目撃者 闇の中の瞳のレビュー・感想・評価
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寓話の裏切り――正直者は得をしない
ライターの西森路代さんがお薦めしていたこともあり観たが、これは本当に「人怖話」だ。事件の関係者はそれぞれ、欲望や強迫観念やしがらみに捕らえられ、嘘をつく。そして最後は、真実を踏みにじって「賢い選択」をした者が得をする。正義は勝たないことを見せつけられるのが怖い。
事件の関係者であるチウ内務大臣を告発しない見返りに、シャオチーは内務省広報官に取り立てられる。記者会見で、彼はあるホラーを披露する。「本屋でいちばん怖いという本を1000台湾ドルで買った男。店主から、最後のページは絶対見てはいけない、そこがいちばん怖い、と告げられる。好奇心に負け、最後のページを開いてしまう。そこにはこうあった。『定価15台湾ドル』」。これは単なる笑い話ではなく、この映画のテーマに関わっている。
つまり、愚直な正直者は損をする、という。「正直者の頭に神宿る」ということを納得させる寓話とは真逆の「真理」を示して、私たちを怯えさせるのだ。
同じ穴のムジナ
出てくる人出てくる人みんな腐ってる。新聞記者、政治家、警察。身代金目的の誘拐犯3人組と何が違うのか。結局最後に笑うのは上手く立ち回った人間。
台湾のイヤミス。脚本が面白かった。実はマギーが運転していましたと言うところはちょっとクドい。今更どっちでも同じだよ!
ストーリーが分かりにくい部分があったのと、俳優陣の演技がわざとらしい部分が少し気になったが、全体を通して面白かった。
面白い
よくできたシナリオ。
しっかりと分かりやすく細部まで回収される伏線。
そして、青い鳥。
青い鳥が予見するシーンには、、、
そして、この鳥は9年前にも一度だけ出てくる。
こういった遊び心は観る人を楽しくさせてくれる。
高度な伏線が予測不可能な秀逸な脚本
これは二度見したくなる、綿密に計算され尽くした脚本。高度な伏線が張り巡らされ、予測不可能な展開と斬新な結末を楽しめる、優良な台湾製サスペンススリラーである。全国12館と地味に上映されているが、観て損はない。
台湾アカデミー賞"第54回(2017)金馬奨"では、主演男優賞をはじめ5部門にノミネートされた。金馬奨はエンターテイメント性の高い作品を選ばれにくいので、受賞は逃したが、台湾で大ヒットを記録している。
主人公シャオチーが、中古で購入した愛車が、巧妙に修理された事故車とわかり、しかも、自分が9年前に偶然目撃した交通死亡事故に使われていた車だった・・・。
当時は見習いだったシャオチーは、今やスクープ事件を追いかけるバリバリの中堅新聞記者。この事件を調べはじめると、犯人は逃走して不明、瀕死の重傷を追った唯一の被害者も行方不明になっていた。そして単なる目撃者だったはずの自分も関わる新事実が次々と明らかになっていく。
事件に直接関わる人間は7人。一見、無関係に見える全員が、ひとつの交通事故を接点につながっている。そして犯罪者でもあり被害者でもある意外性。その真相は最後の最後まで分からず、どんどん引き込まれていく。
カーアクションなどのカメラワークも質が高く、VFXを効果的に使った事故シーンや関係者の回想が何度も繰り返されながら、映像編集によって、謎を解き明かしていくスマートさがいい。
原題サブタイトルの"Who Killed Cock Robin"は、マザーグースの有名な童謡。日本では北原白秋が「駒鳥(コマドリ)のお葬式」として訳詞紹介しているが、その内容が殺人をイメージさせるからか、推理作品にたびたびモチーフとして使われている。特に本作のような連鎖的なイメージにはピッタリ。
(2018/1/31 /シネマカリテ/シネスコ/最上麻衣子)
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