「もっと掘り下げて欲しかった」娼年 めいさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと掘り下げて欲しかった
原作を読んでいたので、映画になると聞いた時はすごく楽しみでした。しかも松坂桃李。ピッタリです。
ほかの役者さんもすごく原作のイメージにあっていて、キャストも、ストーリーも素敵なのに、映画としては残念でした。
セックスシーンが多く、長い割に全くエロくない。出来の悪いAVを見ているような気持ちになります。
ヒロミの回はまぁよかったけど、イツキさんの性癖を伝える葛藤とか、受け入れてもらえた喜びはすごくサラリと流された印象です。
原作では、Passionに入る前、援助交際と思しきカップルに嫌悪感をしめしたり、何回が仕事をこなしたあと、人間の欲望の深さについて静香に吐き出したり、レイプ紛いのことをしてくれと言われて落ち込む描写があったのですが、映画では省略されていました。
そのため、領くんがそれぞれに対して心を開くのも、仕事を受け入れるのも割と早く、今までセックスを楽しめなかったのは領くんの性癖が特殊で熟女好きだからなのでは?と思ってしまいます。
セックスシーンを省略して、そのへんを描いてくれればなぁと思いましたが、そこはR18映画の難しさなのでしょうね。
ただ、映像と映画の難しさを考慮しても、セックスシーンの単調さはすごく残念です。
静香は相手の出すサインを読みながらセックスしろと言っていましたが、領くんのセックスは誰が相手でも同じことを繰り返しているように見えました。全体的に動きが激しいです。
泉川夫妻とのセックスは深みが足りずとても滑稽だったし、最後の静香と咲良とのセックスシーンの撮り方と演出は、映画でなく舞台のようで、見せ場のシーンなのに映画から浮いてしまっているように感じました。
ただどの役者さんの演技もすてきだったし、松坂桃李の体はとても綺麗だったので、すごく惜しかったです。
松坂桃李の裸を見たい人は絶対に観るべき映画です。