妻よ薔薇のように 家族はつらいよIIIのレビュー・感想・評価
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理想の家族の肖像
家族映画の巨匠の集大成と思う。
観て数時間経っても、ぼーっと、私は物語世界をさまよっている。
現代の家族を題材に喜劇となると、切実ではあれどうも下世話な話題の解決にこぢんまり終始してしまうところ、本作で扱われる事件は現実の家族に切実に迫るもので、また同時にいつの時代にも通じるようだ。
もともとのメインタイトルをあえてサブに配したのに合点がいった。キャストの顔ぶれは同じだが小林稔侍等脇役の人物設定はシリーズ1・2・3どれも異なる。ストーリーに合わせて設定は後付けされているのかしら。考えてみれば「家族はつらいよシリーズ」はシリーズものとしては珍妙だ。
今回、その人物設定がバッチリはまっていた。筋書きだけ並べれば、ご都合主義とあとで誰かが言いそうな展開も、いや、この家族ならこうする、という十分な説得力がある。
無駄のない画の中で立ち尽くす各々のたたずまいは、葛藤してなお美しく迫った。監督の敬愛する小津作品の影像を思い起こした。「人間の品性」を見た。理想の世界がそこにある。
「家族はつらいよ1」のドタバタコントでげんなりさせられたので「2」は見送った。他近作でも山田洋次には嫌気がさしていた。今回「3」も見送るつもりだったが、暇つぶし以外の何物でもない筋合いで観た。私の鼻柱はへし折られた。
山田監督の凄さ!
流石、山田監督!寅さんと同じく、全く非日常な世界を日常的に再展開し、悲喜こもごもな人間模様を、笑いをないまぜにしながら創り上げる。だっていまどき、三世代同居の家族なんて、史枝さんの様な主婦の鏡なんて、なんか起こると家族が集まるなんて、ありませんもんね!しかし全く違和感なく登場人物に感情移入できるって、山田監督の凄さ!老いて益々盛んです。日本映画の為にも、頑張って下さい。
憲子役の蒼井優が儲け役
まず『家族はつらいよIII』の方ですが、あまり驚きはないが、安定の面白さがあります。随所でくすぐりが入り、笑えます。
家族はつらいよIとIIで随分しっかりしたお嫁さんを演じていた史枝(夏川結衣)さんが遂に主婦を放棄、家出をしてしまうというのがテーマなのですが、いまどき幸之助(西村まさ彦)のような反応はないと思いますがね。
いつも言いますが、憲子役の蒼井優が儲け役ですね。
家族の支え合いを考える
夫の自業自得の視点から見るか、妻の反乱の視点から見るか。夫たる私は苦笑いしながら「バカな夫だ」だとつぶやき、映画館をほぼ埋め尽くす中高年女性達はやんやの喝采を浴びせる。
日頃、生活の中で語られることがない妻の本音を知るためにも、中高年男性がもっと見るべき。ただし、妻を連れずに一人で。
☆☆☆☆但し…。 ☆☆☆★★でも有る。 シリーズ最高傑作! 兎にも...
☆☆☆☆但し…。
☆☆☆★★でも有る。
シリーズ最高傑作!
兎にも角にも山田洋次の演出力の凄さに絶句する。
今の日本の映画界に於いて、これほどまでに高いアベレージを保ち続ける事に心底嫉妬をする
…のだけども、フッと少し考え込んでしまう。
このシリーズは、言わずと知れた小津安二郎の『東京物語』へのオマージュから始まった。
そして今回のタイトルは、当然の様に成瀬の『妻よ薔薇のやうに』が基になっている。
思い返せば『おとうと』は、市川崑の名作だし。そもそも。過去の山田洋次作品には。海外や国内の名作を再構築させた作品が目立つのは事実だと思う。
それらを題材として。簡単そうに見えながら、実は物凄い事をいともすんなりとやってのけてしまう。だからこそ嫉妬してしまうのだけれど。じゃあここから何か、映画としての新しい《モノ》が、果たして誕生するのかどうか?と考えた場合に、それはとても怪しい。
だからこそ。本来ならば☆☆☆☆…と、高い評価をしたいのだけれども。或る意味で☆☆☆★★…の、無難な作品と言えなくもない。
成瀬のキーワードとして。吉行和子が通うお馴染みのカルチャースクールでは、林芙美子の「めし」を話題にしていた。
勿論、『めし』も成瀬の代表作の1つ。
じゃあ!『妻よ薔薇のやうに』は?と言うと。必ずしも成瀬の代表作とは言えないのじゃなかろうか。
成瀬の『妻よ…』はこの作品とは違い、夫が愛人と一緒に暮らし戻って来ない。
一旦は戻るのだが、最後には愛人の元へ行ってしまう。
その展開に唖然とさせられてしまうのだが。
…思うのだけれど、どう表現すれば正解なのか分からないのだが。何だか胸の奥にモヤモヤが残る作品と言えるだろうか。
今回の山田版は、観終わって「上手いな〜!」とは思うのですが、少し時間が経ってしまうと、そんなに記憶には残らないのでは?…とも思ってしまう。
しかし、成瀬の『妻よ…』はどうか?と言うと。良作では無いのに、記憶の中にはいつまでも残って行く。
無難な名作よりも、歪な作品にこそ新しい【何か】が埋まっている…と言えるのかも知れない。
では山田版はコメディー映画として笑えるのか?
その時の観客にもよるとは思うのだけれど。観ていて思わず笑い出したならば、最後まで笑えるだろうし。「笑わせ方が古いよ!」…と、少しでも感じてしまうと、最後まで笑えない。
そんな感じだろうか。
とは言え、「今回はどんな役柄なのか?」が、お楽しみな小林稔侍を始め。毎度お馴染みのコメディーリリーフである笑福亭鶴瓶や、徳永ゆうき等の登場のさせ方はまさに絶妙。
こうゆうのを、サラッとこなしてしまうところ。
登場人物を平田家のリビングへと集めての話し合い。
セット内を縦横無尽に活かす撮影。流れる様にスムーズな編集等、決して強く主張する事は無いが、スタッフ陣の高い技術レベルが伺える。
タイトルは横尾忠則の画。
悠々自適の毎日を過ごす橋爪功の名前は平田家の右外へ。
吉行和子と西村まさ彦の名前は家の中。
夏川結衣の名前は、内容を考えれば分かる様に家の外。
中嶋朋子と林家正蔵の夫婦の名前は、ガヤ要員らしく家の外。
妻夫木聡の名前は、今回色々と奔走するからなのか?屋根の上。
そして、蒼井優。
蒼井優の名前は、平田家の下に表示される。
その意味は、単純に平田家を下から支えているから…だけでは無いのかも知れない。
小津が描いた家族は平山家。
それに対して山田洋次が選んだ名前は平田家。
平田の【田】は山田の【田】なのだろう。
《田んぼ》には水が必要で、蒼井の【井】には水の要素を含んでいるからなのか?
ラストシーンで、平田家に新たな【稲穂】が実った事が観客に知らされるのだった。
※ 途中にほんの少し入る談志VS三平の代理戦争は笑う案件ですよ、皆さん(笑)
2018年5月28日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン3
笑えて、ほんのりジーンとして。
現在70代の両親を持つ私には、あまりにもリアルなこのシリーズ。
世代かねー、今作同様、とにかく母に対する父の態度がデカいんだよね。
今回は長男夫婦に訪れた泥棒被害と夫婦喧嘩、更にボヤの騒動。
ウチの夫なら、在宅時に泥棒に入られたと聞いたら、まず私のことを心配するだろうし、私はきっとあんな風に謝らないだろうなぁ。
その辺があの頑固親父のせいなのか、今時の夫婦じゃないみたいでやや違和感。
でも、いるんだよねああいう夫はたくさん。
ヘソクリ如きで妻の身を案じるよりお金の文句。
やれやれ。
家族ならではの感情のぶつけ合いで、時に泣いたり怒って言い過ぎたり、まさに家族はつらいよ。
でもそんな周りの熱い説得や心に訴えかける色々で、頑固親父真っしぐらのパパも素直に。
エンディングで、ボヤの後にずっと焦げ付いたままになっていたキッチンのコンロ奥の壁が、スッカリ綺麗になっているのがとても良かった。
ああやって頑張っているのだよ、主婦と呼ばれる人達は。
次男の妻の妊娠で、また次回作に期待。
はー、楽しかったわ。
心地よい笑い堪能
家庭でよくある(あるある話)が笑いを持って映画に引き込ませてくれる。
幸せな気持ちを与えてくれる作品。
そこには、笑いだけでなく、夫婦とは、家族とはなんだろうと考えさせてくれ後からも心にシーンがよみがえってくる。
他人同士が、結婚して、恋愛関係から、家族になっていく。それは何度かの感情のぶつかり合いを繰り返し、それを乗り越えた先にある家族愛を、感動を持って伝えてくれた作品だと思う。
幅広い層に心地よい感動を与えてくれる。
家族はつらいよは、三作目だが出演者の息も合って
良かった。
何だか分からないが泣ける
丁度、同じ年代で我が家もあるあるを連発、芝居を観に行ってる台詞回し。
山田監督節なのか、あまり好きな空気ではないが、なんか知らないけど泣ける。
悔しいけどいい作品だ。特に橋爪功、光ってる。
我が事のように思う
この所、怒りっぽくなった、嫌みっぽいことをいうようになった。そんなことを妻から言われる。
まるで本作品の西村まさ彦のようなキツい言葉は発しているつもりはないが、2時間以上に及ぶこの作品を見て、私の事、家族のことをふと考えた。もう少し優しい言葉をかけたり、また誕生日には少し良いものをプレゼントしよう。そんな想いがわき上がってきた。山田洋次監督ありがとうございました。パート4もあったらうれしいな。
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