「少年役バリー・コーガン憎ったらしく好演! 嫌な感じなのに、なぜか、医師家族側が颯爽とすがすがしく!???」聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
少年役バリー・コーガン憎ったらしく好演! 嫌な感じなのに、なぜか、医師家族側が颯爽とすがすがしく!???
『聖なる鹿殺し』なんという訳がわからないシュールなタイトル。
良く邦題がこれで通ったもんだ。褒めてます。
何やら神話に基づく話らしい。
アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞ほか11部門ノミネート、主演女優ほか4部門で受賞した『哀れなるものたち」を監督したヨルゴス・ランティモス監督・脚本作で、「ロブスター」と並ぶ怪作と評されていた作品。
観るのを相当迷いましたが、結局鑑賞。
手術の失敗で死亡した男の息子を、食事に招待してから、自分の息子が突然歩けなくなる。
精密検査をしたが、どこにも異常が無いため、病院から帰ろうとすると、再び歩けず倒れてしまう。
そして、ある日、その少年から、妻か二人の子供のうち、誰か一人を選べ。
そうしないと家族三人とも死ぬと宣告される。
そんな話は始めは信じなかったが、
やがて娘の身にも異常が発生し、男は最悪の決断に迫られる。
観ている最中は少年が憎ったらしくてしょうがない。
役者が上手く、演出が良いからでしょう。
しかし、よく考えると、飲少年の家族は被害者。
酒手術した夫が一方的に悪いはずなのに、そういう感情移入させないように作られているのでしょう。
どうやっているのか(呪いなのか?何なのか)手段を全く説明しないのも潔い。
「そこがテーマじゃないから。」
一人を選ぶときに教師にどちらが優秀かを行く夫。
子供のために私が犠牲になる、なんて全く考えず、子供はまた作ればいいと言う妻。
死んだあと音楽プレーヤーをもらうわよ、という長女。
みんなサイテーです。
急に素直になって、結局、ロシアンルーレットなのに、選ばれてしまう弟がただただ不憫です。
それなのに、最後は、吹っ切れたのか、一家三人が、それでも颯爽とレストランを後にして歩きだす姿が「妙にすがすがしくて?」印象的でした。