を付けるのは失礼なくらい、非常に完成度の高いコメディである上に、映画作りの映画でもあるのだから、なんと行き届いていることか! あまりにも感心させられたので、この映画の作り手にはもう少し先まで望んでみたい。最初に解くべき謎を提示して、みごとに伏線を回収し、最後には感動めいたものまでもたらしてくれる。確かにアッパレであるのだが、予定通りにキレイに収まった、という以上のふくらみがあれば無敵なのではないか。ものすごくよくできている、けれど、同時にこれは傑作をものにする出発点ではなかろうか。
2回に分けて見たし、1回観たら十分で二度目はない
公開当時に大ニュースになったが、劇場で観るまでもないと思ったのと、ゾンビ映画が苦手で観なかった作品。侍タイのヒットに、カメ止めの再来とあったので、今頃視聴した。
37分ワンシーン・ワンカットと言うのは映画の中の設定で、本当は編集だったのか。撮影裏のドタバタ劇を楽しむのか、私にはハマらなかった。脚本を評価するレビューがあるが、低予算と無名の俳優の映画としてその頃は評価されたかもしれないが、今見るとそうでもない。俳優の演技力は、侍タイに比べると低い。評価を低く付けたのは、最近の邦画の充実のせいかもしれない。
あらためて観ても面白い
よくできた映画だなーと感心するよね
映画のあらすじはもうあらためて説明するまでもないけど、ゾンビ映画を撮影していた現場にホンモノのゾンビが現れて大パニックに!だけど所々違和感を感じる部分があって、なんか変な映画だなーと思ったら、それ自体も映画でした、という二重底映画。
つまりなんか変だなーと違和感を感じた部分にもたゃんと理由がありまして、といったところを種明かししていくスタイル。映画の途中でガラッと目線を変えて同じ物語を観ていくアイデアはなかなか秀逸で、その斬新さから公開当時は口コミで上映規模も大きくなっていき社会現象と言ってもいいほど話題になった。
その影響の大きさ故に権利関係の問題がいろいろ出たり、スピンオフモノも続々出たりと邦画としては異例なほど話題になり続けたことは記憶に新しいところ。
あらためて見直してみたけど、うん、これは確かに面白い。無駄が全くない上にちゃんと伏線も回収できてる。その上で映画撮影に対する熱い想いだったり、監督業のツラさやその対極のカタルシス、撮影チームの大混乱からの一体感のように、もともとの映画監督養成スクールのワークショップ作品ならではの横顔も持ち合わせていて、B級映画の撮影現場を覗き見するような面白さをしっかり映画の魅力に昇華されてて、やっぱり語弊はあるかもだけど本作は名作だなと感じた。
私は邦画をあまり観なくて、というのはエンタメ大好きなタイプの映画好きにとって邦画は鬼門。アニメ実写とドラマの延長線と楽屋オチを除くとほとんど見るものが無い状況で、こんな感じのしっかり練られた脚本の作品は貴重だし、こういう観る側が乗っていけるような引力のある作品がもっと出て欲しいって思う。
そういう意味である意味とっても映画らしい一本。
エンタメとしてはほぼ満点かな
無名の役者かつゾンビ映画…面白い要素なんてひとつも無いのに裏切られた
無名の役者、邦画のゾンビ映画…面白い要素なんてひとつも無いのに良い意味で裏切られた。すみません、なめてました…めちゃ面白かったです!公開当時に劇場で見てからハマリ、定期的に何度か見返してる作品。面白かった点は2つある。
1つめは、前半と後半で二度楽しめる構成。
前半で完成品、後半で完成までの過程を描く。後半の前半ネタばらしパートでは、ハプニングの連続を一丸となってアドリブで乗り越えていく様が面白い。前半の不自然なセリフや間の違和感を「こんな方法で乗り越えてたの!?」と笑えた。趣味の話から護身術の「ポンッ!」流れは放送事故レベルw
メンバー全員で体張ってクレーンになるラストシーン。ぐだぐだだった読み合わせのときを思い出すと、よくこのメンバーで完成したなと感慨深い。
唯一の欠点は、前半パートが長くツカミが弱いこと。下手したらB級ゾンビ映画かと思って途中で帰っちゃう人いそう。友人の話では前半のスタッフロールが流れたときに、終わったと思って退室した人が居るらしいw前半パートに長尺つかったのはリスクあるし、監督の賭けだったと思うわ。ここを乗り切ったら面白くなるんだけどね。
2つめは、役者の先入観がなく純粋に演技を楽しめる。
知らない役者しか居ないのでどんな演技をするか想像できない。そのため、余計な先入観なしに演技がダイレクトに伝わってくる。主演の濱津隆之をはじめ、脇役の人たちもクセもの揃いでインパクトが強烈。
とくに印象的だったのは、濱津隆之と腹痛ハゲ。濱津さんの優しさがにじみ出てる演技が好き。自分のやりたいことをグッと堪えて他人に流されちゃう性格が自分と似てて共感できた。その反動か最初のシーンで思ってることを主演ふたりにぶちまけるのが最高に気持ちい。何があってもカメラを止めない姿勢からは映画愛を感じる。
すぐ腹痛くなるハゲは一番笑った。腹痛をこらえてるときの表情がリアル。うんこ漏らしそうなときってあんな表情になるんだよな~。トイレの場所や水を確認したり、実際に腹弱い人がしそうな行動を見事に再現してる。スタッフの中に彼と同じようなうんこマンが居たに違いない。
有名な役者が出てる大作でなくても、充分に楽しめるのだと教えてくれた良い作品だった。これからはつまらなそうという先入観に騙されず、この手の映画をどんどん発掘していきたい。
そこまでか?
テレビでの寸評もよく、芸能人がこぞって絶賛してたので、かなりハードルが上がった状態で鑑賞したのですが、どこがいいのか、何が面白いのかサッパリわかりませんでした。
低予算の割に、、、というのがポイントなんですか?だからどうしたの?って感じ。
え、これで満足できるのでしょうか。
全体構成の魅力的な作品だが、更に、ワンカットシーンとメイキングシーンは別々に撮られたものと想像すると…
多分、公開年以来の再鑑賞だったが、
全体の構成などもすっかり忘れていたので、
それなりに新鮮な気分で
楽しまさせていただいた。
今回の鑑賞では、
公開当時に話題になった劇中劇設定と、
「1917 命をかけた伝令」のような
ワンカットの撮影手法のことではなく、
この作品の物語性そのものに
注目して観始めたはずだった…しかし…
改めて鑑賞して感心させられたことは、
前半の劇中劇編がほぼワンカットなので、
そのための緻密な計算と準備が
相当のものだったと想像すると同時に、
後半のメイキング編が
前半の場面と、映像的に
本当に合っているのかの確認のために、
実は、前半とは真逆に、
それこそ何度も繰り返し撮影したのでは
なかったかと想像したためだった。
つまり、前半のワンカットシーンは
後半のメイキングのシーンと
同時に撮られたものでは無く、
この二つのシーンは別々に撮られたものと
想像せざるを得なかったので、
もしそうだとしたら、
この作品の製作には相当な労苦が
秘められていたのではなかったろうか。
また、後半のメイキング編では、
実は想定違いが二重にあったと明らかに
されると共に、
観客は前半の劇中劇に
その結果の映像が散りばめられている事も
突き付けられることになった。
物語性がどうのこうの以前に、
やはり、全体の構成の妙が
実に魅力的に感じる作品に思えた。
ホラー映画のようでホラー映画ではない、最後まで鑑賞すべし!
とても面白かったです!
有名だということは知っていましたが、結局今になって初鑑賞。
なるほど、これは盛り上がっていたのはそういう理由だったのかとびっくりしました。とても面白いです!
ゾンビものなのかな?とおもいきや、家族愛あり、仕事への情熱あり、笑いありで、
とにかく最後まで見ることをお勧めします!
監督の努力と創意工夫の賜物で、チームが一丸となっていい作品を作り上げるのだという情熱に心打たれました。
仲間と一緒にまた観たいと思います。
みんなで作る楽しい映画
今更サブスクで鑑賞(笑)気になっていたものの優先順位が後ろだったので…。
ここまで有名で話題になった映画のレビューなんて何書けばいいんだ…?一応ネタバレしないようにさらっと。
もしこれから観る方がいらっしゃるなら、最初の30分は肩の力を抜いて、多少の違和感はスルーして観てください。後半ぶったまげます。この映画が90分あることには必然的な意味があるのです。ゾンビであることに必然性は?…ある!映画といえばゾンビだもの!(笑)
ずっと「あー!なるほどー!」って言ってました(笑)素晴らしい脚本。本当によくできた映画。まだ観てない方、今からでも是非!
映画を止めるな!
僅か2館で始った本作。新宿では初日以来連日満席が続いたという。僅か84席のミニシアターでとはいえこれはすごい。かくいう筆者も知らずに行って一度締め出し食ったのだったが、その後拡大公開が広がり、遂に大メジャー日比谷のシネコンまでもが上映することになった。
まったくのマイナー作品である。監督も出演者もまったく無名。高校の映画サークルの文化祭制作といえばだいたいゾンビ映画と相場が決まっているのと同じ程度の自主映画、よく言えばインディーズ。そんな小品が何でこんな騒ぎになっているのか。これはこの目で確かめねばなるまい。
なるほどこれは面白い。いきなり始まる37分ノーカット。廃墟となった山奥の工場跡、ゾンビ映画の撮影現場。そこに本物のゾンビが出現して修羅場と化すその一部始終がものすごい勢いで展開するわけだが、映画の規模こそ違え、昨年の韓国製ゾンビ映画の大傑作『新感染』にも迫る勢いなのである。これだけでも結構面白いのだが、このあと映画は思いもよらない方向へと進んでいく。 『ワンカット・オブ・ザ・デッド』なるタイトルのその映画のメーキングを、そっくりそのまま映画にしてしまうという前代未聞のアイデアである。そこにあるのは、ワンカットでやらなければならないからこそのてんやわんやの撮影風景。うっかり落としたカメラの映像まで止まらない。それこそ修羅場。もう腹を抱えて笑い転げるほど面白い。
これを「映画の発明」とまで言った人もいる。その着想がツボに嵌まりに嵌まって、あれよあれよの96分。観終わっての感想は、今見ていたのはいったい何だったのかとキツネにつままれたような心地よさが残る。メジャーでは絶対にできない、破れかぶれの映画作り。映画の革命だとも言いたい。
劇中映画のラストシーンは、手持ちカメラのクレーンアップによる俯瞰撮影である。こんな小規模作品でいったいどうやって撮ったのかとやや違和感を覚えるが、最後のその種明かしには感動さえしてしまう。映画マニアによる映画大好き人間の映画。カメラを絶対に止めないというその覚悟。ここには「映画を止めない」という映画人間の映画への愛と熱気が溢れている。だから映画は面白い。
じんわり来るところがあって、あと味の良い映画
冒頭からのB級ホラーは、長い伏線になっていて、後半のメーキングのパートに人間ドラマがあるという構成がとても面白い。よくできた構成で、リメイク版が作られるのも納得する。
主人公の監督が中間管理職のつらさの中で奮闘するのに共感してしまう。特に、撮影準備のつらい状況の中で古い娘の写真を見て涙ぐむ場面がグッとくる。この場面を最後で回収する脚本もうまいと思った。
監督やいろいろな人がそれぞれ頑張って、目的を達成するのであと味が良い。ホラーのラストシーンを撮影するための機材がダメになって、みんなでなんとかする場面はベタな感じが気持ち良い。
演技や映像は洗練されてはいないし、カッコ良いシーンはないけど、低予算でもアイデアで面白い映画になるという好例で、良い映画でした。
ユーモアセンスに感服
数年おきに観たくなる。
前半、アマチュアが作ったようなホラー作品を温かい目で視聴する必要があり、それは『涼宮ハルヒの憂鬱』の中の『朝比奈ミクルの冒険』等、アマチュアが作った映画を思い出すのだが、その作品のラストがB級のわりに凄いので鳥肌が立った。
その後メイキングシーンを見せられるのだが、完成までの過程が断然面白い。
視聴中は、役者たちが演技しているということを忘れ、ドキュメンタリーでも見ているかのように引き込まれていた。
ワンカット撮影の大変さや、どうやって撮ったのか氣になっていた部分のネタばらしが一種の伏線回収となって、感心したり尊敬したりと前半の温かい目で観ていた自分が恥ずかしく思えてくるほどである。
そして最も今作の魅力といえるのは、映画を制作している真剣な人たちを愉快な氣持ちで見ることが出来ることだと思う。
笑いを誘うテクニック、ユーモアのセンスが卓越しており、人の心理に関する研究材料としての価値も感じる。
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