霊的ボリシェヴィキのレビュー・感想・評価
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挫折を約束された「革命」の廃墟
「革命」の夢に挫折した若者たちは、あえて現実を理想化するロマン主義に走り、「性愛」と「オカルト(宗教的なもの)」に分岐した。「性愛」への逃走は、若松孝二監督『理由なき暴行』やベルナルド・ベルトルッチ監督『ドリーマーズ』に描かれている。
『霊的―』は、もう一方の「オカルト」への逃走を示唆的に描く。「革命」はつねに失敗する。なぜか。それは、「革命」は実現すると「こんなはずじゃなかった感」をもたらすからだ。「こんなはずじゃなかった」という期待はずれが、ついに真の「革命」の実現を阻む。
百物語の実験に召喚された霊的前衛の力で、ついに「あの世」と接触できるかと思いきや、実験は失敗し、参加者はみな死ぬ。そして、「汚れた場所」から本物の由紀子=三島由紀夫の化身が生まれ、現実に挫折して自死する未来が運命づけられている。
そう、「霊的ボリシェヴィキ」は挫折の輪廻の中にある。決して実現しない不可能な理想だ。だから「あの世なんてあるわけない」。いるのは幽鬼に憑かれた「化け物」だけだ。
所謂『都市伝説』を語る
ボリシェビキの意味をネットで調べても今イチ腑に落ちない。新自由主義者の対極なのだろうか、赤軍派そのものと言っても良い語彙なのかもしれない。それと、恐い話を結び付けた題名なのだが、それが又意図がサッパリ不明である。
ストーリー展開は、それぞれ一人ずつ、とっておきの恐い話を披露していくことで、霊を呼び出すという、何とも非科学的な実験をしていく内に、その中の一人の女性がより強い霊能を帯びてしまう、否、元々その女性は幼児期に霊にすり替えられてしまっていたという話である。ラストの結末が全員死亡という形が素頓狂ではあるが、あくまでも今作品はお化けに拘らず、人間が恐怖する得体の知れないモノをどうやって表現していくかという方法を、『語る』という手法で繰広げられるところなのだろうと思う。死刑当日の囚人の暴れ、夢の中でみた被災地の家の中、山を這うナニか、神隠し、そして殺人の告白。その語り部の台詞のスピード、話の構成等が良く練られた作品なので、静かだけど恐怖がスクリーン越しに充分観客を支配している。一つの方向制としては斬新ではないが興味ある内容になっている作品である。後はストーリーの組立を再構成して貰いたい。折角あの世へのゲートを開く手段を怪談話に着目しているのならば、もっとドラマティックさが求められるのだが、SFっぽくしたくなかったのだろうか?
韓英恵きれい
貞子とか伽椰子とかとは違った怖さなのね。人知のおよばぬ大きなものに挑んでしまったっていう。
最初は「稲川淳二かよ!」って感じで、怪談聞いてる雰囲気なんだけど、段々ちょっと異様な雰囲気になって怖くなってくんの。
それで韓英恵がきれいなの。アップになったら「うわー」って。「でもちょっと菅田将暉が女装したみたいな顔してるな」と思うときもあるけど、総じて綺麗。そして、まあ、それだけでこの映画いいよね。
なんかでっかいものがあって、それに関わっちゃうって言う感じが白石晃士監督の世界観に似てるなあって思った。
ラストは、まあ、「そうなっちゃうよね」って感じだったな。ホラーテイスト作品のラストは難しいよね。
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